歌池 聡さまのたこやき
『関西人の家に必ずあるもの』
皆さん、『関西人の家には必ずたこやき器がある』って話、聞いたことありますか?
まあ、この手の食に関する地域あるあるネタは、某ケンミンショーなどでもおなじみですが、かなり大げさな言い方ですよね。『〇〇県の人は××に必ず□□をつけて食べる』とか。
なので、このたこやき器の話もその手のネタのひとつだと思われているかもしれませんが──。
はっきり言います。これは事実です。関西人の家には必ずたこやき器があります。いや、なければなりません。
関西圏では家庭にたこやき器を所持して定期的に使用することが義務付けられていて、違反者には罰金や刑事罰が科せられる可能性があります。
とはいえ、その家庭がたこやき器を所持しているかどうかなんて、他人にはわからないですよね。
なので、実際の摘発例のほとんどが密告によるものだそうです。
そして今。僕はどこぞの誰かの密告によって、警察のガサ入れを受けている真っ最中だったりするのです。
「ほら、刑事さん、見て下さいよ。ちゃんとたこやき器、持ってますやん」
「うん、確かに使うた跡もあるな。でもな、職場の仲間が君の部屋でタコパ(たこやきパーティ)をしようと提案した時に、めっちゃイヤがってたっていう証言もあるんやけどな?」
──あ、密告者は職場の誰かなんだな。ちくしょう、僕が関西出身じゃないからって、余計なことしやがって。
「いや、見てのとおり部屋が散らかり倒してますんで。こんなとこに女子社員なんて来られた日には、たまったもんやないですわ」
「まあ、それもそうやな」
年配の刑事さんはようやく納得してくれそうな気配だ。
だが、部屋に上がり込んで部屋の中を見回していた若い刑事が、ふいに大声をあげたのだ。
「警部、冷蔵庫の中には『お好みソース』しかありまへんで! 『たこやきソース』を所持していない可能性もおますわ!」
「何やと!?」
警部さんの目がすうっと細められる。
「──貴様、まさかたこやき器使用を偽装してるんやないやろな?」
「ま、まさかそんな! たまたま切らしてただけですやん!」
「『たこやきソース』が切れるまで次を買わないなど、関西人ならあり得へん。
不法関西人の疑いもあるな。詳しい話は署で聞かしてもらおか?」
──『不法関西人』って何やねん!?
はい! 私、鳥取県出身のニセ関西人ですけど、神戸に住んでた時はきちんと所持してました!٩( 'ω' )و
不法関西人ちゃいますよ!




