田尾風香さまのたこやき
今日のおやつはたこやきです。
ある日の老人ホーム、その日の三時のおやつはたこやきだった。
だが、中にたこは入っていない。年寄りたちに出すのに、たこなんて噛みにくいものが出るわけがないのだ。だから、それは「たこやき風」のおやつである。
白い球体の、ネチョネチョした物体。ソースはあるが、青のりも鰹節もない。見た目、美味しそうに見えない。
そんなおやつが出た時の、とあるAさんの場合。ちなみに、昭和を引きずりまくっている、セクハラ・モラハラ・パワハラ・カスハラなんでもありの、ハラスメントじーさんである。
「なんだ、たこやきか」
おやつを持っていったときの、つまんなそうな言葉。普段なら「文句言うな」と思うところだが、明らかにマズそうなたこやきのときだけは、「ごめんね」と思う。
家族が持ってきてくれたばかりの三ツ矢サイダーを一緒に出した。冷たいのを一気飲みしたせいか、腹を下した。
とあるBさんの場合。この人はたこやきじゃない。
通常、咀嚼力が落ちているお年寄りに出されるゼリー。しかし、Bさんの場合はご本人の好みでゼリーが提供される。
「せんべいちょうだい」
これがいつものフレーズ。家族が持ってきた厚い堅焼きのせんべいをボリボリ食べる。咀嚼力は抜群である。
とあるCさん。
たこやきを全部食べ終えたあとに、こう言った。
「おいしくなかった。甘いの食べたい」
(さよですか……)
家族が持ってきてくれたおかしを漁った。残念ながら、甘いのはない。せんべいを持っていった。
「これしかないけど、食べますか?」
「食べる」
即答した。甘くないのは、どうでもいいらしい。
ともあれ、たこやきの日は家族が持ってきたお菓子が大活躍である。
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仕事ネタ。実話です。
ま、まずそう……(^.^;
でもまずそうなたこやきも物語になるものですね(*´艸`*)




