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無謀! 瞬発力企画2 会場  作者: しいな ここみ
第三回目 『たこやき』
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コロンさまのたこやき

 ★椎名琴美ストーリーではありません★






「よし!次のたこやき器はおめぇ、やってみろ!」


「!!!はいっ!ありがとうございます!!!」


 親方にそう声をかけられて、俺は喜びに震えた。

 やっと…やっと俺も…たこやき器をやらせてもらえる。



 俺はこの喜びをすぐに妻へ知らせた。

「俺の夢がかなったよ!」

 妻は「!!…うん…うん…良かった…おめでとう……おめでとう…お祝いしなきゃね…」と、涙声で言ってくれた。

 妻の声を聞いて、さっきまで我慢していた気持ちが溢れだし俺も泣いた。


 代々たこやき器職人の俺の家。

 俺は跡取りとして、幼い頃からたこやき器職人になる日を夢みてきた。

 だが、俺が高校生になった春、無理が祟ったのか親父は倒れ、そのまま帰らぬ人となった。

 最後に親父と交わした約束。

「俺は絶対にたこやき器職人になる!」

 それを叶える為に今まで必死にやってきた。



「これで親父や爺ちゃんに…顔負けできる…やっと、親父や爺ちゃんと同じたこやき器職人の第一歩を…。こんな俺を今まで支えてくれてありがとう…」


「うん…うん…お義父さんやお義祖父さんに負けないように頑張らないとね…」



 。。。


 その日から今まで以上にトレーニングに勤しんだ。


 腕立て200回

 腹筋500回

 逆立ち歩きは1000歩…



 。。。



 その日の朝。


 気合いを込めてシャワーを浴びる。

 断髪式を終えた頭にキリッと手拭いを巻いた。


「行ってくるよ」

「しっかりね!」

 胸の前で小さくガッツポーズをする妻を抱きしめた。


「ありがとう!頑張ってくる!」






 。。。



 専用の服に着替え、クリーンルームの中のたこやき器工房に入る。

 念入りにボディーチェックをされ、問題ないとなった俺は、逆さまに吊られた。

 そして頭に油を塗られ、粘土に頭を押し付けられた。


 むぎゅ。


 すぽ。



 俺の頭と同じ形に、まあるく粘土が凹む。


 むぎゅ。


 すぽ。


 繰り返し俺の頭と同じ穴を粘土につけていく。

 業務用たこやき器で56穴。



 見事に並んだ丸い穴を、親方がチェックする。



 皆固唾を飲んで親方を見守っていた。


 親父が腕を組み、しばしの間沈黙した。

 そして大きく息を吸い…



「合格だ!金型取るのに初めてで業務用の56穴をこなしたのはお前が初めてだ!良く頑張ったな…親父さんも喜んでるだろう!」

 と言った。


 湧き上がる歓声。

「やったな!」

「よく頑張った!!」


 逆さ吊りされた俺を皆んなが囲む。






 皆んなの笑顔を見ながら…俺はブラックアウトした。




 。。。




「ママー!たこやき食べたい!」


「新しく出来たたこやき屋寄って行かない?」


 新しく出来たたこやき屋に並ぶ人々。




 …その金型、俺の頭が並んでいるんだぞ…






 はふはふとたこやきを頬張る人々を、おれは誇らしい気持ちで眺めている。






 《おわり》

あれは頭で型をとっていたのですね……。


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― 新着の感想 ―
★大浜 英彰さま 逆さ吊りでの押し付けですからね。一族皆短命です。
想像すると物凄くシュールな光景ですね。 制作中は基本的に逆さ吊りの姿勢を余儀なくされる事を考えますと、無理がたたれば体を悪くするのは確かに必定と言えそうです。
皆さまありがとうございます。 ★秋桜星華さま ハゲの方が衛生的に好ましい。d( 'ω' )و ★戯言士さま なんて日だ!!ψ(`∇´)ψ ★Ajuさま 小さいおっさんの回です(`・ω・´) ★…
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