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無謀! 瞬発力企画2 会場  作者: しいな ここみ
第三回目 『たこやき』
54/118

清坂 正吾さまのたこやき

 放課後の教室。

 部活へ向かう足音が廊下を駆け抜け、遠くのグラウンドからは掛け声が聞こえてくる。


 そんなざわめきの中、窓際の席で亜季は机に突っ伏していた。


 そこへ奈津紀が声を掛ける。


「どうしたの、亜季?」


「奈津紀……。今回の瞬発力企画のお題が“たこやき”なんだけど、何か良いアイディアない?」


 顔だけ上げて、困ったように言う。


「うーん……。“たこやき”ね……。平仮名4文字だし、“あいうえお作文”なんてどう?」


「“あいうえお作文”……! いいね。でも、それって、どんな題材でも使えちゃわない?」


 沈黙。


(あれ? 余計なこと言った?)


 さらに沈黙。


(長い……)


 まだ沈黙。


(気まずい……何か言わなきゃ……)


「あ、あいうえお作文にして、たこやきにピッタリな文を作れたら良いよね……?」


 おそるおそる言うと、奈津紀はぱっと笑顔になった。


「それ、いいじゃない! じゃあ勝負しましょう。本物の“たこやきJK”を決める戦いよ」


「“たこやきJK”って何……? で、どうやって勝負するの?」


「委員長に審査してもらうの。三作品ずつ発表、各10点満点。合計点で勝負」


 奈津紀はそう言って、クラス委員の滝口くんを呼んできた。


「負けた方が、たこやき奢りね」


「いいわ。やりましょう」



「では、どちらから?」


「はい、私から!」


 亜季が元気よく手を挙げる。


「一つ目、いきます」


『た:大変だ

 こ:焦がしちまったぜ

 や:焼きすぎた……

 き:君の分だけ』


(自分のは成功してるのかよ……)


「2点」


からい……採点がからい……!」


「次は私よ」


『た:タコ入れて

 こ:粉を混ぜ混ぜ

 や:焼きましょう

 き:きゃー、水を入れるの忘れてた』


(なんで二人とも失敗しているんだよ……)


「2点」


「えぇー!」


「はい、二つ目!」


 亜季が再び手を挙げる。


『た:たくさん食べたい

 こ:この気持ち

 や:やせるためには

 き:今日も我慢』


(うまい。でも、たこやきどこ!?)


「1点」


「そんなぁ!」


「私も負けないわ」


『た:確かにある

 こ:恋心

 や:やっぱり

 き:君に伝えたい』


(だから、たこやきどこ!?)


「1点」


「なんでよ!」


 奈津紀が肩を落とす。


「最後よ! 自信作!」


『た:助けてよ

 こ:怖いよ怖い

 や:やつが来る

 き:金箔だらけのおじいさん』


(金箔だらけは怖いけど……方向性が違う)


「0点」


 亜季も机に突っ伏す。


「これで決まりね!」


 奈津紀が勢いよく紙を突き出す。


『た:たけし!

 こ:こんな

 や:やつ

 き:気にすんな!』


(誰だよ、たけし)


「0点」


「ちょっと! 厳しすぎない?」


「そうよ! そんなに言うなら、滝口くんもやってよ!」


「……分かったよ」


 滝口くんは、ため息をひとつついてから、すぐに書き上げた。


『た:たこやきは

 こ:ころころ丸くて

 や:やっぱりうまい。でも、

 き:君たちには作らせたくない』


 一瞬の沈黙。


「うまい!」


「なんでよー!!」


 教室に笑い声が広がる。


 窓の外では、夕日が校舎をオレンジ色に染めていた。


「じゃあ、みんなでたこやき食べに行こうか」


「「いいね!」」


 三人は教室を後にする。


 誰もいなくなった教室には、まだほんの少し、楽しそうな空気が残っていた。

これはニヤニヤするニヤニヤ(°∀° )ニヤニヤ


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― 新着の感想 ―
奈津紀に亜季。 そうなると滝口くんの下の名前は冬弥、だとまんまだから冨之(ふゆき)とかかな?
凄く良かった良かっタ 面白いね二人の女のコ 滝口くんはちょっとヤ お好み焼きだって好キ …………嘘です。滝口くん結構好きです。(。-_-。)
お題そのものをネタにした! 笑
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