SSKさまのお金
私の亡くなった祖父はホラ吹きだった。
『じぃちゃんのお得意が始まった。』
大人達は祖父の冒険譚を困った顔で聞いていたが私は大好きだった。
鯨に乗って空を旅した話。
虹の斜面をソリで競争した話
自分だけの青空を手に入れた話
大人には馬鹿げた話だが私にとっては夢物語だった。
…だから遺品整理の話がきた時は不謹慎な事にウキウキしてしまった。
薄暗い祖父の部屋は細かい塵が舞っているのか微かな光を反射してキラキラ光っていた。
汚いと分かっているが胸いっぱいに部屋の空気を吸い込みながら床にゴロリと横になる。
懐かし祖父の匂いを感じながらコテンと首を傾けると古めかしい重いオーク材の棚の下に何かある。
埃まみれだが小さく丸く薄い…好奇心の赴くまま私は手を伸ばした。
そっと埃を払うとそれは小さなメダルだった。
金属だがなんとも言えない色味で傾けると色が変わる。
横向きの女性が彫られていてこめかみの辺りに鳥の翼と思われる飾りをつけている。
数字の5とパソコンの外字でも見たことが無い記号。
コインだ!それも見たことが無い世界の。
ゾワリ
全身の毛穴が粟立つ感覚がする。
『あーみつかっちゃったか。』
耳元で祖父の声が聞こえた気がした。
…私はどうやら私は祖父の血を濃く受け継いだかも知れない。
この世界で全く価値のないこの小さなお金は祖父の見た世界でどんな価値なのだろう。
今夜は眠れないかも知れない。
ほっこりしました。
じいちゃんがいない間、家族たちはどう思ってたんだろう? 現世では一瞬のことだったんだろうか?
抜けててすみませんでしたm(_ _)m




