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小桃 綾さまのお金
その女はお金に呪われていた。
お金を扱う仕事に就いたのは間違いだった。
職場にあるお金は自分のものではないからただの紙切れ。一億円とか目の前にあっても重くて嵩張るだけのもの。札束を見ても何とも思わないし、逆に嫌悪感すらある。
現金ではなく電子マネーで決済されることが増えても、仕事でお金を触らない日は当分来ないだろう。
今日はヤバい。新しいやつだ。でも、触らない訳にはいかない。
意を決して札に触れて数秒後、早速やられる。
女の指は紙幣で切られていた。
どんなに持ち方を工夫しても何故か切られる。自分のものではないから更に腹が立つ。
女の指を傷つけたそれは女を嘲笑うかのように何処かへ行き、知らない誰かを笑顔にする。
女の苦しみを知るものは、この世で同業者しかいない。
一万円札はただの紙!
……とはいえ、切れてもいいから触りたい。・゜・(ノ∀`)・゜・。 っていうか切れるんですか?




