六野みさおさまの青空
昨日は人差し指の爪の長さの大きさでしかなかった山が、今日は人差し指の指先から一つ目の関節まで大きくなっている。少年はさっきからずっと顔の前に人差し指を掲げて歩いていた。持ち物は反対側の手からぶら下げているぼろぼろの袋に入った、いくつかの果物と素朴なナイフのみである。
少年の村が仲間割れを起こし、魔道具を使った容赦ない銃撃戦の末、少年のみを残して事実上崩壊してからおそらく数年が経った。少年はそれから人間に会っていない。撃ち尽くした魔道具はもう捨ててしまい、少年は野生の植物と、たまに手に入る小型動物の肉のみで生活している。かつて人間を苦しめた大型動物になぜか襲われることがないのは少年にとっては嬉しいことだが、それは同時に人間というやや大型な動物にとっても苦しい環境になりつつあるということでもある。ただ少年はなんとか生き続けている。生活に代わり映えはない。ただ季節によって少しずつ太陽の通り方が変わる青空と、たまに降る雨だけがささやかな変化である。それでも少年はできる限り移動を続けている。まだどこかに生き残っている人間を見つけることができるかもしれないという希望もあるが、同時に何かしていないと正気を保っていられないという確信もある。自分がどんな名前であったかさえ少年はほぼ忘れている——もはや生活の中で名前を使うことはないのだから。
山から海辺へ、密林から草原へ、少年は移動を続けていく。少年が向かっている山の山頂付近には、今にも崩れ落ちそうなほど古びた塔が建っている。その塔は人間がかつてこの星を支配していたときの名残である。そう少年は昔、村の古老から伝え聞いた。だが少年にはそれを話す次の世代がおそらくもういない。ただどこかの青空の下に力尽きるのみである。
頑張れ! 空には何もないからこそ作ることができるんだ!(๑•̀ㅂ•́)و✧←他人事




