表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無謀! 瞬発力企画2 会場  作者: しいな ここみ
第七回目 『愛のお化け』『ねぎ塩焼きうどん』『漆黒の翼を喪失せし者』
164/180

大浜 英彰さまのトリプルお題

【漫才】「キョンシー女子大生が考える学食の新機軸」


ボケ「どうも!人間の女子大生とキョンシーのコンビでやらせて頂いてます!」


ツッコミ「私が人間で、このがキョンシー。だけど至って人畜無害なキョンシーですから、どうか怖がらないであげて下さいね。」


ボケ「どうも!留学生として台湾から来日致しました。日本と台湾、人間とキョンシー。そんな垣根は飛び越えていきたいと思います。こんな風にピョンピョンとね。」


ツッコミ「いやいや、両手突き出して飛び跳ねなくて良いから!」


ボケ「知ってる、蒲生さん?うちの学食で期間限定フェアが始まったんだよ。」


ツッコミ「へえ、目敏いわね。因みにどんなフェアなの?」


ボケ「凄いんだよ、蒲生さん…今回は何と下仁田町フェアなんだから!」


ツッコミ「えっ、下仁田町!?それって群馬県の?」


ボケ「おっ!食いついたね、蒲生さん!そんなに下仁田グルメを待ち望んでたのかな?」


ツッコミ「食いついたんじゃないの、驚いたの!何なの、そのピンポイントなフェアは…普通そういう時は『北海道フェア』とか『福岡フェア』とか、もう少しザックリした範囲にするんじゃない?」


ボケ「だけどザックリし過ぎるのも考え物だよ。前に中華料理フェアがやっていたけど、中華料理と一口に言っても四川と広東じゃ全然違うからね。しかもその時のフェアには魯肉飯や牛肉麺も並んでいたけど、あれは厳密には中華料理というより台湾料理だから。」


ツッコミ「分かった、分かったって…そういう細かい事を言う人がいたから、学食の人もフェアの範囲を細かくしたんだろうね。」


ボケ「当たり!学食に行く度に、御意見御感想を書ける目安箱に投函しておいたんだ。」


ツッコミ「って、やっぱり貴女の仕業だったの!ノイジーマイノリティの張本人がこんな身近にいたなんて。」


ボケ「これがホントの『キョンシー下暗し』だね!」


ツッコミ「それを言うなら『灯台下暗し』でしょ!メーテルリンクの童話じゃないけど、青い鳥って案外すぐ近くにいるのね。」


ボケ「まあ、キョンシーの私は『青い鳥』じゃなくて『青い顔』だけどね。何しろ死んでるから。」


ツッコミ「誰が『上手い事を言え』と言ったのよ。それにしても…よくもまあ、飽きずにアンケートを投函出来たわね。」


ボケ「まあ、アンケート用紙が切れている時もあったけどね。そんな時は、額に貼り直していらなくなった古い霊符の裏に書いて投函したけど。」


ツッコミ「怖いって!そんなの目安箱に入れたら駄目だよ!」


ボケ「だって、古くなって効果が薄れたのを何時までも貼っていても仕方ないし。」


ツッコミ「霊符だよ、これ!額に貼る冷却シートじゃないんだから。」


ボケ「だけど霊符を投函して暫くしたら、学食の掲示板に『お客様からの貴重な御意見に基づき、学食のフェアで取り上げる地域をより細分化するよう努力致します』って書いてあったんだ。」


ツッコミ「そりゃ言う事聞いちゃうよ、こんな霊符の裏に書いてあったら。無視したら祟られそうじゃない…」


ボケ「清き一票を投じるのは、法治国家の有権者としての大事な意思表示だよ。」


ツッコミ「この場合は『清き一票』じゃなくて『怖き一票』だよ!そもそも何で選挙の話なんかしているのよ!学食の話はどうしたの?」


ボケ「おっと、いけない!話が随分と脱線しちゃったから巻き戻さないとね。それじゃ変な折り目がつかないよう慎重に…」


ツッコミ「コラコラ、額の霊符を巻こうとするのは止めなさい!」


ボケ「良し、巻き戻し完了っと…どうも!留学生として台湾から来日致しました。日本と台湾、人間とキョンシー。そんな垣根は飛び越えていきたいと思います。こんな風にね。」


ツッコミ「いやいや、両手突き出して飛び跳ねなくて良いから!って、最初の掴みの所まで巻き戻してどうすんのよ!」


ボケ「それで学食の下仁田町フェアなんだけど、美味しそうなメニューが色々あって…」


ツッコミ「だからって何事もなかったかのように再開しないで!それで、その下仁田町フェアにはどんなメニューが出たって言うの?」


ボケ「まずは揚げたてのカツを卵でとじずに醤油ベースの甘辛いタレにくぐらせた下仁田カツ丼に、餡の入ってない饅頭に甘い味噌ダレを塗って香ばしく焼いた焼き饅頭。」


ツッコミ「成る程、如何にも群馬らしくて良いじゃない。」


ボケ「後は下仁田ネギや下仁田コンニャクを使った料理が目立っていたね。すき焼き丼とかコンニャクの刺し身とか。」


ツッコミ「そりゃ下仁田の特産品だからね。」


ボケ「それから丸々の下仁田ネギを箸代わりに使って食べる下仁田ネギ蕎麦に、下仁田ねぎ塩焼きうどん。それから…」


ツッコミ「ストップ、ストップ!何なの、そのメニュー?」


ボケ「えっ?何って、下仁田町フェアの限定メニューだけど。」


ツッコミ「ネギを箸代わりにするのは福島県会津地方の大内宿で食べられている高遠蕎麦で、焼きうどんは小倉発祥の料理じゃない。」


ボケ「でもポスターには、『フェア限定メニューのネギは、全て下仁田ネギを使っています』って書いていたよ。」


ツッコミ「これだとその地域で食べられているご当地グルメというより、地域の食材を何らかの形で盛り込んだ地産地消レシピじゃない。きっとバリエーションを増やすために学食の人達が苦し紛れで盛り込んだんだろうけど…」


ボケ「ねぎまとかネギ焼きとか、他にも色々あったよ。何とか下仁田ネギを活用しようと苦心したんだろうな。ご当地フェアの企画も楽じゃないね。」


ツッコミ「何を他人事みたいに…その企画立案のハードルを跳ね上げた張本人なのよ、貴女は。」


ボケ「えっ…跳ねて、上げる?」


ツッコミ「両手を胸の辺りまで上げて飛び跳ねなくて良いから!」


ボケ「でもさ、蒲生さん!学食が私達みたいな現役学生の意見やアイデアを聞きたがっているのは、紛れもない事実だと思うんだよ。」


ツッコミ「そりゃ学食だって、旧態依然としたままだと学生に飽きられてしまうからね。色んな新機軸は盛り込みたいだろうし、その為にも現役学生の生の声が聞きたいだろうね。」


ボケ「でしょ、でしょ!そういう時こそ、私みたいな留学生の出番なんだよ。国際色豊かな留学生のグローバルなアイデアは、学食の新機軸のヒントになるとは思わない?」


ツッコミ「貴女の場合は特にそうだろうね。何しろ国籍どころか生死のレベルで境界を飛び越えているから。」


ボケ「日本と台湾、人間とキョンシー。そんな垣根は飛び越えていきたいと思います。こんな風にピョンピョンとね。」


ツッコミ「また始まった…これで3回目じゃない!天丼はあまり繰り返したらクドくなっちゃうよ。」


ボケ「そうなんだよ。私も和食は好きだけど、3食全て天丼だと流石に飽きが来ちゃうんだ…」


ツッコミ「本物の天丼じゃないって!漫才用語で同じネタを繰り返すのを『天丼』って言うのは、天丼には海老天が2本乗っているからなんだ。あくまで物の例えだって!」


ボケ「そう興奮しなさんな、蒲生さん。今はカリカリしている蒲生さんも、美味しい物をお腹一杯に食べたら必ずリラックス出来るから。」


ツッコミ「誰のせいでカリカリしていると思ってるのよ!それで貴女の考える新機軸ってのは何なの?」


ボケ「おっ!聞きたい、蒲生さん?」


ツッコミ「言っとくけど、ブラッドソーセージみたいな血液料理とかお線香でスモークした燻製料理とか、そういうキョンシー御用達グルメをリクエストしたんじゃないでしょうね?」


ボケ「ギクッ!どうしてそれを!?」


ツッコミ「そりゃ分かるわよ、コンビなんだから。それで、やんわりと却下されたんでしょ?」


ボケ「そうなんだ、蒲生さん。『個性的なレシピですが、じっくり検討させて頂きます』って言われてそれっきり。」


ツッコミ「貴女のリクエストした料理は、流石に前衛的過ぎるわよ。」


ボケ「やっぱり生きている人間には、あのメニューの美味しさはまだ理解出来ないか。だけど他にも新機軸は考えたんだよ。」


ツッコミ「そういうのは全日本キョンシー協会の集まりで食べなさいね。それで、他の新機軸ってどんなの?」


ボケ「同じメニューを出すにしても、演出ってのは大事だと思うんだよね。例えば単なるキノコオムレツも『深遠なる森の恵みを包んで』みたいな中二病っぽい言い回しにしたら、『おっ、何だろう?』と思うじゃない?」


ツッコミ「モダンフレンチのお店や創作料理系のビストロがよくやる手口ね。別に中二病って訳じゃないと思うけど。」


ボケ「これを期間限定フェアのご当地グルメにも応用したら、面白い事になると思うよ。例えば和歌山のイノブタカツ丼なんかは、『種族を越えた愛の奇跡』みたいに言える訳だし。」


ツッコミ「料理名が仰々し過ぎて何か分からないよ!」


ボケ「それじゃ、これなんかどうかな?その名も『漆黒の翼を喪失せし者の灯火』とか。」


ツッコミ「もう中二病通り越して邪気眼の領域じゃないの!」


ボケ「あれ、蒲生さんったら分からないの?」


ツッコミ「分かる訳がないでしょ!正解は何よ?」


ボケ「正解は、カラスのろうそく焼き。カラスの肉のミンチ肉を串焼きにして食べるんだ。長野県上田市のジビエ料理として人気なんだよ。」


ツッコミ「えっ!『灯火』って、ろうそく焼きの意味だったの?じゃあ、『漆黒の翼を喪失せし者』ってのは…」


ボケ「そう、食肉になったカラスの事だね。調理の為に羽根を毟っちゃうでしょ?」


ツッコミ「説明して貰ったら分かるけど、これじゃナゾナゾじゃない!」


ボケ「だったら第2問はサービス問題にするよ。その名も『南海が育んだ愛のお化け』、これは和歌山のご当地グルメだよ。」


ツッコミ「さっきの邪気眼全開なメニュー名から随分と毛色が変わったわね…むしろキョンシーである貴女自体がお化けみたいな存在じゃないの。」


ボケ「あっ!私じゃないよ、蒲生さん!私は和歌山じゃなくて台湾出身だし、そもそも食べ物じゃないからね。」


ツッコミ「分かってるわよ、それくらい!」


ボケ「おっ、蒲生さんも答えが分かったんだ!」


ツッコミ「違う!クイズの答えじゃないの!」


ボケ「正解は、熱湯でさらした鯨の尾びれだね。酢味噌やポン酢で食べると美味しくて、シャリシャリした食感がクセになるんだ。」


ツッコミ「えっ、どうしてそれが『お化け』って言うの?」


ボケ「尾羽毛おばいけって言われていたのが訛ったんだ。何しろ尾の脂が羽のような形をしていたからね。」


ツッコミ「何それ、それじゃ料理名そのままじゃない。」


ボケ「だから言ったじゃない、蒲生さん。『第2問はサービス問題』ってね。」


ツッコミ「ぬぬぬ、まんまとやられた…よし!だったら私の考えたメニュー名が何の料理か分かるかな?その名も『邪鬼を祓う神仙の恵みを封じて揺れる物』だよ。」


ボケ「えっ、それってまさか…」


ツッコミ「そう!正解は果肉入り桃ゼリーだよ!」


ボケ「わーっ!わーっ!わーっ!」


ツッコミ「ゴメン、ゴメン!そんなに驚かせる気はなかったんだよ。だけど貴女達キョンシーって、本当に桃が駄目なんだね。」


ボケ「何しろ道教の道士が持っている桃の木の剣で攻撃されたら、流石に物理的ダメージが入っちゃうからね。お陰で果物の桃にまでアレルギー反応が出ちゃう位だよ。」


ツッコミ「ホントだ!今の貴女の顔って真っ青だよ。」


ボケ「違うよ、これは生まれつきだって!」


ツッコミ「生まれつきって、もう死んでるじゃん!」


二人「どうも、ありがとうございました~!」


カラスのろうそく焼き……検索したら本当にあるんですねm(_ _;)m


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
藤村 としゆき様、こちらの【漫才】「キョンシー女子大生が考える学食の新機軸」をお読み下さいましてありがとうございます。 学食の新機軸を題材にした本作、ご評価頂けて喜ばしい限りで御座います。 このキョン…
キョンシーって、めちゃめちゃ懐かしいワードですね。 袖から跳ねながら出てくる姿が浮かびます。 それに、女キョンシーというのなら、昔の漫画で見たことありますが、娘キョンシーというのは見たことないですね…
フェアなら美味しいものもありますし、キョンシーならお化けはクリア。 カラスの蝋燭焼き…なんて知ってる人少ないのでは? さすが博学多才の大浜さま。 感服いたしました。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ