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無謀! 瞬発力企画2 会場  作者: しいな ここみ
第七回目 『愛のお化け』『ねぎ塩焼きうどん』『漆黒の翼を喪失せし者』
163/180

地湧金蓮さまのトリプルお題

猛「おかん、これ『ねぎ塩焼うどん』とちゃう」

母「えっ? なんで」

猛「『ねぎ塩焼うどん』言うんは、ねぎの塩焼き・素うどんとちゃうねん。ねぎ塩・焼きうどんやねん」

 (猛、「ねぎ塩・焼きうどん」をスマホで検索し、写真を母に見せる)

 「ほれ」


母「あ、ほんまやね。豚肉ようけはいっとるねえ。でも、わたし、わざわざスーパーに九条ネギ買いに行ったんやけど」

猛「それはご苦労さん。でも、買いに行くまえに、ネットで検索したらええやん」

母「わたし、ネギを串にさして、炭火で炙ったんやけど」

猛「いや、そういう問題ではなく」

母「あんたがちゃんと言わんから悪いわ」

猛「またすぐそうやって人のせいにする」

母「あんたは、ネギを串にさして炭火をおこして岩塩をつけてあぶった、このわたしの努力を認めてくれへん。母の愛を認めてくれへん」

猛「なあにが母の愛や。そんなん愛のおしつけやろ。愛の亡霊やん」


香「ちょっとちょっと。なあにまた喧嘩?」

母「そうなのよ香さん。猛がね、ネギ塩焼うどん食べたい言うてたから、作ってみたんよ」

猛「そんで、素うどんの上に、ネギの焼いたの載せて持ってきてんねん」

香「はあ。ネギきれいに焼けてますね。せっかく持ってきてくださったんだから、いただきましょうよ」

猛「アホか。そんなもん食えるかい」

母「まっ! そんなに気に入らなんだら、食べんとき!」

猛「そうさせてもらいます~」

母「憎たらしい、誰の子やろ」

猛「あなたの子です~」

母「かあー、もう我慢ならん」


<地の文>お母さん、どんぶり持って、ぷいっと帰ってしまいます。

そうやって、次の日の夕方【小拍子】


香「ちょっと、あなた。サ高住『漆黒の翼を喪失せし者』てとこから電話よ」

猛「は? 『漆黒の翼』? なんやそれ」

香「そこの担当者の方がね、お母さんが入居を希望されているから、保証人になってくれって」

猛「保証人? またあのおかん、なにをしてくれてんねん。ちょっと、行ってくる」

香「いってらっしゃい」


<地の文>数時間たって、母と息子、連れだって帰ってまいります。


母「(泣きながら)だってあんた、わたしのこと、『愛のお化け』言うたでしょ」

猛「愛のお化けとは言うてない、『愛の亡霊』言いましたけど」

母「一緒やないの! どこが違うの?」

猛「はー。それで。サ高住入ろうと思ったん?」

母「『ねぎ塩焼きうどん』作り方もまちがえてもうたし。一人暮らしする自信がなくなってしもうて」

猛「はあ。まあ入るにしても、もうちょっとええ名前のところなかったん?」

母「なんで? 『漆黒の翼を喪失せし者』かっこええやん」

猛「えええええー?」

母「またあんたはわたしのセンスを否定する。なんでもかんでも否定するんやから」

 (母、手に持ったハンカチで鼻をかむ。)


<地の文>そこへ、小学生の孫が帰ってまいります。


等「なに、またお父さんとおばあちゃん、喧嘩してるの?」

母「そうよお、ねえ、サ高住『漆黒の翼を喪失せし者』って、変かなあ?」

等「サ高住ってなに? 『漆黒の翼を喪失せし者』……。かっこいいじゃん!」

猛「またわけわからんセンスの人が増えた。(やけくそ気味に)ほんならお前もサ高住に住め。そこから学校に通え!」

等「そうさせてもらいます~」

猛「また。意味もわからんくせに、しょうもないことを。ほんまに、誰の子や」

等「お父さんの子です」



【終】

「サ高住」……サービス付き高齢者向け住宅



等「サ高住……。そこに住みし者は皆、人間を喰らうようになるという、あの……」

猛「等、それは寄生獣や」


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― 新着の感想 ―
似た者三世代……………。 間違いのない血のつながりを感じさせるわ( ̄∇ ̄)
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