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無謀! 瞬発力企画2 会場  作者: しいな ここみ
第七回目 『愛のお化け』『ねぎ塩焼きうどん』『漆黒の翼を喪失せし者』
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菱屋千里さまのトリプルお題

 あたしは退屈な理科の時間、ノートの隅に想像の翼を羽ばたかせていた。


  漆黒の翼で飛翔せし者

  忌み嫌われることなど ものともせず


 歌詞だかポエムだかよくわからない言葉が並ぶ。もう中三で受験だというのに、中二病が治らない。


 モップを適当に動かして掃除当番をすませ、帰宅部のあたしはさっさと家に帰る。


 家には誰もいない。ラップがかけられた、ねぎ塩焼きうどんが食卓にある。レンチンして食べておけということだ。


 母は今日もいなかった。


 今年になってなんだか機嫌がいいと思っていたら、新しいお父さん欲しくない?なんて言いだした。


――別にいらない。


 でも口から出たのは、いいんじゃない、という声だった。


 寮のある、ちょっと遠い学校を第一志望にした。系列の大学に進学できるし、制服がかわいいから、と言ったらすんなりOKが出た。学費にはお父さんの残したお金を使うのか、「お父さん」に出してもらうことになるのか。母は何も言わなかったし、あたしも訊かなかった。


 電子レンジが鳴る。ラップを外すと、ねぎの焦げた匂いが広がった。テレビもつけない。ひとりで食べるうどんは味がよくわからなかった。作ってくれたことに感謝すべきだとわかってる。でも浮かんできたのは、ひとりでうどんを食べている自分が可哀想、という気持ちだった。


 母は今日もデートなんだろう。


 皿を洗う。蛇口から出る水の音。スポンジで皿をこする。


――あたしは自己愛のお化けになるしかない。


 手を拭いて部屋に戻る。ノートを開く。


  漆黒の翼を喪失せし者

  忌み嫌われることさえ もうできない


これは綺麗


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― 新着の感想 ―
感想返信です。 ありがとうございます。 コロンさま > 難しいこのお題でも、一癖二癖な主人公が引き立ちますね。 行き詰まったら「このお題をどう書こうか考えた」ってエッセイを書こうと思ってたんです。…
うーわー(。>ω<。) 新しい恋を見つけちゃったお母さん、娘さんは放ったらかしなんだな。 いや、ご飯があるだけありがたいんだけど。 彼女、グレるくらいならともかく、へんな男に捕まんなきゃいいけど…………
この短さで3つのお題を一つも置きに行かずに使いきっていることに驚きです。 特に「愛のお化け」の扱いが巧い! そしてラストが切ない。。
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