Ajuさまのひとつのおおきな(略)2
=ひとつの大きなかたまりといくつもの小さなかけら= Aju
初めに大きなかたまりがあった。
そこから小さなかけらが生まれて世界のさまざまな地へと旅立っていった。
「男の子ですよ」
取り上げた助産師の言葉に、アメリアは微笑んだ。
父親は名前を考える。
たくましく育って、幸せになれますように。
この子の未来に、希望と神のご加護がありますように。
あれから幾年経っただろうか。
「徴兵令状がきたんだ」
「行かないで、アドルフ」
「僕は臆病者じゃない。君の住む国を守るためだ」
「足を無くしてもまだいくの? スタイナー」
「ここでやめたら死んでいった仲間たちの命は無駄になってしまう」
「ヴォルフ首相。まだ戦いを続けるのですか?」
「彼の国の大統領を動かせば、まだ十分戦える。敵を滅ぼさなければ我々が滅ぶのだ」
空を閃光が走る。
その空の下、アドルフとスタイナーは「敵」として対峙している。
その距離37キロ。
互いに姿は見えない。
発射される無人機を操るだけが、戦場での仕事だ。
かつての英雄たちのように、勇敢さも戦技も必要ない。
ただその場から離れないことだけが勇敢さの証として、当然のように求められていた。
その無人機の先にいる人の姿などは見えない。
小さな画面に映るターゲットを捕捉。突っ込む。爆発直前までの映像で画面は消える。
攻撃成功。‥‥だろう、たぶん。
ヴォルフに至っては、その閃光さえ見えない。
執務室で刻々と変化する戦場の報告を聞くだけだ。
人的消耗が大きい。
だが、ここで引くわけにはいかぬ。
勝てば歴史に残る英雄だが、引けば俺は大罪人として処刑されるだろう。
ほとんど何の前触れもなくビイイイィィという音が聞こえ、空の閃光はアドルフのすぐそばに堕ちてきた。
激しい閃光が見えたところで、アドルフの意識は終わった。
かけらたちは、ひとつの大きなかたまりに戻ってゆく。
それははるか昔から変わらない。
そこにはあらゆるものが「ひとつ」として存在していた。
愛。希望。憎しみ。願い。喜び。悲しみ。絶望。幸福。安らぎ。嫉妬。恐怖。勇気。感動。欲望。誠意‥‥‥
それは混沌と呼ばれ、太鼓の昔からひとつとして存在した。
かけらはそこから生まれ、そこへ帰ってゆく。
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<後書き>
お誕生日ものばかりではなにかと思いまして、もう一つ。。(^^;)
どーん!( ✧Д✧) 9m




