秋桜星華さまのひとつのおおきな(略)
神は人間をみな平等に作る、人間は全員平等だなんて言うが、あれは嘘だ。
人間なんて生まれたときから死ぬまで、ううん。息がとまって、誰からも忘れたときにこそ不平等だ。
「おねーさん、ほんとーにそう思うの?」
柄にもなくそんなことを考えていた私の耳に、幼い声が飛び込んできた。振り返ると、時期的には少々薄着の少年が立っている。
「あれ? ぼく、どうしたの? 今は子供が出歩いていいような時間じゃないわよ」
既に空は暗く、浜辺に伸びる月光も心もとない。海の波の音だけがあたりに響いている。
「いいんだよ」
少年はそれだけ言って、笑った。悪戯をするような、年相応の笑い方で。『にっこり』というよりは、『にやり』の方が似合う笑い方だった。
「そうなの」
私もそれだけ言った。少年がそういうのならいいのだと思った。
「それで、おねーさんはほんとーにそう思うの?」
「そう思うの、って?」
「人間が、ふびょーどーだって」
「……まぁ、そうね」
幼い少年にこれを言うのは憚られたが、いつのまにやら口が動いていた。
スマホを取り出し、SNSを開く。そこに映し出されるのは、たくさんの愛す人に囲まれ、幸せそうな人々の姿。
対して私はどうだろうか。今日は誕生日だというのに、ただ一人、海辺に佇んでいる。
──空にぽっかりと浮かぶ、月。
他の星と同じ、『星』でありながら、ひときわ明るく、大きな星。
月は大きく見えるのに、他の星は『ちいさなかけら』でしかない。
自分だって……
「ちいさなかけらでしかない、って?」
はっと顔を上げると、先程の少年がこちらを覗き込んでいた。
「そう……そうよ」
まさに思った通りのことに、私は頷いた。
「ふふふ、おねーさん、ぼく、砂の数が知りたいんだ」
少年は言った。目の前には、数え切れないほどの砂の粒が広がっている。もしかして、この全てを数えるのだろうか。
「いーち、にーい」
私が何も言わないうちに、少年はひと粒ずつ数え始めた。
「そんな数え方だといつまで経っても終わらないわ。2粒ずつとか、5粒ずつとか、10粒ずつとかまとめて数えるのよ」
思わずアドバイスをしたくなる。私の言葉を聞いた少年は、目を瞬いた。
「そうなんだ! 教えてくれて、ありがとう」
──それから少年と私は、二人で砂浜の砂を10粒ずつ数えていった。
そのカウントが1500を超えたところで、私達は数えるのをやめた。あとは無心で、手の上に10粒の砂を乗せては落とし、乗せては落とすことを繰り返した。
やがてそれもやめて、座り込んだ。
「ねぇ、この空を見上げてよ」
少年の声につられて、夜空を見上げる。
さっきまでは月しか見えなかった紺色の空に、散りばめられた小さな星たちが輝いていた。
しばらく、浸っていた。その時間に。陳腐に言うなら、幸せだった。
振り返ると、いつの間にか少年は姿を消していた。
今日は私の誕生日、ちいさなかけらの私にも届く光がある。
《お誕生日おめでとうございます!》
届いたメッセージに私は微笑んだ。
ほらね。
――――――
おおきなかたまり=月、
ちいさなかけら=星でイメージしたのですが、何故かぜんぜん違うものに(;´Д`)
改めましてしいなさまっ!
誕生日おめでとうございますっ!!
ありがとうございます(•ᵕᴗᵕ•)⁾⁾
『無能の人』みたいな趣きがありました(。-人-。)




