表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無謀! 瞬発力企画2 会場  作者: しいな ここみ
第五回目 『ひとつのおおきなかたまりといくつものちいさなかけら』
123/180

秋桜星華さまのひとつのおおきな(略)


神は人間をみな平等に作る、人間は全員平等だなんて言うが、あれは嘘だ。


人間なんて生まれたときから死ぬまで、ううん。息がとまって、誰からも忘れたときにこそ不平等だ。



「おねーさん、ほんとーにそう思うの?」



柄にもなくそんなことを考えていた私の耳に、幼い声が飛び込んできた。振り返ると、時期的には少々薄着の少年が立っている。



「あれ? ぼく、どうしたの? 今は子供が出歩いていいような時間じゃないわよ」



既に空は暗く、浜辺に伸びる月光も心もとない。海の波の音だけがあたりに響いている。



「いいんだよ」


少年はそれだけ言って、笑った。悪戯をするような、年相応の笑い方で。『にっこり』というよりは、『にやり』の方が似合う笑い方だった。



「そうなの」


私もそれだけ言った。少年がそういうのならいいのだと思った。



「それで、おねーさんはほんとーにそう思うの?」


「そう思うの、って?」


「人間が、ふびょーどーだって」



「……まぁ、そうね」


幼い少年にこれを言うのは憚られたが、いつのまにやら口が動いていた。


スマホを取り出し、SNSを開く。そこに映し出されるのは、たくさんの愛す人に囲まれ、幸せそうな人々の姿。


対して私はどうだろうか。今日は誕生日だというのに、ただ一人、海辺に佇んでいる。




──空にぽっかりと浮かぶ、月。


他の星と同じ、『星』でありながら、ひときわ明るく、大きな星。


月は大きく見えるのに、他の星は『ちいさなかけら』でしかない。



自分だって……



「ちいさなかけらでしかない、って?」


はっと顔を上げると、先程の少年がこちらを覗き込んでいた。



「そう……そうよ」


まさに思った通りのことに、私は頷いた。



「ふふふ、おねーさん、ぼく、砂の数が知りたいんだ」


少年は言った。目の前には、数え切れないほどの砂の粒が広がっている。もしかして、この全てを数えるのだろうか。


「いーち、にーい」


私が何も言わないうちに、少年はひと粒ずつ数え始めた。


「そんな数え方だといつまで経っても終わらないわ。2粒ずつとか、5粒ずつとか、10粒ずつとかまとめて数えるのよ」


思わずアドバイスをしたくなる。私の言葉を聞いた少年は、目を瞬いた。


「そうなんだ! 教えてくれて、ありがとう」


──それから少年と私は、二人で砂浜の砂を10粒ずつ数えていった。


そのカウントが1500を超えたところで、私達は数えるのをやめた。あとは無心で、手の上に10粒の砂を乗せては落とし、乗せては落とすことを繰り返した。


やがてそれもやめて、座り込んだ。



「ねぇ、この空を見上げてよ」


少年の声につられて、夜空を見上げる。


さっきまでは月しか見えなかった紺色の空に、散りばめられた小さな星たちが輝いていた。



しばらく、浸っていた。その時間に。陳腐に言うなら、幸せだった。


振り返ると、いつの間にか少年は姿を消していた。



今日は私の誕生日、ちいさなかけらの私にも届く光がある。


《お誕生日おめでとうございます!》


届いたメッセージに私は微笑んだ。


ほらね。




――――――


おおきなかたまり=月、

ちいさなかけら=星でイメージしたのですが、何故かぜんぜん違うものに(;´Д`)


改めましてしいなさまっ!

誕生日おめでとうございますっ!!


ありがとうございます(•ᵕᴗᵕ•)⁾⁾


『無能の人』みたいな趣きがありました(。-人-。)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
この彼は一体何者だったんだろうなあ。 砂粒を1,500以上も数えたツワモノ……………。 そんな大昔の吸血鬼のような事をせんでも……。 (吸血鬼または人狼が家の中に入るのを防止するには玄関にたくさんの芥…
砂を数えるシーンが、なんともいえず‥‥いいです。
喪女ネタキタァァァァァ!(狂喜乱舞) きっとどこかに幸せはあるよ!(ニヤリ)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ