しいなここみのひとつのおおきな(略)
仕事帰り、スーパーマーケットでお惣菜のからあげを買った。
見るからにぶっちゅぶっちゅにオイリーでうまそうだったので。
見た目に一番そそるやつを選んだ。衣が海のように波打っていて、その中にお肉がたっぷりと潜んでいそうなやつだ。
部屋に帰った時にはお腹がペコペコだった。
ごはんが炊けるまでなんて待てない!
仕方なく日本酒を紙コップに注ぎ、くぴっとやった。
いや! 違うだろう! 日本酒で空腹は埋まらない!
パックのからあげを興奮しながら開けた。
「おぉう……!?」
思わず声が出た。
「な……、なんだこれは……」
『なんだなんだ』
寝ていたフェレットのナッくんが気配を察して出てきた。
『どうした? 何があった? ミルクか?』
「これ見てよ、ナッくん」
『ミルクか?』
「ちがうちがう。このからあげ──」
パックの中は衣の海みたいになっていたので、買う時には気がつかなかった。
めちゃめちゃデカいかたまりが、ひとつある。ほんとうに中までちゃんと揚がっているのか!? と心配になるほどのデカさだった。
そしてその他はすべてちっちゃなかけらだった。ほぼ衣と皮だけでできたかけらが、ちまちまとパックの中に転がっている。
まるで巨大な太陽と隕石群!
お箸を手に取り、当然のように、まずはおおきなかたまりを持ち上げた。
「重……っ!」
お箸が折れかけた──なんてことはもちろんなかったが、重みで箸から落ちそうにはなった。
一口で食べきるなんて到底無理だ。齧りついて三分の一ほどを引きちぎり、頬張った。三分の一でも口の中がいっぱいになった。
期待通りのオイリーさについ、笑顔になった。
『おれもペロペロしたい』
フェレットくんが目を輝かせて私の肩に手をかけてくる。
ミルクを作ってフェレットくんを大人しくさせ、お次はかけらのほうへ箸を向けた。
こちらはまたオイリーながらカリッカリ! 中身の皮はムッチムチ!
「うまーし!」
ここのからあげは安くて美味しくて、ボリューミーなのだ。最近はお金がなくてあまり買えないが、以前はよく買っていた。
ただ、いつもは同じぐらいのおおきさのが四個〜五個入っているのだが……
今回はおおきなかたまりが一個と、ちいさなかけらが六個ぐらい。こんな偏ったのは初めてだった。
面白い──
「あっ……」
この時、思いついたのである。
「あさっての瞬発力企画に出すお題、これにしよう!」
元々第五回目に出す予定だったお題は『漆黒の翼を喪失せし者』だったのだが──
急遽お題を差し替えた。




