サバイバル・ココア:極寒のベランダで一息つく方法
深夜2時。参考書と格闘していたペンをカタっと置く。
暖房でぼーっとした頭に、冷たい刺激が欲しくなった。私は台所へ忍び込み、手慣れた手つきでカチャカチャと......漆黒と純白の粉を投入する。
「よし、行くか」
ジャージの上に、使い古した部活のベンチコートを羽織る。 両手で抱えたマグカップだけが、今の私の全財産。
アルミのサッシを勢いよく開けると、待ち構えていた木枯らしが、まるでタックルでもしてくるかのように全身にぶつかってきた。
(さあ、ここからが本当のサバイバルだ!)
ヒュゥゥゥー……!と激しい風が吹いていく。
モヤモヤが吹き飛び、清々しさを感じたのは一瞬。次の瞬間、足の指先から感覚が消えていく。サンダルの薄いゴム底越しに、ベランダのコンクリートが牙を剥く。
だが、私は屈しない。
「ズズッ……」
……熱い。そして、甘い。 漆黒の闇の中、このマグカップから立ち昇る湯気だけが、私のセーフティゾーンだ。 鼻先をかすめるココアの香りが、凍りついた思考をゆっくりと溶かしていく。
見上げれば、冬の星座がやけに鮮明だ。勉強机の前では決して味わえない、この命の脈動。 私は今、確かに「生きて」い――
ガラッ!
「ちょっと!あんた、こんな夜中にベランダで……何してんの!風邪引くよ!」
「……あ、いや、これは、サバイバルの訓練……を……」
「いいから早く入りなさい!ココアこぼすわよ!よそ見しない!」
……こうして、私のサバイバルは、わずか3分で幕を閉じた。 部屋の暖房は、さっきよりずっと、温かく感じられた。
最後までお読みいただきありがとうございました!
漆黒のココアと純白の砂糖を手に、深夜のベランダという名の戦場に挑んだ受験生の記録、いかがでしたでしょうか。
苺コッペパンに続き、今回は甘い飲み物。 どうやら冬木は、甘いものを摂取して一息つくキャラクターを書くのが好きなようです。
皆様も寒い日が続きますが、温かい飲み物でご自愛ください。
もし「ココア、美味しいよね」と思っていただけたら、評価やブクマで応援いただけると、私の心もベランダからリビングに戻った時のように温まります!
また次回の物語でお会いしましょう!
苺コッペパンはこちら
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