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(仮題)異世界で死にかけた少年と入れ替わった独身アラフィフサラリーマン、スキルが『絶対無敵ロボ アポロンカイザー』だった  作者: Y.A


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第九十七話 黒い玉

「メリー亡きあと、下等生物の同士討ちを任せられる者がいなくなり、妾は非常に難儀しておる。新任の四天王を生み出すには時間がかかるのでな」


「ならば繋ぎを用いるのがよろしいかと。もうすぐこの『南洋極基地』も完成し、全銀河全滅団はこの惑星の完全制服を始める予定です。メリーが操っていたゾーリン王国がある大陸には、絶対無敵ロボ アポロンカイザーとセクシーレディーロボ ビューティフォーを操る者たちがおります。繋ぎの者に時間稼ぎをさせ、さらに疲弊したゾーリン王国を占領させて負担を与える。その間に、他の大陸を支配してしまいましょう」


「さすがは、妾の参謀たるルース。実に素晴らしい作戦ではないか」


  絶対無敵ロボ アポロンカイザーとセクシーレディーロボ ビューティフォーを操る下等生物たちが大陸を統一していい気になっていたら、他はすべて妾たちにより支配されていたというわけだな。

 メリーの損失は痛いところだが、代わりがいないわけでもない。

 生み出した駒は、惜しまずに使っていかなければ。


「まずは、ゾーリン王国なる国に地獄を生み出してくれようぞ」


 現在妾が生み出したすべての赤い球と青い球。

 そして、この世界の下等生物や魔獣なる生物を殺すことで増えた力、レベルも大分上がったので得られた『黒い球』。

 数は二つしかなかったが、これの使い道についてはもう決まっていた。


「黒い球は滅多に得られず、用途も非常に特殊なものだと妾は理解した。過去に妾が機械大人と機械魔獣にした者たちを一度だけ復活させられるそうだ。このようなことは、この世界で生まれ変わる前にはできなかったのだが……」


「さすがは、アルミナス様。この世界において、新たな力を得られたのですね」


「妾は確実に成長している。一方、絶対無敵ロボ アポロンカイザーとセクシーレディーロボ ビューティフォーはこれ以上強くなることはない。次こそは、二体ともバラバラにしてくれようぞ」


「ところでアルミナス様、黒い球でどの機械大人を蘇らせるのですか?」


「簡単なことだ。あやつらが最も嫌がる機械大人を二体蘇らせてくれようぞ。さらに黒い球には、機械大人を強くする効果があるようだな。もしかしたら、妾が直接手を下すまでもなく、絶対無敵ロボ アポロンカイザーとセクシーレディーロボ ビューティフォーはスクラップになってしまうかもしれないな」


「それはよろしゅうございますな」


「というわけだ。ルース、今はこの基地の完成を急がせるのだ」


「はっ!」



 感情などというくだらないものに右往左往する下等生物よ。

 蘇った機械大人に驚くがいい!

 さて、他の大陸に機械魔獣を送り出し、下等生物と魔獣の数を調整しつつ、妾もレベルアップを続けるとするか。





ダストン・バルザーク(16)


レベル1999


スキル

絶対無敵ロボ アポロンカイザー


解放


カイザーパンチ

カイザーキック

カイザーニードル

カイザーアイビーム

フィンガーミサイル

コールドフラッシュ

ダブルアームトルネード

ロケットパンチ(爆破)

アームミサイル

カイザーキャノン(背中)

カイザーサンレインボーアタック


無敵剣

豪槍ごうそうアポロニアス

スペースブーメラン

為朝の弓

スペースヌンチャク

スペース青龍刀

カイザースコップ

カイザーガン


アトランティスベース(基地)召喚


プラム・ラーベ(17)


レベル1999

スキル

セクシーレディーロボ ビューティフォー


解放

レディーパンチ

レディーキック

パイオツミサイル

ヘッドレーザー

ダブルブーメラン


修理キット




「もうすぐレベル2000なのに……」


「私も同じです」


「…… ハンターでレベル1000を超えている人なんて、陛下と王妃様くらいですよ」


「そうなんだ」


「レベル500くらいが限界と言われていますし、そんな人は滅多に出ませんけどね。レベル100を超えたら一流の世界ですから」


 ゾーリン王国に出撃する前、俺はランドーさんを呼んで彼をこの大陸におけるハンター協会の責任者に任命した。

 はっきり言って、この人事は俺の独断である。

 だがこのところの戦乱のせいで、この大陸のハンター協会は大きく混乱していた。

 先の連合軍に参加させられた多くの凄腕ハンターたちが戦死し、戦後の治安悪化の影響で暴徒たちに襲われて支部が焼き払われ、職員たちに犠牲者が出たり、活動を停止してしまった支部もある。

 大半の支部はそれぞれに活動を続けていたが、各支部間の連絡が途絶え、魔石と魔獣の素材の流通と輸送に大きな影響が出ていた。

 これまでは少なくとも、この大陸においては、ハンター協会の上層部が各支部をコントロールして、魔石と素材が足りなければ、余っている支部から輸送したり、買取金額を上げさせて供給量を確保したりしていた。

 だが今は、あまりに不測の事態が起こりすぎているため、幹部たちはなにもできずに右往左往し続けるのみであった。

 そして実は、ハンター協会のこの大陸における本部はゾーリン王国にあった……とまで言えば理解してもらえると思う。

 戦費徴収の名目で、ハンター協会の本部はゾーリン王により略奪され、焼き払われてしまったそうだ。

 すべての資産、魔石、素材を差し出せと言われた幹部たちは、ゾーリン王が本気なのを理解できなかった。

 けんもほろろに断ったら、すぐさま強行手段に出たようだ。

 この大陸を統括していたハンター協会本部が物理的にも消滅してしまったため、俺が急遽ランドーさんをその任に命じたというわけだ。

 本来俺にその権限はないのだが、大陸の三分の二を統治するようになった新ラーベ王国でハンター協会が機能していないと、統治にも大きな影響が出てしまう。

 急ぎこの大陸のハンター協会の再編、統括をしてもらわなければいけなかったのだ。


「間違いなく、ハンター協会はこの人事を黙認すると思います」


「そうなんだ」


「ええ、ハンター協会総本部はバカではありません。現在この大陸で起こっている事態を把握していますし、だからこそこんな危ない所には赴任したくないでしょうからね」


「なるほど……」


 世界規模の組織であるハンター協会に手を出す王様がいた。

 ここ数百年なかった暴挙であり、さらにこの大陸はいまだ戦乱が続いている。

 こんな危ない所に赴任したくないので、ランドーさんに丸投げしても問題ないというわけだ。


「救いがない話だな」


「ただ今の状況を考えるに、総本部も騒乱とは無縁でいられないはずなんですが、実際に経験しないと危機感を抱かないのでしょうね」


 突然、心に闇を抱えた人間が金属製の巨大なゴーレムになってしまい、町を破壊して人々を殺してしまうのだ。

 実際に経験してみなければ、そんなことはあり得ないと思うのが普通であろう。


「女帝アルミナスは、この世界どころか、星の海まですべて征服しようとしている。 もうすぐ他の大陸にも手を出してくるはずだ」


 ランドーさんがハンター協会総本部に対し、警告を含めた今この大陸で起こっていることを書状で送ったそうだが、反応が薄いらしい。

 人間が金属の巨人になってしまうなんて事実は俄かに信じられないだろうし、他の大陸はいまだ機械大人と機械魔獣による被害を受けていない。

 手の打ちようがないというのが事実なのだろう。


「ようするに、陛下がこの大陸を統一し、私がこの大陸のハンター協会を立て直すということですか」


「悪く言われるかもしれないが、やらなければならないのですよ」


「わかりました……陛下も王妃様も、随分と遠いところまで来てしまいましたね」


「人生とは本当にわからないよなぁ……」


「巨大なゴーレムを操縦したり、王家を勘当されたのに王妃になったり。確かに波乱万丈ですね」


 それでも俺の唯一の救いは、大好きな絶対無敵ロボ アポロンカイザーを操縦できることだな。

 アンナ・東城に似たプラムと結婚できたというのもある。

 このまま絶対無敵ロボ アポロンカイザーを極めていくことにしよう。

 愛するプラムと共に。


「ゾーリン王国内のハンター協会は壊滅状態だ。こちらに逃げて来た職員たちも多いから、どうにか立て直してほしい」


「やってみましょう。ご武運を」


 ランドーさんの了承を受けたので、俺とプラムは安心してゾーリン王国領内に侵入したのだが、そこでさらなる強敵との戦いに巻き込まれることになったのであった。

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