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伯爵令息転生女子  作者: くるみ
第2章
92/229

28 逃走

私はエド王子から逃げないといけない。

でもどうやって?

いい考えが浮かばない。


「エド様、私はそろそろお暇しようと思います」

「なら俺が部屋まで送ろう」


げっ…それは勘弁。


「1人で帰れますよ」

私は笑顔を貼り付けて言う。


「どこに?」

エド王子に冷静に問われる。


「えっと…」

ヤバい!男子寮だ!


「えっとですね…まずこのドレスを着替えて…」

「ではそうするか」


手を引かれた。

エド王子の腕に手を誘導される。

エスコートというやつだよね。

腕に掴まって歩く。


さっきも会場に入って来るときにやったけど。

あの時は、緊張と混乱で頭が真っ白だったから。


今の状況はすごく照れるなぁ。

自然に手を誘導された。

うわ、どうしよう。

こんな事でドキドキしてしまう。



王女の控え室に着いた。

お姉ちゃんがエド王子に連絡してくれていたようだ。


そういえば、私の荷物もここに置いてあるんだった。

肩から掛けられる4次元カバンで、そんなに大きくはない。



エド王子は外で待っているという。


王城から呼ばれたであろう侍女さん達が数名待機していて、

ドレスを脱がせるのを手伝ってくれた。

髪型も慣れた感じであっという間に整えてくれた。

さすが、王城の侍女さん達は優秀だなと思った。



それにしても、本当は男装に戻りたかったんだけど。

女子の服装をするしかなかったんだ。

無難にワンピースを着る。

レベッカに比べると地味な女子だ。

よし、地味最高。


それでも、他の出口がないか一応聞いてみる。

「エドモント殿下が待っていらっしゃいますよ」

と、にこやかに言われてしまった。

そうか…たぶんここにいる侍女さんはエド王子の味方だ。

お礼を言って、諦めて部屋から出る。


エド王子は私を見ると、嬉しそうに笑う。

それを見ると、心臓がギュッとなる。

これってエド王子にときめいている…のかな?

ダメダメ。絶対そんなことあるわけない。


ドレスを脱いでこんなに地味になった自分を見ても、

彼は嬉しそうだった。


また腕を組んで歩いていく。


「エド様。一人で帰れます」

「エスコートするっていうのは、家に送り届けるまでだ。

もう外も暗いし、疲れただろう。送っていく」


えー。

私だって男装のコリンになれば容易いよ。

そうすれば走って帰るよ。



ダンスホールの前で、エド王子は馬車を呼んでくれるみたいだ。

御者さんと何か話している。

私は彼の注意が逸れたその隙に、建物の陰に隠れた。


すると、なんとそこにはキャロルさんがいた。

「風子、こっち」

腕を引っ張っていかれる。

逃げやすい道に誘導してくれているようだ。

一緒に小走りで移動した。


「何でここに?」

「心配だったんだよ。

あんたのことだから、今になってエド様から逃げたいんでしょ?」


「うん…」


「あんたが思っている以上に執着していると思うよ、あれは。

気をつけた方がいい。

私たちの用意してる控え室があるからそこで着替えたらいいよ。

そこなら男性に戻るのも大丈夫だから」


「…うん」

良かった。何とかなりそうだ。



「それにしてもすごいね。前世の風子だよね、その顔。

変身したんだ?」


「エド王子とレベッカを一緒に踊らせたくなくて。

前から用意してたんだ」

「そっかー。それでか」


「あかりちゃんは、コリンと踊るはずだったんじゃないの?」

「それはないよ。初めからあんた達が入れ替わる予定で動いていたから。

ごめんね、あまり早い段階で計画を明かすことができなかったんだ。

もしかして誤解してた?」


「私の婚約者が取られたと思って」


「やっぱりそうなるよね。ヒナタ、詰めが甘いな。

風子の気持ちや行動力を甘く見ていたよね。

それでこんな困った状況になってるのに」


ダンスホールから比較的近い建物の一階部分。

そこに控え室があるそうだ。

私たちは建物に入って、廊下を少し進んだ。


あるドアの前に立って入ろうとしたところで、後ろから腕が伸びてきた。



「あっ?ーーー」


「あかりには悪いけど、風子は貰っていくよ?」


エド王子が後ろから私を抱きしめるように拘束していた。


そして、もう片方の手を伸ばしてあかりちゃんを瞬時に眠らせてしまった。

彼は彼女のことも倒れる寸前で抱きとめ、ドアと反対側の廊下の隅に移動させた。



物音に気付いた侍女が部屋から出てきた。

レベッカの侍女、マーサだった。


私はあとちょっとの所で捕まってしまったみたいだ。

マーサはエド王子に何も言わない。

きっと王族相手だから何も言えないのだろう。

驚き、戸惑っている様子だった。


「彼女を頼む」


エド王子はあかりちゃんを見ながらマーサに向かいそう言うと、

私を抱きかかえてその場を去った。



あかりちゃんはヒナタ側というよりも、

単純に私を心配して助けようとしてくれていたんだろうと思った。

でも、今さら気付いても遅いのかもしれない。


不機嫌そうなエド王子は、私を横抱きに抱っこして、ズンズンと来た道を戻っていく。

私はどうなってしまうんだろう。


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