22 キャロル
私は、エド王子に渡すためのプリンを持って寮を出た。
考え事をしながらあてもなく歩いた。
さっきのキャロルさんの言ったことを信じれば、
ヒナタがやろうとしていることに、いざとなったら賛同するべきで。
彼女は、前はエド王子に協力してたけど、
今はヒナタに協力してる…ってこと?
エド王子に気をつけてと言われたけど。
気をつけるも何も、もともと友人…
今はダンスパーティーのパートナーだけど。
ダンスパーティーで気をつけろということなのかな。
気が早いよね。
彼女がヒナタにダンスのパートナーに誘われたという割には、
2人がダンスの練習をしているのを見かけない気がする。
私は、エド王子がいる日はダンスホールに連れていかれて3曲は踊らされてる。
最初に見た日以来、ヒナタたちのことは見ていない。
別の場所で練習してるならわからないけど。
歩いているとエド王子が近づいてきた。
待ち合わせ場所とは違うんだけどな。
「どうかしたのか?
待ってても来ないから探したんだぞ」
声をかけられた。
「ちょっといろいろありまして。
あ、これ、どうぞ」
プリンを渡した。
エド王子は嬉しそうだ。
「ドレス、ありがとうございました」
改めてお礼を言う。
「お前が俺を選ぶなら、何着でも用意するぞ」
そう言って、荷物を持っていない方の手で、手を握られる。
うわーっ。
手を握られるのはよくあることだけど、
彼の手は大きく、男性であることを嫌でも意識してしまう。
振りほどいて逃げたい所だけど、今日は聞きたいこともある。
「あの……」
「何だ?」
あかりちゃんの事を聞くのを躊躇う。
手は握られたまま。距離が近い。
「さっき、キャロルさんに会いました。
エド様の知り合いだそうですね?」
「ああ、あかりのことか。
あいつならヒナタに寝返ったよ」
「え?」
聞くのを躊躇ったのがバカらしくなるほど簡単に返された。
「どうせ聞いたんだろ、俺のやったことを。
別に隠すようなことでもないからな。
3月のことじゃないのか?
お前が寮に閉じこもってたら何も動きがないと思って、
利用させてもらった」
「えー」
「お前、最初は俺があかりだと思ってたんだよな?」
「…そうですけど」
「だから、あかりを見つけた時は興奮したよ。
あー、でもあいつ、最初は記憶がなかったんだけどな」
前世の記憶を取り戻してからは、エド王子に協力したがらなかったという。
「ごめん、面白そうだったから近づいたのもあるけど、
やっぱ俺お前のこと諦められないから、引っ掻き回した。
それだけだ。
あいつ今は、ヒナタの方に取り込まれてるからな」
そうなんだ。
あれ、ヒナタに取り込まれてるってどういう状況なんだろ?
あかりちゃんを取り込むのは、何が目的??
うーん。わからない。
「ヒナタは何を考えてるの?」
エド王子は顔を顰めて
「俺にわかるわけないだろ」
と、言い放った。
レベルを上げるために一緒に行動はするが、
それ以外は別で、何でも知ってるわけではなさそうだ。
「俺も、何でヒナタがお前をパートナーとして誘わなかったかは気になってる。
でも、俺にとっては罠だったとしても、この機会を利用するしかないんだ」
なるほど、エド王子の考えが少しわかったかも。
ん?…ギュッと手を握られた。
「エド様、そろそろ手を離していただけますか?」
「やだ」
「………」
結局、そこで私たちは解散した。
ヒナタは何を企んでいるのだろう。




