17 ダンスシーズン
11月になった。
去年のように、ダンスパーティーの練習をする時期になった。
去年の今頃は、レベッカとダンスの練習をしていたんだ。
自分からダンスパーティーのパートナーに誘ったりもしたな。
いろいろあったので、あの頃が夢みたいに思えてしまう。
ダンスの練習の相手を見つけないといけない。
ダンスの練習は、学年ごとに行われる。
ヒナタとは学年が違うので、一緒に練習には出られない。
そのヒナタ達も、最近学園に戻ってきていない。
2学期の最初の方に一回来たぐらいで、全然会えていない。
ダンスの練習は、その都度、空いてる人とすることにした。
こういう時、相手がいないと辛い。
女子同士踊ることもあった。
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何日か経つと、ヒナタとエド王子とクロウが学園に帰ってきた。
念話装置で連絡して、自作のお菓子を持参してヒナタに会いに行ってみる。
普通の当たり障りない会話で終わってしまった。
「テストもあるし、あまりかまってあげられないかも。
ごめんね」
って言われてしまった。
ダンスの練習どころか、誘ってももらえなかった。
女子なのに…自分から誘うべきなのかな?
こういう時、婚約者なら普通に一緒に出るものだと思っていたんだけど。
王女であるお姉ちゃんに質問すると、
「一応、公式な場所ではないからね…」と、言葉を濁された。
学園の行事であって、本来の社交界の舞踏会とは扱いが違うらしい。
そもそも、年齢が低いと、夜会には出られないものだし。
夜開かれる舞踏会に参加するための練習の場所、という位置付けだという話だった。
数日悶々と過ごす。
たまに、こんな地味にしているのに、
クラスメートなどの男子からパートナーに誘われることもある。
丁寧に断る。
エド王子が一番問題だった。
休み時間ごとに誘ってくるぐらいの勢いで。
私は、途中から女子トイレに逃げ込むのだった。
エド王子がいる日は、1日の最期の授業は、サボるか途中で抜ける。
放課後まで残ってしまうと、ずっとパートナーになれと誘われ続けるのだ。
エド王子のしつこさとの根比べだと思っていた。
ある日の放課後、学園内を歩いているとヒナタを見かけた。
キャロルさんと一緒にいた。
その後聞こえてくる噂話で、
ヒナタはダンスパーティーのパートナーに、キャロルさんを誘ったそうだ。
私は呆然としてしまった。
その日1日何も手に付かなかった。
でも、ダンスの練習はしないといけないだろうなと思った。
以前、放課後に時間ができると、ダンスホールで練習した。
それを思い出して行ってみた。
…来なければ良かったと思った。
そこにはヒナタとキャロルさんがいて、練習していた。
何も言えずに立ち去ろうとして振り返ると、
クロウが立っていた。
「あ…」
「良ければ私と練習しますか?」
「……」
あまりの寂しさで、クロウの誘いに乗ってしまった。
場所は違う所に移った。
空いた教室もいくつか解放されているのだ。
「ヒナタは何を考えていると思う?」
ダンスの練習をしながら聞いてみた。
「わかりませんね」
レベッカとして、クロウと踊るのは初めてだ。
クロウって背が高いんだ。
去年の事を思い出してみれば、
男同士でよく練習していた事を思い出す。
あの時はドキドキしてたと思うけど。
今はそれどころじゃない。ヒナタが気になってしまって。
私がレベッカになり、女性パートを踊っているのが去年との違いかな。
クロウがしばらく一緒に練習してくれることになった。
私が落ち込んでると思って、彼なりに気遣ってくれたんだと思う。
そういう優しさはある人なのだろうと思った。
帰り際に手を取られ、手の甲にキスをされたのにはびっくりした。
「タダ働きでは割に合いませんので」
と妖艶な笑みを残して帰っていった。




