表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
伯爵令息転生女子  作者: くるみ
第1章
8/229

7 自己嫌悪

伯爵領に帰って、専属の侍女をデイジーに替えてもらってから1ヶ月ほど経った。

最近、微妙な空気を感じている。

デイジーちゃん、距離感近くない?

不機嫌そうな時もあったりするし、変だなと思えてきた。


経験上から考えると、嫌われた?って思うんだけど、

嫌われてる感じではないようにも思えて。

女子って難しい。

いや、自分も女子なんだけど、キラキラ女子じゃなかったから、

女の子ーって感じの子の気持ちがあまりわからないのよ。


この空気感は、もしや、逆に男として意識されてるのではないかと思い当たった。

自分に自信が持てる女子だったら。

好きな人には近づきたい。

でも押しても相手が響かなかったら?

不機嫌になったり悲しくなったりするだろう。

中身が女の私を押しても現状何もないわけで。


こないだなんて、けっこうな至近距離で見上げられたこともあった。

ああいう場合って、もしやキ…キスとかしちゃうシチュエーションだったりして?

イヤーっ(赤面)。

さりげなく距離を取ったわけなんだけど。

かわいかったけどさ。無理じゃん?やっぱ。

女の自分としては。


ヤバい、男性を避けるあまりに、女性の使用人を望んだのに、

逆に相手に意識されるとか……。気のせいかもしれんけど。



兄様に相談してみようと思って、部屋を訪ねた。

「え、今気づいたの?」という回答をいただいた。


「クロウからの報告で、お前が懸想してた相手とうまくいかなくなって…

つまり傷心…したんじゃないかということを聞いていた。

そして専属を替えてほしいということだったから、

それはつまり、別の子で心の隙間を埋めようとしてるんだと推測したわけだ。

で、将来的に、身分的に釣り合いが取れて、性格も合いそうな子を厳選したんだけど。

余計なお世話だったか?」


えー。全然誤解されてる。

私の悩みは本当はそこじゃない。


「10代で結婚するのは珍しくないし、婚約者がいる奴も多い。

堅物のお前は一途に誰かを想い続けるのだろうなと思ったが、それが叶わないとなると、

身分相応の相手を今から探してーーーーー」


「兄様の気遣いには感謝しますが、新しい恋をと望んではいませんでした」


ーーー自分にその気があるならいざ知らず、

今は(というか、これから一生)恋なんて考えられない。


少女の気持ちを踏みにじる結果にさせてしまった。

まだ相手の気持ちを明確に確かめたわけではないけど。

失敗だ。

そう思っていたことが顔に出ていたようだ。


兄は言った。


「コリンが懸想していた相手とは、アイリス王女殿下か?」

うわ、兄様にも伝わってたんだ。

と、顔に出たらしい。


「そんな顔をするな。実は王女が私を通して、お前に面会したいという話を何度か頂いている。

デイジーのことはうまく処理する代わりに、私ともう一回王都に来い。

魔法学園にも私と同じ学年で入学できないか掛け合ってみよう。

知ってるだろうが、アイリス王女も同じ学年だ。

デイジーとは物理的に距離を置くのだ。

王女様との繋がりができるのはうちの伯爵領としても有り難い話だからな」


うわ、イケメンの兄様が

「俺と一緒に王都に来い」ってセリフを言った。イケボで。

何かのゲームにあったよな、あんなセリフ。

王都?…帝都?

いやいや、どこに引っかかってる。そんな事を考えてる場合じゃない!



「…兄様。王女様とはそういう…恋愛や結婚に至ることは絶対にありません」


だって、たぶん前世の姉だし。そういう気持ちにはならないと思う。


「ああ、そうなのか……でも、もしーーー

いや、私も正直、王女様がお前に興味がある様子なことには驚いている。

会うだけでいいとおっしゃっておられるのだ。

お前の魔法学園入学の話もその筋から出たことだ。

実力的にも問題ないと私も思ってる。父様も認めてる」


「ーーーっ、ですがーーー」


「先のことはわからないが、一度私と一緒に王都に行こう?

デイジーのことはこちらで何とかする。気にするな。わかったな?」


「わかりました」


人心掌握する術を持ってる兄様のことだ、うまく処理してくれるのだろうな。

うまく立ち回れない自分が不甲斐ない。


「クロウにはまた、お前専属に戻ってもらう。

気まずいかもしれないが、うまくやってくれ。こちらからもフォローしておく」


「ありがとうございます」


正直気が重かった。


こうして、また王都郊外の別邸に戻ることとなった。

兄様と、クロウも一緒だ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ