14 挨拶
女子寮に戻った。
次の日になってヒナタから連絡があった。
「実家に戻る?」
「うん、そうする。挨拶しなきゃなと思ってたところだし」
「挨拶?」
「伯爵家に」
…うちの実家に挨拶。
婚約のことだろうか?
実家に帰らないのかと前日聞いた事で、
なぜかわからないが、うちの実家への挨拶を思い立ったようだ。
「何で今?」
「往復だけで1週間以上はかかるでしょ。
冬期休暇よりも、夏期休暇の方がいいかなと思って。
あと、魔物討伐の依頼もそっちの方面で数件あるから」
「魔物討伐?」
「強めの魔物が出た時は行くんだよ。
まぁ、行ってみたら騎士団が出向いた後という場合もあるんだけどね」
そうか、そういうのもこなしてレベル上げするのか。
前に聞いた気がする。
いろいろ準備して、次の日に出発することになった。
私も4次元ポケット的なカバンをもらったので、荷物は多くない。
ただ、メンバーが…クロウとエド王子だった。
再びこのメンバー。
馬車で移動だ。
「エド様は、最近公務には出ないのですか?」
と、聞くと、
「父上から、しばらくレベルを上げていいと、公務は基本免除されてる。
外せない公務があれば出るけどな」
と返された。
なるほどー。
エド様のお父さんは王様なんだよね。
今まであまり深く考えたことなかった…
ついじっと見てしまう。
「なんだ、その顔は?」
「エド様って、王子様なんだなと思って」
「は?今さら何言ってんだよー」
頭をグリグリされた。
ヒナタに睨まれた。
2人とも黙る。
クロウは何も言わずに窓の外を見ている。
こんな感じで、
相変わらず、ちょっと居心地の悪い道中だった。
伯爵領に着く前に確認したい事があった。
今のまま入れ替わったままでいるのか、本来の状態に戻るのか、ということだ。
「一旦元の身体に戻った方がいいでしょうね。
入れ替わった状態でボロが出たら困るでしょう」
クロウが言った。
伯爵領の本邸の手前で入れ替わることになった。
馬車を止めて、御者の人には休憩してもらうことにして、車内に2人残った。
また、軽く5分くらいはかかってしまったようだ。
外にいるクロウに急かされる。
その後、無事に出発して伯爵邸についた。
あらかじめ早馬で連絡してあったようで、
父様も母様も出迎えてくれた。
エド王子のことは、父も母も知っているのだが、
今回はお忍びということにしてある。
一通りの挨拶をして、応接室でティータイムとなった。
クロウは使用人として奥の方へ行ってしまったが。
エド王子も、しばらくすると客室に案内されていった。
屋敷内で王子ということは伏せられ、
コリンの友人の1人、上流貴族の子息という扱いで通すようだ。
両親と私とレベッカが残された。
婚約の話だ。
婚約の話はすでに決まってしまっていたが、
うちとしては悪い話にはならない感じなので、
両親主導で和やかな感じで話をするだけだった。
「ご挨拶が遅れてしまい、申し訳ありませんでした」
って、ヒナタはレベッカとして何回も謝っていた。
母はレベッカを見て
「可愛らしいお嬢さんね」
って嬉しそうにしてた。
途中から兄様も来て、いろいろ話をしたんだけど。
私の婚約のはずなのに、レベッカの方が家族に馴染んでて、
気がつけば、私はほとんど喋っていなかった。
そうか、こうやって主導権が奪われるのか。
はぁ。きっと前世でもこうだったんだろうなと思った。
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私は、それから2日ぐらい滞在した後、
ヒナタと入れ替わって、単身で王都へ戻った。
ヒナタ達は、しばらく伯爵邸を拠点として、
レベル上げといくつかの魔物討伐をこなしたそうだ。




