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伯爵令息転生女子  作者: くるみ
第2章
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3 学期末3

ヒナタには、クロウに近づくなと言われた。

でも、クロウに近づこうにも、どこにいるか知らない。

いや、もう女子寮から出ない方がいいかもしれない。今日は。


それもそうだけど、明日もだよね。

学園は春休みなので、明日も寮に篭っていればいいよね。

よし、これで乗り切れるぞ。


そう思っていた。


次の日。

少しゆっくり起きた朝。

私は食堂でブランチっぽくのんびり朝ごはんを食べていた。


そこに、隣のクラスの女子がやってきた。

「あなた、ちょうどいいところにいたわ。

イケメン剣士様がいるんですって!

私と一緒に見に行きません?」

誘われた。


「あ、私は用事が…」

「もう、すごいの!すっごい美形なのよ!

でも私、寝坊して、友人に置いていかれてしまって…

是非一緒に探しに行きましょう!」

キラキラして眩しい。

茶色い髪、水色の瞳。

小柄でかわいい感じの子だ。


「あ、ハイ…」

あまりの勢いに、行く返事をしてしまった。

当然行きますよね?的な空気に押されてしまったのだ。



まぁいいか。

たぶん、クロウのことだよね。

遠くから見たいなとは思ってたところだし。

やっぱり、他の人から見ても美形だよねー。

伯爵邸にいた頃からの私の挙動不審感、間違っていないよね?



そういえば、寮の中がやけに静かだと思ったけど。

みんな見に行ったということだろうか?

私以外誰もいないみたいだった。



隣のクラスの女子、彼女の名前はキャロルと言うらしい。

レベッカが怖くないのだろうかとちょっと気になった。


一緒に、剣の稽古場に行ってみる。

どうやら、一足遅かったようだ。

さっきまでいて、稽古をしていたらしいけど。

残ってる人たちが教えてくれた。

見たかったなぁ。


「どうします?まだ探してみますか?」

私が尋ねると、


「手分けして探しましょう。見つけたら呼びにきてください。

私も呼びに行きますので」

そう言って走って行ってしまった。


まぁ、ダメ元って感じだよね。

クロウのことだから人だかりができてるかもしれないし。


私も逆方向に足早に歩き出す。

人だかりは見つけられない。


見通しのいい場所を選んで、グルっと歩いて、

見つけられなかったら帰ろう。


歩いているうち、どんどん人がいなくなってしまった。

学校の敷地の隅の方だ。

もうこんな所にいないだろうと思い、戻ろうと振り返ると、

そこにクロウが立っていた。


「うひゃっ!?」

びっくりしすぎて変な声が出る。

怖くて怖くてしょうがない。

3メートルぐらい後ろにいたのだ。

でも、足音もしなかったし、気配も感じなかった。


そもそも私は何でこんなところにいるんだっけ?

キャロルさんとクロウの事を見に行くはずだったではないか。

何で私がクロウに見られないといけないの?

はぁ、それにしてもイケメンすぎるでしょ。

銀髪に、瞳は紫色。

つい見とれてしまう。


クロウがこちらに一歩踏み出す。


ダメだ、当初の予定はキャロルさんと…

「キャロルさーん、見つけまし……フゴっ…」

私は役目を果たすために大声でキャロルさんを呼ぼうとしたが、

クロウに口を押さえられてしまった。

もう片方の手で後頭部も押さえられている。


クロウと対峙すると、恐怖からくる緊張感からか、

私は正しい判断ができないようだ。

キャロルさんがこの近くにいるとは思えない。

逃げるか結界を張るべきだったのに。


私はクロウに、捕らえられた獲物のように、

そのまま木の茂みの奥に運ばれて行った。

「フゴフゴ…(助けて)」

喋れなーい!


私、このままどうなっちゃうんだろう。怖い。助けて。

クロウのイケメンオーラにもやられて、うまく力が入らない。情けない。


クロウは私を、塀の壁に押し当てた。

口は手で塞がれたままだ。

壁ドンみたいな状態だ。

クロウは自由になった片手で、私の髪の毛をいじってきた。

髪の毛の先にキスしてきた。うわー。


「大声出さないでください。

他の人たちに見つかってしまうでしょう?」

妖艶な笑みを浮かべている。

「フゴフゴ…モゴモゴ…」


「静かにしないと、その口、唇で塞ぎますよ」

迫力ある瞳で睨まれる。

ひゃっ。それは勘弁して欲しい。

目眩がしてくる。私は仕方なく黙った。


「久しぶりに会えましたね。

私はずっとあなたに会いたかったんですよ。

最後に坊ちゃんの姿で 帰ってきてから会っていませんから、

2ヶ月ぐらいになるでしょうか。

こうしてやっと会えたのですから、少し話しましょうか」


口を塞がれてて返事ができない。

ここでようやく手を外された。

でも、壁に両手で閉じ込められてしまった。

どうしよう。


「そういう困った顔を見ると、

もっといじめたくなってしまいます。

…風子。

私はあなたを好きでいても構わないですよね?

私のこと、少しは好きなんでしょう?」


綺麗な瞳で見つめられる。

今はメガネの効果で紫色に見えるけれど。


「………」


「返事しないとキス…」


「あああああ、あの、それは…」


喋っても、黙っててもキスなの?

やめてー。


それにしても、こんな風に迫ってくるなんて。

男の時はありえなかったけど、

相手が女子だとこんな風になってしまうのか。


クロウは、かけていたメガネをゆっくりと外した。

それを胸ポケットに慣れた仕草で入れる。

黒い瞳。こんな時なのに見とれてしまう。

相変わらず整っているよね。


私も今はメガネをかけている。

クロウからは黒い瞳に見えているんだろうな…

あれ、彼は何でメガネ外した?…邪魔になった?

私は内心汗がダラダラ状態になった。



「風子…」

誘いかけるように顔を近づけられる。

顔を横に背けると、顔に覆い被さった髪の毛を掻き上げられた。


「…っ?」

クロウの動きが止まった。

私の首筋を見ている。


「…ヒナタ…やってくれますね」

クロウはイライラしているようだ。


そういえば昨日、ヒナタに濃いめの痕を残されていたんだった。

私も、後で鏡で見てびっくりした。

髪の毛を下ろしていれば目立たないのでそのままにしていたが。



クロウは私の反対側の首筋に顔を埋めてきた。

やだ。もしかして同じことするつもり?

怖い。


私は初めて、思いっきり身をよじってクロウを押し返した。


クロウを吹き飛ばすほどではなかったが、拘束からは外れた。

そうか、最初から全力で抵抗すれば良かった。

雰囲気に押されてしまっていた。


それにしても、あの力で押したにしては吹っ飛んだりしないんだ?

…と、少し引っかかった。


私はとりあえず逃げることにした。

木の茂みを抜けると、そこにヒナタが立っていた。


「ヒナタ?」


「どういうこと?」

ヒナタは怒っている。

私の後ろからはクロウが出てきた。


私は何も言えなかった。

クロウに会ってはいけなかったのに、会っていた。

しかも、こんな人気のない場所で。


「私から誘ったんですよ」

クロウが言った。


「誘われてついて行ったの?」

「違う!」

「じゃあ何で?」


ヒナタは明らかに動揺している。

こんな姿見たことがない。


「ごめんなさい」

「謝るような事をしたの?」

「してない」


何でこんなことになってしまったんだろう。


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