53フェイント(エド王子視点)
俺は、中身がレベッカになっているコリンと戦っていた。
コリンの方は、レベッカ嬢に背を向けて
彼女を庇うように俺に対峙していた。
戦っている最中に、中身がコリンのレベッカ嬢がどこかに歩いていくのが見えた。
戦っていると、ギャラリーが集まり始めていた。
風子は目立つのが嫌で逃げたんだろうな。
あいつらしい。
俺は攻撃することをやめた。
それに気づいたコリンも動きを止めた。
俺は集まっていたギャラリーの記憶を消しにかかった。
そうして全員を眠らせた。
皆、爽やかに目が覚めることだろう。
「エド王子、風子を怖がらせるのはやめてください」
コリンの姿のレベッカは言った。
「怖がらせる?」
「いつもこうやって彼女を追い込んでいるんでしょう?
あれではまるでストーカーじゃないですか」
「ストーカー…」
本人には言われたことはなかったが、そういう風に思われていたのだろうか。
「そうです。それに、あのレベッカの身体とまともに戦えば、
エド王子といえど瞬殺されてしまいますよ」
「そうなのか?」
「レベル400を超えました」
「400!!」
俺のレベルはせいぜい150ほどだ。
敵うわけない。
「このコリンの身体も、まだレベル200にも到達できていない。
レベッカと同レベルに立てないと、自分の身体なのに自由にできないのです。
あのレベルまで持っていくには、数年はかかるでしょうね」
自分でレベル上げしておいた身体が強すぎて、
入れ替わった風子に拒否されたら自分ですら手出しできない…ということか?
俺はコリンを鑑定してみた。
《バチン》
弾かれた。
入学時には易々と鑑定できていたのに。
鑑定されそうだったというのに、気づいているはずなのに、
コリンは気にも止めていない様子で、
「ではそういうことですので」
歩き出そうとした。
「おい、レベッカ嬢ならあっちに行ったぞ」
逆方向の、男子寮の方角を指差してみた。
「…ありがとうございます。
ややこしいので、私のことは、ヒナタと呼んでください」
ヒナタは素直に、言われた方向に歩いていった。
お人好しなのか?迂闊なのか?敵だと認識されていないのか?
そんなに簡単に信用されると、さすがに良心が痛むだろうが!
でもちょっと面白い奴だなと思った。
そうして俺は、ヒナタとは反対方向に歩きだしたのだった。




