表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
伯爵令息転生女子  作者: くるみ
第1章
50/229

49三角関係

私は身動きが取れないまま、クロウに抱きしめられていた。


クロウのことは理想の男性だとずっと思ってきた。

見た目が完全な理想のタイプの上に、キチンとしていて何事にもそつがない。

剣の達人で強いところも尊敬してる。


自分が女子の姿でこの状況は理想のはずだ。

夢にまで見たシチュエーション。

今まで男性として過ごしてきて叶う事がないと思っていた状況なのだ。


なのに、何故か引っかかりを覚える。



反して、逃げようとすれば逃げられるはずなのに、

逃げたくない自分もいる。


半ば、動くことを諦めてしまっていた。

このままでいたらどうなるんだろうか。

そんなことを思ってしまった。



クロウは、私の身体を抱きしめながら囁く

「やっとあなたを手に入れることができる。

ずっと長いこと待っていました。

あなたが私の手に転がり込んでくるこの時を」


「転がり込む…?」


「レベッカはあなたに執着しすぎてしまった。

私はもっと早く、強引に話を進めるように言ったんです。何度も説得しました。

無理矢理にでも入れ替わってしまえばそれでいいと。

でも、彼は時間をかけることを選んだのです」


それでレベッカは私と交流してたのか。



「身体が入れ替わり、

レベッカの目があなたから離れる機会を待っていたんですよ。私は。

そうして、ようやくあなたが自分から私の元にやってきた。

彼の性格上、遅かれ早かれこうなることは予想していました」



そう言われればそうかもしれない。


あの入れ替わった夜から、ヒナタにはずっと放置されてきてしまった。


ぼんやりとしていると、壁際に背中を押し付けられる感じに追い込まれていた。


クロウは、私の顎に指をかけて、少し上を向かせた。

そして私の唇を見つめながら、ゆっくりと顔を寄せてくる。

ああ、キスされるんだなと思った。



《むぎゅ》


「どういうつもりですか?手を退けてください」


私はなぜか反射的に、唇と唇の間に手を入れてしまっていた。


「あ、あの、もう少し考えたいかなーって…」


「何を考えるんですか?

キスしていいかどうかですか?」


イラついている。

いやー、クロウ…なんか壊れてる気がする…。


「すでに私はその唇に何回も何回もキスしたことがあるんですよ」


え?

レベッカと?クロウが…?

ヒナタ…ええ?そうなの?



「だからケチることないでしょう?

前世のあなたとも…」

首筋に唇を押し当てられる。


「嫌っ…」

何故だかわからないけど、思い出したくない。


「じゃあ、キス以外ならいいんですか?」

耳元で囁かれる。かなりのイケボだ。

「だ、だめです!」


嫌ー。誰なの、この人は?

私は、壁に追い込まれながら混乱してしまった。

泣きそうになってくる。


「その顔、たまりませんね」

と妖艶に微笑まれる。

その顔にドキっとしてしまった。


クロウが私の顔を覗き込む。

その後、安心させるように頭を撫でられた。

それから、ゆっくりとメガネを外し、

片手で器用に胸ポケットにしまった。

大きい手。キレイな指だなと思った。


私は魅入られたように、近づいてくるクロウの瞳から目を離せずにいた。

黒髪に、綺麗な黒い瞳。

メガネを取った顔を初めて見た気がする。

とても整っている。

メガネをかけているのが勿体無いと思ってしまうほどに。

押し退けようとすればできるのに動けない。

ゆっくりと近付いてくる瞳。


唇が触れる寸前でドアが開く音がした。



「風子、ここにいたのかっ。

って、クロウ。お前…」

息を切らしている。


ヒナタだった。

何でここに?

うちの場所、知ってたのかな?と、ぼんやり考える。


「風子、浮気はダメだよ」

「浮気って…」


そうなるのだろうか。

ヒナタと私は婚約すると言っていたが、

婚約はまだ正式には決まっていないし、口約束の状態だ。

付き合うことにもなっていない…はず。

そりゃあさ、ヒナタとはいい感じだったと思うけど。

いい感じになった途端に、ずっと放置しすぎなのよ。

寂しかったよ。



浮気?

彼氏居ない歴20年以上だったのに。

私がそんなことする必要ない。

彼氏は1人いたら十分なはずで。

その1人は…


私は、ツカツカとやってきたヒナタに

クロウから強引に引き離され抱き込まれた。



「クロウに風子はやれない」

「風子は物ではありませんよ」



「風子、ああいう目に合った時は抵抗して?」

「クロウとレベッカは過去にもキスしたことあったって言ってたよ。

それはどう説明するの?

ヒナタは良くて私がやったらダメなの?」

冷静に突っ込みを入れてしまう。


「ああ、それはなんというか、過去の過ちというか…

気持ちの問題でしょ。

身体を入れ替えるためにやってたことであって…」

「気持ちがなかったらやってもいいってこと?」


「そうやって幼気な少年の心を弄んだんですよね」

クロウも言う。


「あれは俺もまだ子供だったんだって」


どうやら、幼少期のヒナタはクロウと身体を入れ替えていたらしい。

「レベル上げるのが楽しくてしょうがなかったんだよ。ごめんなさい」


そうなんだ。

キスしまくってたら片方だけその気になっちゃったということなのかしら。

なんて罪作りな少女レベッカ。


ああ、でもそうか、

クロウの得意の剣は、レベッカがレベル上げしたのが下地にあるのかも。



「ところで、どうして私がここにいるとわかったの?」

「ペンダントで位置を辿ってきた」


発信器つけられてたみたいなものか。


猫の首輪みたいだな。

猫になった気分だよ。



「比較的遠くない場所にいたから、風子の念話装置に連絡してたんだけど。

全然応答がないから、心配して来たんだよ。

さっき王女にも連絡したら、レベッカは寮にいないって言われたし」


「念話装置?」


あっ、そういえば、エド王子の連絡がしつこすぎて、

机の引き出しに入れっぱなしにしてたんだった!

お姉ちゃんとは寮で会えるし、

レベッカの念話装置は置きっ放しだったから使う必要ないと思ってた。


「でも、レベッカのもらった2台目の念話装置は部屋にあったよね。

どうやってコリンの方の念話装置に連絡したの?」


「念話ができれば、もともと装置は必要としないから。

俺は念話できるからね。置いていった」


えっ、そうなんだ。

それは早く言って欲しかったよ。

でも、あの装置を貰う時お姉ちゃんが言ってたような気がする。

私が念話が使えるかわからないから、って。


ヒナタがコリンになっても、コツさえ掴んでいれば念話は使えるものらしい。

私はレベッカになっても念話は使えていない。

(そもそも覚えようともしていないけど…)



その後、ヒナタとクロウが、

レベッカ(中身私)と、どっちが付き合うかで揉め始めたので、

ケンカは外でやってもらうことにした。

ヒナタは、クロウと同じぐらいのレベルにレベル上げしてきたらしい。

外で剣で打ち合っている。


私は結界を張って寝ることにした。

でも、さっきのクロウとの事を思い浮かべて、なかなか寝られなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ