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伯爵令息転生女子  作者: くるみ
第1章
42/229

41運命?

私は、レベッカに押し倒され、抵抗するのをやめた。

そして思った。

『入れ替わりたい』


唇に柔らかいものが当たった感覚。


《ボンッ》

軽い衝撃があったあと、目を開けると、

メガネをかけた自分の顔をした人間を見下ろしていた。


うそ。


私はレベッカの身体の中にいた。

入れ替わったのだ。


「へえ、面白いなあ。」

メガネの彼は楽しそうに言った。


彼の瞳は黒かった。

その瞳とメガネの表面に映っている自分の瞳の色は緑色のままだ。



「レベッカ?」


「やっぱり男の身体の方がしっくりくる」


不敵な笑みだった。

私がコリン少年だった時に鏡を覗いても、こんな顔を見たことはなかった。

ゾクゾクした。

容れ物が同じでも、魂が違えばこれだけ変わるのだ。

カッコいいと思った。

自信に満ちているというか。

なんでこんなに魅力的なんだろう。


数時間前、鏡でこの顔を見ながら、

「こんな人が彼氏だったらいいのに」とか思ってたっけ。

それを不意に思い出した。

あれがすごく昔のことみたいだ。


急に視界がぐるっと反転した。


またレベッカがさっきみたいに見下ろしていた。

私の身体に入ったレベッカだ。コリンになったレベッカ。

コリンになっても、なんて綺麗な瞳なんだろう。

私はまだ、不思議なものを見る気持ちでぼんやりしていた。


彼は片方の手で私の肩を押さえながら、

もう片方の手で、慣れた手つきでメガネを外し、傍らに置いた。


そして、何の前触れもなく、キスで唇を塞がれた。



え?何でもう一回?


…そうか、さっきのは、こういうこともできると見せるためであって、

これはもう一度入れ替わるということなんだな。


と、解釈した。


『入れ替わりたい』


『入れ替わりたい』


『入れ替わりたい』


何回思っても、入れ替わらなかった。


え?どういうこと?


ずっとキスされ続けている。

角度を何回も変えながら。


うわー。なんて状況なの??

しかも、さっきまで自分の唇だったもので唇を塞がれるとか。

信じられないんですけど。

それがしばらく続いている。


何これ…人の唇ってこんな感触なんだ……

嫌というほどわかったけれど。

もう一度入れ替わるのだと思ってしまったため、

拒むタイミングを完全に逃してしまっていた。


状況が読めず、身体に力が入らず、抵抗らしい抵抗もできずにいると、

唇の間から舌を入れられる。


いやーっ。

これは、大人のキスっていうやつなのでは?

レベッカは何を考えているの?

………

それが嫌でもないと思ってしまって、またしばらく無抵抗でい続けた。

全然嫌じゃなく、むしろもっとーーーと思ってしまう。

そんな自分も怖い。


しばらくすると、今度は身体のラインを確かめるように触られ始めた。


こ、これはさすがに抵抗すべきなのでは?



軽く押しのけてみることにした。


《ドサッ》


レベッカは離れた床の上に落ちた。

ほとんど力を入れていないのに?


「痛ってー。あーあ、やっぱりこうなるよな。

ヤバい、危なかった」


レベッカは近づいてきて、私のスカートのポケットを探る。

取り出した指輪を、私の中指にはめた。


「これで、強すぎる力をセーブすることができるから。

でもこれをはめても、まだレベッカの力の方が強いからなぁ。

コリンの身体をもっとレベル上げしないと。

これじゃ風子を永久に手に入れられないな」


手に入れるってどういう意味なの?

考えるのが怖くなってきた。

今、それを考えるのはよそう。


ここは、全然関係ない話題を…

「え、えっと。

…ねえ、レベッカ。レベッカの前世は私とどういう関係だったの?」


「あれ?言ってなかったっけ?

風子の前世の夫だけど」



ええええええええーっっ!!!

お、お、お……夫?



「あ、そっか、こうなる前のどこかで言うつもりだったんだけど、忘れてた。

ごめんね」


ごめんねじゃないでしょ…

ポンと手を叩きながら言わないで欲しい。



「……おっと?…って。夫婦…ってこと?」


「そうだよ。だからもう一回結婚しよう?

性別の違いの問題も、入れ替われば解決できるし。

身分も問題ないはずだよ。婚約するっていう約束、まさか忘れたわけじゃないよね?」


コリンの外見のレベッカに、平然と告げられる。



「あー、うん。それは…」

ドラゴン討伐に行くあの時、婚約しても断ればいいかな、とか思ってしまったけど。

この人が本気を出したら、きっと逃げられないような気がする。


私のほぼファーストキスが……

もしや、前世の夫だから遠慮なしだったということ?

もっと先を想像してしまい、思わず頰が熱くなる。



「ねえ、レベッカって言われるとややこしいから

ヒナタって呼んでよ。風子?」


「う、うん。ヒナタ」

「懐かしいな」


嬉しそうに抱きしめられた。

笑顔もすごく魅力的だ。


さっきまで自分だった身体に入り、私よりもイケメンになってしまったレベッカ。

今まではいつもドキドキするよりも安心感があったのだけれど、

女子として抱きしめられるというシチュエーションにはすごくドキドキしたのだった。


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