39ダンスパーティー
魔法学園のダンスパーティ当日になった。
ダンスパーティーは夕方から開かれる。
私の服装は、黒系の色でまとめることにした。
シャツ、ジャケット、ボトムスも黒。
ネクタイは光沢を持たせた茶色。
靴も茶系。
茶色いフレームのメガネをかけた。
レベッカの瞳の色の黒と、茶色い髪の毛の茶色。
メガネをかけた自分を鏡に映して見惚れる。
ナルシストっぽいなぁ。
でも、こんな見た目の人が彼氏だったらいいのになぁ。
と、想像して楽しんだ。
待ち合わせたレベッカは、予想通り、グリーン系でまとめてきたようだ。
緑色のドレス、緑色の髪飾り、
ネックレスもエメラルドとペリドットを使ったもので、ゴールド系。
緑色とと黄緑色と金色だ。
ヒールは茶系。
ドレスにも、ところどころ茶色が差し色で使われている。
レベッカは、いつも左手に緑と黄緑色の石がついた指輪をしているんだけど、
今日も普段通り同じ指輪をしていた。
パーティーといっても、私たちは特に主役級でもないので、
隅の方で2人で2曲ほど踊った。
王城のパーティーだと、王族に挨拶とかするのだろうけど、
そこまで硬い雰囲気ではないようだった。
レベッカのところに、第一王子があいさつに来たのには驚いたが。
ドラゴンを退治した関係なのかな。
そのときは少しざわついてたな。
レベッカが、令嬢モードで対応してた。
兄様と一緒に、
お姉ちゃんである王女のところにも、少しだけ挨拶に行ったり。
エド王子と、婚約者である公爵令嬢が踊ってるのも見た。
公爵令嬢は、迫力ある美人だった。
カッコいい。
絵になる2人だったな。
ダンスもめちゃくちゃ上手かった。
煌びやかな世界が見られて、参加して良かったなと思った。
私たちの服装から、出来上がったカップルという空気は出ているものの、
ダンスを申し込まれそうな雰囲気はあった。
レベッカは私の腕を掴んで離さない感じだった。
その後、会場の脇のビュッフェコーナーで軽食を食べてくつろいでいると、
また、子爵令嬢や男爵令嬢の視線を感じる気がした。
レベッカのことを見ている男子生徒もいる。
落ち着かない。
私たちは、早々に会場を抜け出すことにした。
レベッカに手を引かれて歩いていくと、剣の稽古場の近くまでやってきた。
「人もいないし、この辺りでいいかな」
え?2人っきりで一体何をするのー?
という、いけない想像が膨らんでしまったのだけど。
「俺はまだ本当の姿を見せていないんだ」
と、レベッカが言った。
そして、いつも小指にはめている指輪を外そうとした。
「外れない…ちょっと待ってね」
レベッカ、意外とこういうぬけたところあるよね。
かわいいな。隙がある感じというか。
そういえば、婚約することになる、あの話の時に、
解決法があるって言っていたけど、
あの外そうとしてる指輪に関係があるんだろうか。
指輪を外したら、実は男性でした。とか。
私が指輪をはめたら、女性になりました。とか。
魔法もいろいろあるみたいだし、
そういうこともあってもおかしくないよねー。
そんな風に楽観的なことを考えていると、
「あ。外れそう」
《ポンっ》
音がした。
「え?」
そこには、黒髪で黒い瞳の令嬢が立っていた。
ウエーブがかった、腰まである長い髪。
ああっ、この子は、
だいぶ前に森で見かけた、魔王みたいな女の子なんじゃないの?
何でここに…レベッカ。
レベッカだったの?あの女の子は。
魔物を瞬殺していた、怖くて怖くてたまらなかったあの女の子。
関わったら死んでしまうと思ったあの女の子。
この時の私は、恐怖で青ざめていたことだろう。
「コリン。私の本当の姿、受け入れてくれる?
後出しみたいな形になってしまったんだけど」
レベッカは、黒髪になっても美少女だった。
むしろ、黒髪の方が自然で、すごくきれいなんだけど。
でも、私は目を見開いたまま、トラウマから頷けないでいた。
「コリン?」
「ごめんなさい、即答はできません、考えさせてください。
今日はありがとうございました。私は部屋に戻りますね」
思いつくまま言い終わると、逃げるように自分の寮まで逃げ帰ったのだった。




