32ダンスレッスン
ダンスの練習が本格的に始まった。
授業で取り入れられるのだ。
レベッカに練習相手になってもらえるのは助かった。
ペアがいないと、男同士踊ってる組もあった。
あ、でも、それはそれでありなのか、私の場合は。
でも、レベッカにも、ちょっとときめいてる自分がいる。
よくわからない。
手を繋いで、けっこう距離も近いし。
照れるなぁ。
レベッカが上手いので、なんとかリードしてくれたけれど、
もうちょっと練習が必要だ。
足はなんとか踏まずに済んだけど…。
放課後、いつもは剣や魔法を練習するところだけど、
レベッカとダンスホールで練習することにした。
他にも同じように練習している人達がいた。
レベッカと一緒に練習を始めると、入口の方がざわざわし始めた。
エド王子だった。
意外だな。
私は、レベッカと一緒か、エド王子と一緒かのどっちかが多い。
3人鉢合わせることが少ない。というよりも、今までなかったと思う。
「よう、やってるな!」
「エド様!
エド様もダンスの練習ですか?」
「いや…」
エド王子とレベッカの目が合う。
「こんにちは、エドモント王子」
レベッカは、淑女の微笑み、という感じの笑顔で返す。
エド王子は胸に手を当てて一礼した。
「直接話すのは初めてですね、レベッカ嬢」
うわ、本物の王子みたい。
いつもと全然違う。
「そうですわね。いつもコリン様よりお話は聞かせていただいてます。
エド様と一緒にいて楽しいと、よくおっしゃってますわ」
いやいや、そんな話いつもしてないし。レベッカもいつもと違うな…。
でも、これが社交辞令ってやつなんだろう。
エド様といて楽しいのは本当だし。
と、思ったので黙っておく。
「私もレベッカ嬢とコリンの噂は聞いていますよ」
噂。そういえば、あれか!
キスのフリとか、瞳の色のローブをお互いに着てるやつとかかな。
あれ、でもこの件でエド様にいじられたことはないな。
これは知ってると思うんだけどな。
「エド様は、ダンスはよくされるんですか?」
私は聞いた。
「そうだな。公務で行く先々で必要となってくるよな」
「私にも教えてください。練習したいんです」
私が言うと、
「俺は男と踊る趣味はない」
顔をしかめられてしまった。
そりゃそうか。
「レベッカ嬢、一曲付き合ってくれるか?」
「喜んで」
「コリン、レベッカ嬢を借りるぞ」
2人が踊り始めた。
自分を含めて、他の練習している生徒たちも、練習を一時中断し、
エド王子とレベッカに見とれていた。
とても優雅だった。
ダンスが上手い2人。見た目も美男美女だ。
こうして見ると、エド様って王子様だったんだなと思う。
こんなキラキラした世界があったんだなと。
傍若無人な人だと思ってたけど、見直した。
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数日後、エド王子と話す機会があった。
「俺、踊ってる時にさー、レベッカ嬢に鑑定かけたんだわ」
え?そんなことしてたの?
信じられない物を見る目で見てしまった。
「全部弾かれた。
弾かれたというよりも、魔法が掻き消えたという表現の方が正しいか。
あんなこと初めてだったな。
普通に弾かれる時とはまた違ってたわ。
あの子何者なのかね?」
あの優雅なダンスの合間に鑑定かけてたとは。
器用なことするなぁ。
エド王子は結構レベルが高い方だと思う。
魔力も多いし、寮の部屋の位置から察するに、
学園で1番か2番目の実力者だと思われる。
その鑑定を容易く拒めるということは、もっと強いっていうことなのか。
黒い姫、暗黒姫という通り名は、伊達じゃないということなのかな。
いやいや、でも、普段の柔らかい雰囲気からは信じられないなー。
本当の彼女がいまいち見えない。
私の中で1番気になる存在になっていた。




