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伯爵令息転生女子  作者: くるみ
第1章
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2 初恋の人



コリン・フォレストの実家であるフォレスト伯爵家は、王都から馬車で数日かかる距離に位置している。

伯爵領は王都から遠い分田舎であるが、現代と同じく土地代や物価も安い。

実家は堅実にやりくりしており、気候にも恵まれた土地であったため、割と何不自由なく生まれ育った。

2歳年上の兄アランと、3歳年下の妹エミリーがいる。


兄のアランは濃い茶色い髪、濃い青い瞳のイケメンだ。

社交性があって、自信に満ち溢れてる感じ。

前世のお姉ちゃんとイメージがダブるんだ。

私より優秀。私よりカッコいい。


妹のエミリーは、まだお子ちゃまだし、ワガママって感じかなー。

兄が2人いるだけあって、何でも負けないようにやりたがるんだよね。

私の剣の稽古にも一緒に参加してる。

薄い茶色い髪、水色の瞳。

将来美人になりそうだ。

もう、この世界、イケメンと美人が多すぎない?

これはもしや乙女ゲームの世界かもしれない。

そうじゃなくとも、楽しめそうだ。



普段は地方にある伯爵領で暮らしているが、王都にも別邸があり、行事がある時はそちらに滞在する。

別邸は、伯爵領にある本邸と比べるとこじんまりしている。

前世庶民としてはこれでも十分広いんだけどね。

今回の、前世の記憶思い出し事件は、この王都の別邸に滞在している時の出来事だった。



きっかけは、兄が王都の魔法学園に入学する、その準備段階のところから始まる。

魔法を使える人間は珍しくはない。

でも私たちが行くことになるのは、貴族が多く通う、王都にある魔法学園だった。

貴族の家庭では家庭教師がつくことが多く、自分たち兄弟にも魔法や剣を教えてくれる家庭教師がついていた。

学園に入ることによって、魔法を大人数で学び切磋琢磨すること。

それ以外に社交的な意味合いも兼ねているようで。

貴族の集まる学園に行くのは自然な流れだった。


社交……それは前世も今世も、自分にとっては苦手な分野なのだが。

まあそれは置いておくとしよう。


コリンは兄のアランに頼み、学園の見学、入学準備の手続きに同行させてもらった。

日本の高校のように15歳から入ることが多いが、才能によっては早く入学することも可能。

魔法学園は3年通うのが一般的だが、飛び級制度もある。

その後は騎士団に入るもの、魔術師団に入るもの、魔法専門の大学などに進むもの、様々だ。

女性は卒業と同時に結婚することも多い。


コリンは、今年入学の予定はなかったが、早く入学したいと思っていたのは確かで。

数年後入学する学園の雰囲気も見ておきたかった。

という建前と。

本音では、兄と同じ年齢の王女に会えないかという期待がどこかにあったのだ。

遠くから見るだけでもいい。

いや、むしろ遠くから見る機会が欲しい。そんなちょっとした期待だったと思う。


遠い将来に騎士や魔導士になれたら、出世できて爵位を上げられたら、

もともと身分が違うかもしれないけど、いつか王女と結婚することも夢ではなくなるかもしれない。

そういう気持ちを持っていた。


以前、親に連れられて行った王都での行事で、遠目に見た王女の姿が忘れられなかったのだ。彼は。

王女は絶世の美少女だった。



前世の自分からすると、学生時代に遠くから眺めるだけの初恋を思わせるものだった。

わかる。

私は地味な女だったけど、時々は人を好きになったこともある。

どっちかというと惚れっぽいかもしれない。

本当に遠くから見るだけだったけれど。

ただ見ているだけで好きって、恋と呼べるのだろうか。

後から考えてもわからない。

前世の自分も人と付き合ったことがなかったから。


20歳過ぎて彼氏がいない。

いや、25歳の誕生日まで確実に彼氏がいなかった記憶がある。

ずっと、恋愛の仕方がわからなかった。

彼氏いない歴=年齢。

拗らせ女子ってやつだったね。



そしてコリン少年が、その運命の日に、まさか現実で王女に会うことになろうとは。

実際間近で会った瞬間に、あの不思議な感覚になった。

懐かしい瞳。

ああ、この人には会ったことがあるような気がする。と思ったのだった。


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