27この世はRPGなのか?
長期休暇が終わった。
そして新学期になろうとしていた。
お姉ちゃんの念話装置は、地方にいるときは使えなかった。
どうやら、距離が遠すぎると繋がらないようだ。
新学期前日、寮に戻り、久しぶりに念話してみた。
防音結界を張る。
「もしもし、お姉ちゃん?
じゃなかった、アイリス王女、久しぶりです」
「久しぶり。コリン」
長期休暇中の近況を伝え合う。
王女は、騎士団と一緒に、1週間ほどの魔物討伐に行っていたそうだ。
魔物が増えた地域から依頼があって、騎士団が出向くものらしいけど、
そこに参加したそうだ。
私も強くなったら行ってみたいものだ。RPGっぽいよね。
あーでも危険なのかなぁ。
「危なくなかった?」
「騎士団の人達が一緒だからね。大丈夫だよ」
怪我した人に治癒魔法を使ったり、攻撃魔法で魔物を倒すことが主だそうだ。
まさにRPGの世界のように、経験値を貯めればレベルが上がる。
中には個人や少人数でレベル上げをする人もいるが、危険を伴うことらしい。
実際やっている人もいないことはない。
でも、強くなりすぎたその人物を、王家が掌握できないと、
戦争などが起こる可能性もあるわけで。
推奨されているやり方ではないのだ。
1人でレベル上げか。
あれ、何か思い出しかけたけど…
「コリンはレベッカ嬢とうまくいっているのよね?」
出た、またこの話題。
「お姉ちゃんも知ってるの?あの噂」
「キスした後抱き合ってたと…」
「うわーうわー、それ違うから、キスはふりだけだから。
付き合ってるのもふりだけだから。
誤解のないようにしてよね。令嬢に言い寄られないために協力してもらってるの」
「あらそうなの?
でも、レベッカ嬢は、着実に外堀を埋めにきてる気がするけど」
「え。やだ。怖いんだけど」
「でも、嫌と言いながらコリンの方もあまり嫌そうには見えないわね」
そう、嫌じゃないから困ってる。
プレゼントも嫌じゃない。
抱き合うのも嫌じゃない。
私どうしちゃったんだろう。
最近どんどん自分が壊れていってる気がする。
自分で自分がわからない。
ーーーーーーーーー
学校が始まって数日後、エド王子が久々にやってきた。
放課後、剣の練習をすることになった。
前よりも強くなっている。
「エド様も魔物討伐とか行ったんですか?」
「わかる?やっぱ、レベルを手っ取り早く上げるためには魔物だよな」
「そうなんですね!」
ヤバい、RPGだったのか。
自分にもステータスあるっぽいしな。
ワクワクしてきた!
誰かとパーティを組んで、レベル上げに行くんだ。
HPやMP下がったらアイテムを使ったり、宿屋で寝るんだよね。
はて、ラスボスとかも倒しに行くんだろうか。
いやー、それはさすがにキツイと言いますか。
めちゃくちゃレベル上げをして。
あと、お金を貯めて強い装備を揃えたり。
私の職業はなんだろう。
魔法使いとかになるのかな。
賢者とかいいよねー。カッコいいよねー。
でも回復魔法そんな得意じゃないんだよなー。
それに、MPが切れたとき厳しいから、
戦士とかはそういう心配もなく、強くていいんだよねー。
ここは何のゲームなのかなぁ。
「コリン?」
「ラスボスってどんな感じなんですか?」
「は?ラスボス?」
沈黙の後、エド王子は言った。
「ラスボスは今のところいないと思う。
あー、でも俺も最初はそう思ってたけどな。
RPGかな、とか。思うよな。
とりあえず、そういう話は、今世で聞いたこともないな。
前世を知ってると、ここがどういう世界なのかって気になるよな」
「そうなんですよ」
あ、そういえば…
「エド様って、あかりちゃんじゃないんですね」
「あかり?誰だそれは?」
やっぱ違うんだー。
不思議な顔してる。
「実は、ある人にエド様の前世の名前を聞いたんです。
鈴木 貴博っていうそうですね。
合ってますか?」
「おっ、おお。合ってる」
あれ、普通に答えてくれたぞ。
「私とはどういう関係だったんですか?
もしかして、元彼ですか?」
ちょっとした冗談のつもりで言ってみた。
「…思い出したのか。風子」
エド王子には似つかわしくない、真剣な表情だった。
「えっ?」
えええ?私に元彼いたんですか?
びっくりですけど。
今世最大の衝撃を受けたのだった。




