22 接近
魔法学園は、4月からだった。
この世界も、1年は12ヶ月で構成されており、
季節も四季があるのは日本と同じだ。
春に始まり数ヶ月がすぎ、もうすぐ夏休みのような長期休暇がある。
エド王子はあれから全然現れなかった。
もうすぐ長期休暇に入ってしまうんだけど。
もともと神出鬼没な人でもあるからな。
鈴木 貴博って、名前がステータスに表示されていたという。
私とどんな関係なのか知りたかったんだけど。
「でも、あの人のことだからはぐらかされて教えてくれないかもなー」
私は学園の修練場で1人、魔法を練習していた。
またレベッカが現れた。
「私も一緒にやる」
「レベッカは剣はできるの?」
「できるよ」
「今日は剣の練習にしようか」
剣の稽古場に移動して、木剣で打ち合う。
すごい。
レベッカ嬢、剣もできるんだ。
さすが、前世男の子だけあって、こういうのもレベル上げてるんだな。
私より強いかもしれない。
尊敬するわ。
レベッカは、いつもローブの下に、ブラウスと膝丈のキュロットという格好をしてる。
動きやすそうだし、かわいい感じだ。
緑系の服が多い。
私の好きな色。私の瞳と同じ色。
意識してくれてやってるのかな。
「どうかした?」
「レベッカの服は緑系の色が多いなと思って」
レベッカは、少し頬を赤らめながら言った。
「…言うと引かれると思って言わなかったけど、
この国では、恋人や想い人の瞳の色の物を身につけるっていう習慣があるんだよ。
それで、その…」
うわ。
そんなことを照れながら言われると、こっちも恥ずかしいんですけど。
間接的に告られてる?
「そうだ。できたら、ローブの色も特注品で緑色を身につけたいと思ってるんだけど。
ダメかな?」
首を傾げながら言われた。
ぐはっ。美少女の破壊力。
イケメンの破壊力にはよくやられてたけど、
美少女の破壊力もなかなか。
「いいですよ」
ダメじゃないです。ダメなわけないじゃないですか!
「あと、コリンには黒いローブをプレゼントさせてもらっていい?
身につけてくれたら嬉しい」
「ああ、うん。わかった」
断れる雰囲気じゃないというか、
私は自分自身が断ろうと思っているのかどうかもわからなくなってしまった。
魅了だ。
何らかの魅了の術をかけられたんだ。
きっとそう。
まあいいよね。
付き合ってるふりするんだもんね?
レベッカが急に顔を近づけてきた。
「動かないで、あの時の令嬢がいる」
告ってきた豊満令嬢がいるらしい。
本当に、触れそうなぐらいに顔を近づけて…
これって、昔ドラマで見た、キスしてるフリのような。
どんな顔をすればいいのか。
私、きっと赤面しちゃってると思うんですけど。
レベッカは平気なのかしら。
うーん。平気そうに見える。
私は、黙って耐えた。
でも、どんな顔になってるんだろうか、恥ずかしすぎる。
「大丈夫、もう行ったよ。
……コリン?」
顔を覗き込まれた。
うわー、見ないで。
絶対赤面してるし。顔が熱くてしょうがない。
レベッカの顔を抱き込むように抱きしめてしまった。
しまった、これだと心臓の音がバレるじゃん。
何やってんだ私は。
めちゃくちゃ恥ずかしいんだけどー。
もういい、やけだ。しばらくこのままいる。
「風子は本当にかわいいね。
俺が守ってあげるからね」
レベッカは呟いた。




