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伯爵令息転生女子  作者: くるみ
第5章
218/229

9 お茶会3

私は、公爵家の温室内の一角で、ニコラス様に捕らえられてしまった。


暴れれば逃げ出せるだろうけれど、

王女とアル先輩のキスシーンを目撃していたとあって、

ここで大騒ぎするのは得策ではなかった。


「レベッカさん?ここで何してるのかな?」

彼は私に身体を寄せたまま、耳元で囁いてきた。


やだ。全然嫌だ。

怖い。

だって、いくら美形でも、いい匂いがしても、全然好きじゃないんだもん!



「に…ニコラス様こそどうしてここに?」

口を塞がれていた手が退けられたので、私は小声で問いかけた。


「嫌だなぁ、わかってるくせに。

あなたを探して来たのですよ」


彼の言葉にゾワッとしながら、

アル先輩たちがいた場所を見ると、2人とも居なくなっていた。

えっ…どこへ行っちゃったの??



私はニコラス様をそっと押しのけた。

本当ならもっとグイグイ押し退けたいところなんだけど、

慣れない相手なのもあり、遠慮があり、うまく体が動かなかった。


何だかんだ言っても、私は人見知りなのだ。

ヒナタとエド王子相手には何故か強気に出られるんだけど。



「今日はいつにも増して綺麗ですね」


うっとりとした彼の目は、いつもと明らかに違う。

食べられてしまいそうな雰囲気だ。


そうだった。

今日はおしゃれして来たんだった。

いつも地味子なのに。

美少女レベッカの外見で、メガネもせず、着飾って来たのだ。

いつもとのギャップがあるのだろう。

守ってくれるはずの先輩ともはぐれてしまったし。

私は急に不安な気持ちに襲われた。



「よろしければあちらで少し話しませんか?」


温室内でも、私は先輩たちの動向を探っていたために端っこの方にいたのだけど、

温室の中央にあるベンチの方に誘われる。

半ば引っ張られるようにして連れて行かれてしまった。


「やっぱりダメですね。

大人数だとゆっくり話せなくて。もっとあなたと話がしたいのに」


・・・


なんだかつらつらと話しかけられているけれど、

私はどうやって抜け出そうかと、そればかり考えていた。

こういう状況が前にもあったなぁ……

何かと似てるなぁと思った。


あれだ。

キャッチセールス的な勧誘話を少しだけと思い話を聞いてたら

どんどん断りづらくなって、どうしたら逃れられるんだ、この状況……

っていう時にすごく似てる。


こういうのは最初にバシッと断らないとね。

私は意外と断ってしまうタイプなんだけどな。

だけど今はもう断りづらい感じになってる気がする…。


「……でね。レベッカさん、聞いてる?」


ヤバい。聞いていなかった。



「…ええっと〜……」


何と言って誤魔化そうかと思っていたら、いきなり手を握られた。


「ふふっ。今度こそ2人で出かけませんか?」


煌びやかな王子様スマイルで言われてしまった。…王子じゃないけど。

眩しい。

ただただ圧倒され、でも断らないといけないのに…思ったような言葉が口から出てこない。



「あああ、あのっ、何故私なのでしょう?」


「何故?今さらそんなことは関係ないでしょう?

恋は理屈ではないのですよ?」


あからさまな口説き文句にびっくりして、俯いた私だったけれど。

私の右手を捕らえた彼の両手が目に入った。


男の人にしては綺麗な手。

細くて長い指に、手の甲に浮き出た血管…見惚れてしまう。

綺麗な顔を直視できずに俯いたのに、手まで綺麗なんだ。


…そう、私は実は手フェチだったりするのかも。

こういう部分的なところに色気を感じたりすることってあるよね。

こんな手で触られたらどうなんだろう…って想像したりとか。



「どうかしましたか?」


ニコラス様は不思議そうに首を傾げた。



「手が綺麗だなと思ったんです」


「フフッ。手を褒められるのは初めてですよ」


今まで見たことがない感じのふわっとした微笑みを向けられた。

作られた王子様スマイルじゃなくて、自然な表情だった。

本当に嬉しかったのかもしれないなと、何となく思った。



彼の右手がゆっくりと私の顔に近づく。

その細長い指が私のあごを持ち上げるように動く。

私は彼と再び顔を合わせる形になってしまった。


彼はさっきとは違って無言になっていた。

微笑みも消している。

吸い込まれそうな澄んだ瞳で見つめられ、だんだんとその距離が近づく。

逃げないといけないとわかっているのに、雰囲気に飲まれてしまい、身動きが取れなくなっていた。


…どうしよう…どうしよう……

そう思っていた時だった。



「そこまでにしておけ。ニコラス」


急に聞き慣れた声が響いた。


「…エド兄様」

ニコラス様が呟いた。


声の主を見てみれば、そこにはエド王子が立っていたのだった。




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