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伯爵令息転生女子  作者: くるみ
第5章
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8 お茶会2

私は、ニコラス様の開いたお茶会にアル先輩と参加した。

ところが、アイリス王女が現れて、アル先輩を連れて行ってしまった。

私は認識阻害魔法を使って、公爵家の敷地内を、ニコラス様から身を隠して逃げていた。


「この辺りまでくれば大丈夫かな?」


私は完全に人気がない場所までやってきた。

広い庭の片隅でしばらく隠れていた。

アル先輩達が向かった方とは逆の方向に進んできてしまった。


あらためて考えると、ニコラス様と2人きりになるのを避けたいので、

時間が経ってからでもいいから、アル先輩たちと合流できないかと思えてきた。


「うーん、でもあの2人の雰囲気、おかしかったよね?」

お姉ちゃんとアル先輩の醸し出す雰囲気。


アル先輩は前に言った。

『ヒナタを僕にちょうだい』と。

先輩がヒナタにどのぐらいの気持ちがあるのかわからないけど、

私が思うよりも2人は仲がいいのかなと感じた。

彼らは前世では恋人同士だったのだ。


だけどアル先輩はその前には王女様を好きだって言っていたことがある。

王女様と男爵家三男の恋愛は、やはり現実的でないから、

ヒナタに気持ちが向いたのだろうかと思っていたんだけど。



卒業するときに、私はヒナタと入れ替わって男性に戻ることになっている。

その後、ヒナタとアル先輩が入れ替わりカップルになるという可能性もあるわけで。


人の気持ちって変わりゆくこともある。

私だって時が経つに従い、気持ちが変わることがしばしばある。

アル先輩の気持ちも変わってしまったのだろうか?

彼の気持ちはどこにあるのか……ヒナタ?…それとも王女?




とりあえず、先輩たちと合流できそうなところに移動することにした。


ニコラス様はやはり私を探しに来たようで、途中で一度すれ違った。

認識阻害魔法のおかげで気づかれずにやり過ごせた。

私は最初にいた方へ向かって戻って行った。

そうして、アル先輩達が向かったであろう方向へ進んで行ったのだった。



中庭に温室のような建物がある。

この世界ではけっこう珍しいのだ。

レベッカの実家である侯爵家にも温室はなかった。

珍しい植物が生い茂っている。


その温室の中を進んでいくと、ガラスの向こう側に、かすかに人影が見えた。

あそこも植木の影になっていて周囲からは見えにくいだろう。


アル先輩とお姉ちゃんだ。


防音の結界を張っているのか、声は聞こえない。

でも、何やら真剣に言い争っている様子だ。


私は温室の中に入っていき、気づかれない程度に近づいていく。

やはり声は聞こえない。

ガラス戸や窓が空いている部分があるので、

本来は聞こえてもおかしくないのに。

おそらく、防音結界を使っているのだろう。


そして彼らの雰囲気からして…明らかに修羅場っぽいなと女の勘が働いた。


ああ。私、何で気づかなかったんだろう。

2人の空気感……恋人っぽくない?


私は温室の目立たない場所に隠れて2人の成り行きを見守ることにした。



そう。仮にアル先輩とお姉ちゃんが恋人だったとしよう。

私と一緒にお茶会に参加したということに対して、

お姉ちゃんが不快になって詰め寄るということがあるのかもしれない。


では、何故アル先輩は私を危険を冒してまでお茶会に誘ったのか?

私にとっても危険だし、アル先輩も誤解されてしまうよね。



また、ちょっと前までの、アル先輩とヒナタの仲よさげな関係はなんだったのだろうか?

……考えたくないけど、お芝居…?…だったりして。

私の気持ちを揺さぶろうとか?

ヒナタの考えそうなことだ。


だったら、やり方としてずるいなと思ってしまうけど。

だけど、仲よさそうな2人を思い出すと心がチクチクする。

なんなんだろうこれは。



「ああっ…」

私は小声で呟いた。


言い争いから、先輩が王女を宥める感じに変わっていた彼らに変化が訪れた。

あ…あれは…キス……?

やっぱり2人は恋人同士だったのだ。

なんてものを目撃してしまったんだろう。



「…むぐっ……」


激しく動揺した直後、私は何者かに手で口を塞がれていた。

自分の置かれている状況…後ろから抱きしめられる形で拘束されていた。

めちゃくちゃいい匂いがする。


だけど、この匂いは知らない。

エド王子じゃない。

もっと知らない人。



その人と目が合った。

嫌な予感って当たるもので。

綺麗な薄い青い瞳の色。サラサラとした滑らかな銀髪。

ニコラス様が私の顔を覗き込んでいた。


今日、一番そうなってはいけない状況に、私は追い込まれてしまったのだ。



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