表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
伯爵令息転生女子  作者: くるみ
第5章
213/229

4 エド王子3


エド王子が記憶を失って学園に現れてから数日。

私とヒナタは近しい人に様子を聞いてみた。


総合するとやはり、エド王子は私とヒナタの事を中心に忘れているらしかった。


たとえば、アル先輩とエド王子の初対面の時に私がいたのだけど、

その初対面の記憶がすっぽり無かったり。

お姉ちゃんとアル先輩と一緒に出かけた遠乗りも覚えていなかったり。

でも、エド王子はアル先輩のことは覚えているそうだ。



ヒナタに関しても、私と同じような感じらしい。

まるっと忘れられてしまっているようだ。


クロウとヒナタとエド王子の3人で行動を共にしていた時期のことは覚えていないのに、クロウと2人で行動していたことは覚えている。

クロウのことは記憶にあるのだ。

ヒナタのことだけ忘れている。


エド王子本人も、記憶が虫食いのような状態で、

非常にモヤモヤしていると話しているそうだ。



…なんらかの、ゲームの強制的な力が働いたのだろうか。

私がヒロインの立ち位置で命を助けられて、エド王子の中の私に関する記憶が消える。

エド王子の感情は友情に戻って、ゲームのエンディングを迎える……のかな?

だとしたら何でヒナタのことも忘れてしまったのだろうか?


エンディング…エンディング……

あと少しでエンディングなんだよね。


あまりエド王子を刺激しない方がいいような気がする。

ルーナさんと婚約したようだし。

他人の恋愛に波風を立てるのは良くない。

前世からの私のポリシーのようなもので、

人の彼氏や配偶者を取ってはいけないと思っている。

婚約者のいる異性に必要以上に接近してはいけないよね。

気をつけよう。



そして、相変わらず認識阻害をかけて学園の敷地内歩いていると。


「おい、何やってんだ?」

エド王子に声をかけられた。


彼はこちらを見ていたが、視線は合わない。

私のことが見えていないのだ。

透明人間のようなものなんだ。見えない人にとっては。


私は無言で少し後ずさった後に後ろを向くと、全速力で逃げ出した。

女子寮に戻るところだったので、逃げ込めばいいと思ったのだ。


あと少し…というところで、捕まってしまった。

エド王子は足が速いのだ。


「ちょっ…変なところ触らないでくださいよ」


久々に彼の匂いに包まれた。

でも、もう心の距離は遠い。

彼は婚約者のいる身なのだ。


「逃げるからだろうが。姿も見えないし」


一方的に抱きしめられる形で捕らえられている。

そのまま揉み合っているのも何なので、私は仕方なく姿を表した。


「何の用ですか?

そもそも何で私がいるって分かったんですか?」


エド王子は拘束を緩めた。


「気配で何となくわかる。この前会った時も独特の気配だったからな。

友達だったはずなのに何で逃げるんだよ?」



「それは…」

言えない。


気配で辿って確保されるとは…彼はどれだけ勘がいいのだろう。

ドラゴン…地竜のことも察知していたし。




その場で話すと目立つだろうということで、場所を移動することにした。

エド王子も私も認識阻害魔法を使い、学園の敷地の隅に移動した。


私たちは、その様子を見ている人間がいることに気がつかなかった。





「あれからコリンと何回か話をしたんだが。

……その…なんだ……」


エド王子にしては口ごもっているのがすごく変だなと思った。


「何ですか?」


「実は、コリンに口止めされているんだが…」

「言ってください!」


私にしては強い口調になってしまった。

ヒナタが何を言ったのだろう。


「お前の態度が、俺の友人にしてはなんだかおかしいだろう。

コリンに聞いたら、お前が…俺に片思いして、失恋したと言っていた」


「えっ…」


「だから、態度がおかしいだろうけど、そっとしておいてやってほしいと。

そう言われた」



「………」


私は動揺を隠せなかった。

横を向いてエド王子から顔が見えないように俯いた。


私がエド王子を一方的に好きで、しかも失恋したと?

内容に衝撃を受けてしまった。



「お前の気持ちに応えてやれない。済まない」

真剣な表情で謝られた。


「い、いえ……いいんです」


記憶を失っているから。

私に対しての気持ちがもう一欠片も残っていないのかと思うと、

少し悲しくなった。


でも、落ち着いて考えれば好都合なのだろうか?


私が言い寄られていた側なのに

告って振られた扱いになってるのはどうなんだろうと、

ヒナタに対して不信感が起こったのも事実だ。

心の奥がひんやりするような感覚を味わった。




そして数日後。

私はこの心境の変化をきっかけに、

ニコラス様主催のお茶会に出かけることになる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ