14 美少女
第2王子に追いかけられた。
逃げたけど、結局見つかってしまったが。
家に帰ろうと思って、兄と一緒にいた場所の方まで戻ってみると、
兄とお姉ちゃんと他の令嬢が数人残って談笑しているところだった。
「コリン、どこに行ってたんだ?
家に帰るって言ってたけど、方向は全然逆だぞ」
「すみません、兄様」
「では帰るとするか」
「あっ…」
お姉ちゃんと目が合った。
王子のことを聞きたい。でもここでは聞けないなと思った。
「…失礼いたします」
男の自分が、人目もあるところで王女にあまり近づいてはいけない。
縁談で結婚する貴族も多いが、学園内で恋愛するケースもある。
そのために婚約者をあえて決めずに入学する者もいる。
だから本来は避けなくてもいい。
ただ、前世での姉妹の関係で、今世で結婚はお互い無しだなと思うので、
表立っては噂になりたくないのだ。
姉妹でフランクに喋って情報交換はしたいけど、
男女の仲だとは思われたくない。
コリン少年も、その中身の自分も、両方内気であまり社交性は高くない。
男女間でお友達できる器用さは持ち合わせていない。
女友達がたくさんいれば噂にもなりにくいだろうけどね。
そんなことを考えながら、兄様と馬車に揺られて帰った。
「兄様?」
「何だ?」
「第2王子ってどんな人ですか?」
私は社交の場にあまり出ていない。
全く行かないわけではないし、以前にも王族にはあったことがあると思う。
でも今日みたいなことは今まで一度もなかった。
「なんだ、唐突に。よくお会いするし、気さくないい方だぞ。
ちょっと掴み所がない感じではあるがな。年齢は私より2歳年上。17歳。
学年は1学年上の2年生。本来3年生のはずなのだが、
公務に出ることが多いので、学園に通う時間が少ないという話だな」
「兄様は鑑定されたことありますか?」
「鑑定?…エド王子に?…うーん、ないなぁ。
特殊な魔法で、使える人間は限られてるという話だしな。
そういう噂はあるにはあるが、使ってるところはお目にかかったことがない。
それにあの性格だと、そういう能力があればバンバン使ってそうな気がするが。
でも見たことがないということは、ただの噂なんじゃないのかな。
気になることでもあったのか?」
「…なんでもありません」
じゃあさっきのは何だったのだろう。幻か?
そんなわけない。
ヘンテコな人だと感じたけど、人を見て態度を使い分けてるのだろうか。
あまり口外しない方がいいのかもしれないな。
次の日から学校に通い始めた。
授業の内容は、前世と比べたらそう難しくはなさそうだ。
2年早い入学だけど、ついていけそうな気がしてきた。
良かった良かった。
私は、お姉ちゃんと兄とは別のクラスになった。
選択授業によっては一緒になることもありそうだけど。
休み時間にぼんやり考え事をしていると、数名、教室を覗き込んでいる人たちがいた。
なんだ、誰を見てるんだ?
と思ったら、茶色い髪で黒い瞳の美少女の事を見ているようだった。
良かった、自分が見られてたらどうしようかと思ったー。
年齢差で何やかんや言われたりして?
でも私は13歳だけど15歳ぐらいには見えると思うよ。
身長だってけっこう高いし。
兄より大きいぐらいだ。
って、あの美少女は15歳には見えないな。
もうちょっと年下かな。
私と同い年かもしれない。
それにしても彼女は美少女すぎて見られてるんだろうか。
でも、ちょっと雰囲気が変だなぁ。
美少女を見てウキウキワクワクしているようには見えない。
そういえば、この世界では瞳の色が黒い人は珍しいと聞いたことがある。
そのせいなのかもしれない。
私の瞳は濃い緑だけど、何も言われた事がないしな。
水色、薄茶色の人が多くて、金色、赤、紫、青、緑、グレー、と、
本当にいろんな色の人がいる。
髪の毛の色も、黒いのは珍しい。
茶色とか金髪の人が多くて、
銀髪、紫髪、赤髪の人もいるけど、
黒髪はその人たちより少ないぐらい。
前世が日本人だから、全然珍しく感じないけどな。
ちょっと騒ぎすぎな気がするよ。




