12 魔法学園入学
魔法学園入学を迎えた。
前世の記憶からすると制服があるのかというイメージだったけど、制服はない。
杖を持ったりもしない。
制服の代わりに、決められたローブを着用することになっている。
イメージとしては、某、魔法学校映画に出てくる感じのやつだ。
ローブは基本3色ある。
黒、茶色、濃いグレー。
お金に余裕のある人は、別の色で同じデザインで特注することもできるそうだ。
私は無難に茶色を選んだ。
ローブには火魔法などから身を守る意味もある。
特殊な加工がされてるんだとか。
追加で別の効果をつけることもできるらしい。
ローブの下の服装には規定はない。
今日はスーツのような服を着ているが、
あの映画みたいな服を買い揃えて、制服っぽく着ちゃおうかなと思っている。
いいよね、制服。
ワイシャツにネクタイ、スラックス。そして時期によってVネックのベストかセーターを合わせる。
おしゃれー。というよりミーハーかな。
他には新学期前に教科書を買い揃えるぐらいだろうか。
15歳にならなくても入れるし、授業についていければ飛び級もあり。
家の仕事を手伝う人の中には単位が足りなくなったりして、
留年のように数年留まってる生徒もいるらしい。
日本に比べるとけっこう緩いような気がする。
人数も年によってバラつきがあるようだ。
大体一つの学年で40人前後。
1クラス20人前後が2クラスで構成されている。
学年は3年生まで。
寮に入っても良いし、使用人を連れてきても良い。
使用人用の部屋などもあり、それだけ設備も揃っている。
前世が庶民の私としては、学費がすごいんじゃないだろうかと思った。
幸い私は別邸からそう遠くはないので、寮には入らずに通うことにした。
兄様も通いだ。
兄が一緒って、よく考えたら心強いかもしれない。
でも頼り過ぎはいけないな。気をつけよう。
完全に貴族だけしか入れない学園である。
ゲームなどの設定で出てくる、平民出身の主人公ちゃんらしき子はいないようだ。
何か、この世界に関しての取っ掛かりが欲しかったんだけど。
みんな貴族の令息、令嬢で、
平民ならば必ずここではない別の学校という選択肢になるようだ。
つまり、ここは超お坊っちゃま、お嬢様学校ってことになるのか。
やっていけるかな、私。
そんなことを考えながら入学式は終わった。
兄様と一緒に帰ろうかと話していると、ざわざわした声が聞こえてきた。
そのざわめきの方向を何気なく振り返る。
人がたくさんいる中から、
ブワッと、最初にお姉ちゃんに出会った時みたいな風が吹いた。
爽やかで気持ちがいい風だ。
でも何だろう、何か嫌な予感がする。
「兄様。私は一人で帰ります」
「コリン?お前ーー」
兄に答えることなく、私はざわめきと反対方向に駆け出した。
全力でしばらく走って、誰もいない場所までやってきた。
人気のない花壇の脇に座った。
何だったんだ、さっきのは。
足音が聞こえてきた。
ザッザッと、ちょっと歩幅が大きい感じの足音だ。
何か心に引っかかりを覚える音だなと思った。
そして声を掛けられた。
「風子?」
振り返ると、金髪で青い瞳のイケメンがにこやかに微笑みながら立っていた。
紺色に近い、濃い青い色の特注のローブ。中に着ている服も明らかに高級そうだ。
「風子でしょ?何で逃げたのかな?」
たぶん、私が今逃げてきた相手だ。
追いつくの早くない?しまった、もっと遠くまで逃げるべきだったのに。
彼のことは見たことがある。
この国の第2王子だ。
ザワザワしてたのも彼がいたからか。
でも、あれ?…何で私の名前を知っているんだろう。
それになんだか知らないけど馴れ馴れしいんだけど。
ぼんやりと考えたのだった。




