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伯爵令息転生女子  作者: くるみ
第1章
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9アイリス王女

王城に出向くこととなった。

小さい頃に父様や兄様と一緒に来たことはあると思う。

でもそんなのは数える程度だ。



王城には、図書館に来ましたという建前で訪れることになっている。

王女と面識のある兄様と(おまけの私と)、王女が偶然にも鉢合わせて、お茶をするという筋書きだ。

自分たち兄弟と王女様は婚約者でもないし、特別接点もないのに会ってたら周囲に変に思われる。

とりあえず面会するという目的を果たすためである。

時間と場所は決めてあるのだ。

そしてその時は訪れた。


応接室に兄と私と通されることになったのだが。

相変わらず光り輝くような人だな、王女、もといお姉ちゃんは。


王女は私と2人きりで話がしたいと言う。

いつも大らかな兄もさすがに訝しんでいた。

ドアを少し開けて、隣の部屋で待機してもらうことにした。


私は防音の結界を一部屋分施した。


「来てくれてありがとう。あなたは風子、だよね?」


やっぱりと思った。私だと気づいていたんだ。


「お姉ちゃん。何から話したらいいのかわからないんだけど…」


突然抱きしめられた。

うわ、やめてよ、泣きそうになるんだけど。


「あの…」

ダメだ、やっぱり涙が止まんない。

2人してしばらく泣いてしまった。



「……なっ、何を…」

後ろから声がして振り向くと、兄様が驚いた表情で固まっていた。

そりゃそうだよね。

王女と自分の弟が抱き合って泣いてるの見たら、驚きもするだろうね。


どうやら、防音の結界が壊れ、効力がなくなったらしい。

私の集中力が途切れたせいだ。

お姉ちゃんごめん。



お姉ちゃんは兄様に向かって手をかざすと、何やら呪文を唱えた。

兄様の目は虚ろになり、お姉ちゃんは兄様の手を取って隣の部屋に連れていった。


「記憶を消して、眠らせておきました。

あーあ、最初からこうしておけば良かったねー」


お姉ちゃんさすが。

でも、ちょっと怖いな。



ーーーーーーーー


しばらくして、お姉ちゃんは言った。

「私って何で死んじゃったの?」


うそ、知らなかったんだ?

そういえば私も自分の死因は思い出せないままだ。


「病気だったよ。覚えていないの?」

「大学受験頑張ろうと思ってたところまでしか覚えていないんだよね」


「お姉ちゃん、受けた大学全部受かってたよ。有名なところばっかり。

でも大学生の時に病気になっちゃって…それで…」


「そっか……風子のその後の人生って、どんな感じだったの?」


「私も、20代半ばで、婚活頑張ろうと思った記憶までしかないんだよね」

「そうなんだ。頑張ろうって思ったところで記憶が途切れてるという法則でもあるのかな」

うーん。

2人してしばらく考え込む。


「両親のことも聞きたかったんだけど、記憶が途切れてるってことは聞けそうにないね」

寂しそうに微笑んだ。



結局その後はたわいもないお喋りをすることになった。

イケメンになったねと言われたけど、

お姉ちゃんこそ絶世の美女だし王女だしチートだよねと返した。


そう、お姉ちゃんはこの世界でけっこうチート能力を持ってるらしい。

人のステータスを見られるそうなのだ。

この世界でも希少な能力で、

魔法学園の庭で会った時、何となく気になり私のことを鑑定したんだとか。

日本人の生まれ変わりの場合、名前が出ているそうで。

磯野 風子 それが私の名前だ。

それを見て慌てて寄ってきたということらしかった。納得。


お姉ちゃんは光系統の魔法を持ってて、鑑定する時も爽やかさを与えるんだって。

どんだけチートなんだ。ビックリ。


「ステータスで、レベルとかいろいろ数値化されてるのを見られるんだけどね。

本当はやたらと鑑定しちゃいけないと、お父様からは厳しく言われてるんだ。

何でもやり過ぎは良くないし、知りすぎるのも良くないじゃない?

でも、風子にまた出会えたってことはきっと何かの意味があるんだと思う」


「私も気になってる。あの日お姉ちゃんに会わなかったら、私の記憶は戻っていない気がする。

記憶を取り戻すトリガーだったと思うんだ」


また考えつつ、今後もときどき交流を続けようという話になり、お開きとなった。




ここまで連れてきてくれたお兄様には感謝しかないと思い、そう告げた。


「兄様、今日はありがとうございました。

今日ここに来られて良かったです。

本当にありがとうございました」


「では、私が出世できたら、王女様との仲を取り持ってくれないか?」と、

冗談めかして返された。


兄様は頼りになるし、気さくな人で良かった。

本当にお姉ちゃんが今世でもお姉ちゃんになるのもあり得ることかもしれない。



「いや、今日はいつのまにか眠ってしまっていたようだ。

お前をほったらかしにしてしまってすまなかったとは思ってる。

しかし、いつもよりも爽快な気分なんだ。

こんなにスッキリした気持ちになったのはいつぶりだろう。

不思議なこともあるものだな」

ニコニコしながら言っていた。


お姉ちゃんの魔法のせいだろうか。

やっぱりお姉ちゃんチートだよね。ずるいなぁ。

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