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夜と少年  作者: 武
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何を望むか。そんなのは人それぞれだ。望みたいことを望んで、望むように生きる。人間には生存権もあるし、愚行権、所有権、キリがないほどの権利がある。実質僕達は自由だ。自由には制約がある。当たり前だ、狼少年のように嘘は跳ね返って自分に返ってくるし、人を傷つけたら人を傷つけるだけ自分も傷つくことになる。ハンムラビ法典では、目には目を歯には歯をと言う言葉があるじゃないか。つまりだ、望むことは代償を多く伴うと言うことだ。だが、その望む代償を考えずに動くことがこの世では最も望まれる。世の中に望まれるのに、自分の望むことをしない。おかしな話だ。だから、俺は望むままに動く。俺は集団社会が大っ嫌いだ。俺の大嫌いな食べ物のアンチョビ以上に嫌いだ。右向け右。左向け左。前ならえ。後ろの人は前に続け。郷に行っては郷に従え。まるで自分の意思など尊重されない。個性を出し過ぎると叩かれ。引っ込みすぎるとまた叩かれる。じゃあ、どうしろと。道行く小学生を見ていつも思う。小学生とは凄いものだ。もちろん人にもよるだろうが。俺みたいに所謂、根暗なやつにとっては小学校などただの牢獄だ。善悪の判断が少ない子供たちと一緒に集団生活を送らないといけないからだ。大人になると、それなりに善悪が分かるようになり悪いことはしないと言いたいところだが、大人も未完成な子供みたいなやつが多い。そんな大人よりもっと下の精神の人達がたむろしているのだから苦痛なものだろう。もちろん人にもよるが。僕は昔は明るかったんだ。自分が正しいと思ったことは率先して行い、逆に悪いこともいっぱいしてきた。要するに、無邪気だったと思う。昔の僕が今の俺を見たら見下していること間違いなしだ。俺は昔の自分にいじめられるのだろう。まぁ、いいさ。別に根暗な自分も今は受け入れてる。でも、今の俺は小学生に馴染めることは無いだろうな。



「気を付けて渡るんだよー」

そう声かける見守りのおばちゃん。俺は尊敬するぜ。だって朝からこんなにダルいことをやっている。好奇心で聞いてみた。なんで朝から子供たちを笑顔で見送れるんですかって、朝は辛くないですか?って。因みに、その見守りのおばちゃんは柳橋さん。下の名前は知らない。柳橋さんは毎朝、子供達が安全に道路を通るところを見守っている。

「あんたそんな仏頂面で私の隣にいるんじゃないよ、子供達がそばを通るんだから、もうちょっといい顔しな

おばちゃんは辛くないさ。辛いけど、辛くないさ。そう答えてたなぁ。はっきりいって矛盾してるし意味も分からない。まぁ、わかるけど。

「しょうがないじゃねぇか。おばちゃんが来いって言うんだから。僕は眠い目を擦ってここにいるんだよ。

俺はおばちゃんが子供たちを送っている横でガードレールに腰を置いて、ビールを飲んでいる。

「どうせ、やることないんだからいいじゃねぇか、こういうことの積み重ねが人の評価に繋がるんだよ」

人の価値なんかどうでもいいさ。俺は上は灰色のパーカーで、下は黒のニットを来てそう思った。

「俺は人の評価を気にするそんな社会は大嫌いですけどね、、」


「こんばんは!」

黄色い帽子に、赤い名札。某人気キャラクターが描いてる赤いが主体の半袖シャツに黒の某有名スポーツメーカーの短パンの少年。絵に書いたような小学生をしてやがる。

「だからいっつも言ってるだろうが、今は朝なの、おはようございますだろが」

「だって、おじさん、いっつも夜家にいるときののお父さんと同じような格好と言動とってるもん!」

左様ですか。お前の親は大丈夫か。僕は引きこもりニートだぞ。お父さんも俺と同じにされて大変だな。

この子のお父さんも俺と同じクズ野郎かもしれないが、知らない人の陰口は考えない様にしよ。

「左様ですか。元気に行ってこいよ。」

少年は俺に体当たりをしてきた。と言っても、そこまで痛くないし。少年も全く本気で当たってきていないが。そしてこう言う。

「大丈夫、大人に反抗できるぐらい元気だから!」


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