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SKYED7 上 語句紹介

【世界地理と本作の時代の情勢】

 本作品の舞台は南半球が主な舞台となる。そのため季節は八月は真冬、二月が真夏となる。

 北半球には大きな大陸が多く列強と呼ばれる大国が(しのぎ)を削っている。代表的な大国には広大な面積を誇るドミニフィナ大陸内で覇権を争うロデスティニア、ノーマゲントがあり本作の舞台であるランテヴィア大陸はその真南にある。

 ランテヴィア大陸の東には無数の小さな島々が弓なりに散らばる一帯があり、そこには数多の少数部族が暮らしている。その島嶼部はウェードミット諸島と呼ばれる。

 ウェードミットの西には南半球唯一の大きな大陸があり、かつてはその大陸にも無数の国家があったがラーヴァリエ信教国という宗教国家が台頭し全域を支配した。ラーヴァリエは布教と救済を名目に島嶼諸国や神聖大陸の北の北半球に位置する島国であるアシュバルなどを次々に占領していきその脅威はやがて島嶼の支配を野望に動き出していたゴドリック帝国とぶつかることになった。

 ラーヴァリエの脅威は列強諸国も看過できないものになっていたが、小国ゴドリックが思いのほか奮戦したことによって世界は両国の動向に注視するようになった。

 そんな中、ゴドリックの皇帝が島嶼の小国セイドラントの王よって殺害され国を乗っ取られる事件が起きた。


【ゴドリック帝国】

 南半球にあるランテヴィア大陸を本国とする帝国。とはいえ、実はランテヴィア大陸は北東にあるアルマーナ島という島よりも小さい。これはこの世界に大陸の定義がないことを意味するが、堂々と大陸の覇者を名乗り出した初代ゴドリック帝のその世界の広さを知らない宣言に当時の世界は失笑したという。また、後に時代が下るとランテヴィアを出身とする人物が他国の者に「大陸人」と嘲笑されるのはこれが理由である。

 ランテヴィア大陸にはかつていくつかの王国があり、西にランテヴィア、東には北からエキトワ、バエシュ、リンドナルの三国があった。

 大陸はランテヴィア出身のバザルト・ゴドリックが皇帝を名乗りゴドリック帝国を興して統一した。

 一統まではランテヴィア西部に首都があったが(まつりごと)の利便性を考慮して遷都が行われ、大陸中央に帝都ゾアが誕生する。以後はそこが皇帝の本拠地となった。


【化身装甲】

 ゴドリック帝国が誇る天才技師トルゴ・アシンダルが再現に成功した鋼鉄の二足型機動装甲。人の倍の背丈があり乗り込む人間は胴体部分の昇降口を開けて搭乗する。とてつもない重さで本来ならば着装して動くどころか昇降口を開けることすらもままならないが、セエレ鉱石という原動力を放電させることによって装甲を包むように発生する反重力の磁場がその重さを感じさせなくする。

 内部は空洞。着装者は雷導の磁場に引っ張られて膨張しその空洞を埋める。装甲と人体の境目は潜水服のような素材となっており人体が外に溢れ出てしまうのを防ぐ。

 化身装甲のその最大の長所は分厚い装甲による防御力と、質量を利用した突進力、そして鉄の塊とは思えない俊敏な機動力である。

 ただし繊細な動きは苦手であり急な方向転換などは内部に深刻な負荷をかけてしまう。場合によっては関節などの装甲のない部位に生じた裂傷から中身が飛び出してしまう。

 また、雷導によって質量を軽くした状態ではその突進力は生かしきれず、かといって火花放電を抑えると重量を支え切れない。その微妙な加減が着装者には求められるため上手く使いこなせる人間はなかなかいない。


【装甲義肢】

 化身装甲の簡易版。全身鎧ではなく部分鎧。主に肩までを覆った籠手の形をしている。反重力の磁場は発生するが着装部位を密閉状態にはしないため動力は殆ど大気中に逃げてしまうが、それでも鉄の籠手の重さを感じさせない程には効力を発揮する。

 化身装甲よりは着装者が即死する危険性は低下したがそれでも装甲部位に振り回されて腰がねじり切れてしまったり装甲ごと腕が取れてしまったりする者が続出した。

 試作品で下半身を覆う足型も一つだけ作られたが籠手型よりも扱いが難しいため量産計画は中止となった。


【セエレ鉱石】

 ブロキス帝がトルゴ・アシンダルに与えた不思議な鉱石。石とは名ばかりでその形や材質は一定ではない。例えばそれは剣の破片であったり、木札の破片であったり、指輪であったり首飾りであったりする。ブロキス帝はアシンダルに与える際にセイレイ石と言ったが、アシンダルはセエレ石と聞き間違え、世間に噂が流れる頃にはいつの間にかセエレ鉱石と呼ばれるようになっていた。

 セエレ鉱石の特徴は火花や火を加えると発光し膨大な熱量を生み出すことにある。そして周囲のものを巻き込んで軽くなる。

 アシンダルは最初それを木炭燃料の代わりとして研究した。その結果セエレ鉱石が生み出す熱量が動力の歴史を変えてしまうという懸念に至った。たった一個で木炭や石炭数年分の動力を生み出すと試算されたのである。アシンダルはその有用な活用方法を見出せずにいたが、同じくブロキスから下賜(かし)されたフレイマンの設計図に載っている鉄の巨人の動力に使用できると閃いた。進言するとブロキスは思いのほか乗り気の態度を見せたので、セエレ鉱石は敢えて大飯喰らいの兵器に投入されることとなった。


雷導(らいどう)

 化身装甲や装甲義肢の動力となるセエレ鉱石に火花放電を加えること。腰にある動力室にはセエレ鉱石と火花の発生装置が収納されており、一度手動で火花放電させればセエレ鉱石が生じさせる熱量が羽根車式回転原動機に伝わり一定間隔で火花放電を加え続けるようになる。右腕の人差し指には動力部との回線が繋がった引き金があり、それを引いたり押し込んだりすることで火花を生じさせる原動機の回転数が変わる。何度も強く退けば回転数が上がり機体はどんどん軽くなるが質量を失うため攻撃も軽くなる。逆に押し込むと回転数は下がり機体は本来の鉄の重さを取り戻す。

 雷導しすぎるとセエレ鉱石が暴走状態になることがある。暴走状態になるとセエレ鉱石の違いに応じて副反応が起こる。例えば剣の破片のセエレ鉱石を搭載した化身装甲が暴走状態になると黒い炎雷を纏い出し、最悪、搭乗者は焼死する。その他にも腕の骨が砂のように粉々になってしまった装甲義肢着装者もいる。

 化身装甲においては雷導を止めた後も暫くは出る事が出来ない。膨張した体が元の大きさに戻るのを待たなければならないからである。雷導を止めてすぐに搭乗口を開けてしまうと圧力差に耐えられずに目や内臓が飛び出たりする。内圧と外圧の差がなくなった後もまだ体の大きさが元に戻っていないうちに開けると体が膨張状態のまま戻らなくなったりする。

 また、化身装甲と装甲義肢の双方に言える事だが外傷がある時に雷導するとその傷部分から中身が漏れ出てしまう。


【帝都ゾア】

 ゴドリック帝国の首都。元々は帝国が大陸一統を掲げて東の三国を攻める時に造った拠点だった。大陸の中央やや西の広い平原にあり交通の利便性が高い。

 街並みは中央のエセンドラ城から波紋状に広がっており、城の関係者が住む居住区である中央区、工業区、商業区、一般の居住区の間はそれぞれ壁の隔たりがある。平時には鉄門が開放されているので工業区よりも外側の区画への出入りは容易。

 

【イクリオ病院】

 ゾアの中央区にある軍病院。高度な医療を受けることが出来るが機密事項の取り扱いも多いため一部の軍人や政治家しか利用することが出来ない。


【エキトワ領】

 ゴドリック帝国北東部。かつてエキトワ王国があった地。ランテヴィア大陸に存在した四つの国の中では二番目に大きい領土を保有していたが帝国との覇権争いに敗けて吸収されると北の大陸との玄関口である港町を含む土地を皇帝直轄の中央領に接収されたので一番小さな地方となってしまった。

 中央区との領境にある都以外では栄えている町がなく、領民は漁業や林業で細々生活している。しかし派兵されている方面軍に対する予算はかなり潤沢で兵士は出兵する心配もなくかなり恵まれた生活をしている。これは領地を中央区に献上した見返りとも、西海岸の貴族の子息が多く配属しているせいとも囁かれている。


【アルバレル修道院】

 ゴドリック帝国北東部、エキトワ領にある修道院。エキトワ領の中では西側にあり中央領との領境に近い。昔はゴドリック帝国がエキトワ王国を攻めた際の最前線の砦としての機能があったがエキトワが併合されると宿場として生まれ変わった。その後は門前に置き去りにされる身寄りのない子供や老人などを保護するようになり今に至る。エキトワ領が更に貧しくなると中央から援助を貰っていることを理由に盗人に目をつけられるようになり、用心棒を雇うようになった。


【カヌーク】

 エキトワ領の漁村。昔は島嶼諸国との貿易で栄えていたが交易が断たれると瞬く間に寂れてしまった。現在はバエシュ領テルシェデントとの交易とエキトワ方面軍への海産物の卸業(おろしぎょう)でなんとか食いつないでいる。中央の管轄である官憲はおらず治安維持隊とは名ばかりの自警団がいる。


【ヴリーク湾】

 エキトワ領北部にある天然の大きな湾口。港をつくるには好条件の環境だがそこに至るまでの街道の整備が技術的にも財政的にも難しいため手つかずとなっている。時折北の大国の密輸業者とカヌークやテロートの漁師が取引に利用しているという話が囁かれるが見て見ぬふりをされている。


【マノラ】

 ゴドリック帝国北部、中央領北部の漁村。東に少し離れたところにあるテロートが玄関口として再開発されてからは国内外ともにわざわざ利便性の悪いマノラを利用する者もいなくなり寂れた。もともと寒村であったがほぼ唯一の交易相手となったテロートにも足元を見られるようになり、今や老人と、出稼ぎに出て行く気概もない僅かな若者だけしか残っていない。


【テロート】

 ゴドリック帝国北部、中央領北部の漁村。北の大国であるロデスティニアやノーマゲントとの交易の玄関口として都市開発されてからは非常に栄える町となった。白い壁と青い海の対比は美しく中央からの旅行者も多い。観光地として栄えつつ水産物や水産加工品の産地としても重宝されている。


【アルテレナ軍道】

 ゴドリック帝国北部の沿岸沿いに連なる小高い山々を東に掘り進めた軍用道路。その昔、東部三国を攻めあぐねた帝国がエキトワ王国の目を盗んで造った。それまで帝国は東部三国を攻めるには広い平原を横断せねばならず軍事行動が事前に察知されてしまうという問題を解決できずにいたが、これにより強襲が可能となると三国の命運は決まった。現在は役目を終えて荒れるに任せ、崩落も随所で見られる悪路となっている。


【バエシュ領】


【テルシェデント】


【炭焼きの集落】


【トレルウォ】


【西海岸の都市】


【リンドナル領】


【ダンカレム】


【サロマ島】


【アルマーナ島】


【亜人の国アルマーナ】


【聖地ジウ】


【ウェードミット諸島】


【セイドラント】


【ダルナレア】


【モサンメディシュ】


【ナバフ】


【アナトゥルバ】


【その他の少数部族】


【イムリント要塞】


【神聖大陸】


【ラーヴァリエ信教国】













【アナイの民】

 ウェードミット諸島を渡り歩く少数民族。島という狭い環境の中で馬を連れて遊牧するという少々変わった生活を営む部族である。元々はナワン族といったが、アシハラの巫女(後の繋世の巫女)をジウに案内したことを誇り自ら部族の名を変えた。部族を守る戦士は眉の代わりに赤い横線を引き、口の両端に黒い入れ墨を入れている。眉の上の赤い塗料は部族が信仰する神アケノーキナの象徴である朝日を表し、口の両側の入れ墨はその口が災いを発しないための戒めと言われている。

 現在は部族長が受けたとされる神託により渡航を禁じウェードミット東部の島で生活を営んでいる。


【アナイの民とラグ・レ】

 ラグ・レはアナイの民だと言うが作中では同胞と一緒にいる描写はない。

 そしてラグ・レは実は戦士を自称しているだけで実は戦士としての条件を満たしてはいない。

 なぜ戦士を自称しているのに1人でジウにいるのか。

 その理由はラグ・レがジウに来た経緯にある。

 アナイの民は誇り高き部族だったが時代が下るにつれて腐敗していた。

 族長は代々その身に繋世の巫女を護衛した部族の英雄の魂を下ろすとされ、当代の族長はその権威を笠に着て欲望の限りを尽くしていた。

 族長は見目麗しいラグ・レに目をつけて自分の妻に加えるとラグ・レの両親に迫った。

 両親はラグ・レがまだ年端のいかない幼子であることを理由に拒否したが、それが族長の怒りを買い父親は裏切り者の汚名を着せられて殺されてしまった。

 ラグ・レはさらわれ純潔を奪われた。

 悲しみと怒りで母親はラグ・レに無断で戦士の化粧を施した。

 戦士となれば族長でもこれ以上ラグ・レを弄ぶことが出来なくなると考えたからである。

 戦士の化粧は族長の任命がなければできない神事だった。

 部族長は憤慨した。

 ラグ・レが戦士の条件である純潔を満たしていないことは誰よりも知っているが、勝手に戦士の化粧を施されたのだと訴えれば自分の権威に傷がついてしまう。

 戦士を妻に迎えれば信仰神アケノーキナから神罰が下るかもしれない。

 そもそも純潔でないラグ・レが戦士になったことがアケノーキナの怒りを買ったかもしれない。

 妻にも迎えられず邪魔なだけの存在になったラグ・レと勝手なことをしたその母に族長は父親と同じく裏切り者の汚名を着せ、処刑するように部族に命じた。

 ラグ・レの母は幼いラグ・レを抱えて3日3晩逃げた。

 馬を射倒され足に矢を受けても母は走って逃げた。

 小舟でジウの浜辺にたどり着いた時には母は敗血症で既に事切れていた。

 大賢老はアナイの民と問題になるかもしれないと知りつつもラグ・レを匿ったのだった。

 大人の男に組み伏せられた痛み、母の腕の中で同胞だった人々に命を狙われる恐怖、次第に衰弱し冷たくなっていく母に抱かれ続けた絶望でラグ・レには当時の記憶がない。

 しかし当時の記憶が蘇るのか、ラグ・レは覆いかぶさられることを嫌う。

 初めてロブ・ハーストに出会い組み敷かれたときに「私はこの体勢は嫌いなんだ」と言ったのはその為である(本作「上」島嶼へ2より)。

 ラグ・レの背負う鞍は母の形見である。

 

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― 新着の感想 ―
[良い点] (;_;)ラグ・レ!あ [一言] 猫、手紙ノーラまで来て読んだけど。 これ結構大事なバックストーリーだったw
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