乃木坂太郎 漫画『幽麗塔』
出版社:小学館 掲載誌: ビッグコミックスペリオール ジャンル:ミステリ・サスペンス 巻数: 全9巻 初版発行: 2011年11月30日 著者: 乃木坂太郎
『本当の愛ってなに!』
はい、私がこの『幽麗塔』を読んで思った感想です。まぁ、その話は後々するとして、まず先に『幽霊塔』とは何なのかを紹介します。
アリス・マリエル・ウィリアムソンの小説『灰色の女』を基にした黒岩涙香の翻案長編小説。黒岩涙香の翻案小説『幽霊塔』を江戸川乱歩がリライトした長編小説。です。意味分かりましたか? 分かりませんよねぇ~。
つまりウィリアムソンの『灰色の女』という作品を、黒岩涙香が少し手を加えて翻訳した作品です(たぶん)。で黒岩涙香の『幽霊塔』を新しくリライトしたのが、大乱歩こと江戸川乱歩の『幽霊塔』です。
その他にも数々の作家が、このウイリアムソンの『幽霊塔』に感銘を受け、自己流の『幽霊塔』を書いています。あの宮崎駿監督も『幽霊塔』に感銘を受け、『ルパン三世 カリオストロの城』のモデルにしたそうですよ。
時が過ぎても数々の作家に、感銘を与えるなんて、ウイリアムソンの『灰色の女』とはよくできたミステリー小説なんでしょうね(私は読んだことないですが)。そして『医龍』の作者で知られる、乃木坂太郎さんも『幽霊塔』を題材に新たな『幽霊塔』を生み出してくれました。
そうそれが今回紹介する『幽麗塔』です。まぁ~、こんな手に汗握るサスペンス漫画を久しぶりに読んだね、うん。無理に話を伸ばそうとしてないから、無駄な話がない。すべてが伏線。中間飽きることなく、一気に読んだ。
後半からは怒涛の展開で、ミスリードに次ぐ、ミスリード! 最後まで展開が読めない。オススメミステリ・サスペンス漫画は? って聞かれたら、間違いなくこの作品を押します。かくいう私も、オススメミステリ・サスペンス漫画って調べて、見つけた作品がこれですから。
面白さは折り紙付きです。前置きが長くなりましたね。それでは、主要登場人物を先に紹介して、ストーリーを軽く紹介します。
天野 太一/タイチ
本作の主人公。友達がおらず無職で童貞の青年。見栄っ張りで嫉妬深く、日々劣等感を抱いて生きているが、心根は優しく善良。趣味は読書で、推理小説とカストリ雑誌を好む。
ある日、街中で同級生だった花園と三村に再会した際、2人が結婚することを知ったことで、三村に嫉妬してホラを吹き、後に引けなくなって困り果てていた所を謎の美青年・テツオに救われる。
更に、テツオから殺された老婆の幽霊が出ると有名な幽霊塔の管理人の仕事を譲り受けたことを機に、テツオと共に、金持ちになろうとする。相手の何らかの美点を評価したり、なるべく人が死なない解決法を模索したりするなどの人の好さを見せる。
沢村 鉄雄/テツオ
本作のヒロイン。男装の麗人で、思考・性格も男性的。作中において、現在でいうところのトランスジェンダー(性同一性障害、バイセクシャル)の持ち主とされている。容姿端麗、頭脳明晰、運動万能。
特に容姿はテツオを男性だと疑わなかったタイチが見惚れるほど(ただしその正体が暴かれる前から中性的な美形の人物として描かれている)。利発で、冷静な判断力と高い推理力を持ち、数々の場面でタイチをフォローしている。
自信家だが、目的のためには手段を選ばない冷酷な面があり、当初タイチから死番虫ではないかと疑われていた。タイチのことは出会う前から知っていたようで、彼の劣等感を見透かし、幽霊塔の財宝で一緒に金持ちになろうと誘う。幽霊塔の内部について詳しく、その財宝を狙っている。後略
丸部 道九郎
検事で資産家。40歳。幽霊塔を買い取った本人で、昔から欲しかった模様。娘・沙都子とばあやの3人で暮らしている。冷静で推理力に長けているが、変態で人格破綻者なことから、娘や同業種である警察からはよく思われていない。後略
丸部 沙都子
丸部道九郎の一人娘。18歳。気弱な性格で、父・道九郎に過保護に育てられたため、かなりの世間知らず。父・道九郎を恐れており、彼の言いなりになっているが、「検事にふさわしくない人間」と嫌っている。後略
死番虫
幽麗塔に潜む、マスクをかぶった正体不明の人物。タイチを襲い、花園を殺害した。殺人を躊躇わず、幽霊塔に近付く人間を排除する。名前の由来は、死神の持つ時計と同じ、「デス・ウォッチ」の英名を持つ虫・死番虫から、タイチが名付けた。
山科刑事
神戸市警の刑事。タイチとテツオのよき理解者。テツオと同じで性的マイノリティの持ち主。
陣羽笛刑事
神戸市警の警部。カミソリ陣羽笛の異名を持つ。イメージは、アガサクリスティーのポアロ的。
はい! 山科刑事と陣羽笛警部以外は、ウイキペディアから引用です。長くなり申し訳ありません。自分で文章を打つより、ウイキペディアの方がまとまってて、分かりやすいんですよ。読者の皆様も分かりやすい方がいいでしょ?
簡単にストーリーを紹介すると、幽霊塔という時計塔に隠された、財宝を巡って巻き起こる、財宝争奪サスペンス。エログロ作品です。エロより、グロ多めなので残酷描写が苦手な方は気を付けてください。
どこがグロいって、幽霊塔のトラップや、殺人描写です。幽霊塔のトラップで人間が潰されるシーンがあるのですが、私はそのシーンが一番怖かったです。
マリオのゲームに現れるドッスン見たいに、一瞬で潰されるんだったらまだいいですが、時間をかけてゆっくりと、天井が落ちてくるんですよ……。趣味悪いと思いません(笑)。天井に潰される人の、「嘘づぎ~」が怖かった……(ブルブル)。
キャラ紹介でも書いたように、タイチは色々あって、幽霊塔の時計の針に磔にされ、もう数分で死ぬところをテツオに助けられます。で、なんやかんやあって、テツオはこの幽霊塔に眠る財宝を一緒に探さないか、って話になって、タイチはテツオと行動を共にすることになるのです。
この作品は性同一性障害をテーマにした作品です。一巻から、最終巻を通して、セクシャルマイノリティーとは何なのかを、テツオを通して語られます。
テツオは心は男、体は女なのです。男を愛せないんですよ。だけど、容姿がいいもんだから、男からは色目で見られるんですよね。それを見て、思います、愛って何なんだろう……? って。
愛にも色々なかたちがありますが、男女の愛って何なんだろうって、この作品を読んで思いました。結局、男女の愛は性欲ではないのか、と。なんか、ただ性だけの愛って、嫌だなって思います……。本当の愛って、何なんだろう……?
例えばあなたの周りに、心は女性で、体は男のトランスジェンダーの人がいたとします。その人が男性と一緒になれるかって言ったら、難しいですよね。女同士、男同士の結婚とかになると、まだ社会の眼は冷たいですからね。
東京スカイツリーが建設された現代でも、セクシャルマイノリティーの人たちに、寛容になれているでしょうか?
セクシャルマイノリティーの人も住みやすい世の中になっているでしょうか? 今こそ、この作品を読んで皆様も考えてみてください。本当の愛とは何か? を。それでは、ありがとうございました。




