竹内友 漫画『ボールルームへようこそ』
「もはや芸術!」
と、タイトルを見てもらえればわかるのですが、『ボールルームへようこそ』です。開始早々、一人ごちりましたが、この作品は社交ダンスをテーマにした物語なんですよ。
社交ダンスをテーマにした作品と言えば、ジャンプで連載されていた『背筋をピン!と』と今作くらいしか知りません。マイナーと言えばマイナーなテーマですからね。
そんなマイナーなダンス競技の世界を素人にもわかりやすく、説明してくれるというダンス初心者にもやさしい物語となっています。
よくここまで専門的なことを掘り下げられるな、って思っていたら、なんと、なんとですね。作者の竹内 友さん(女性)は元ラテンアメリカ専攻の競技ダンサーだったんですって。
ダンスの心理描写なんて、経験者しか描けない鬼気迫ったものがあります。命を削って描いている、というのが絵からヒシヒシと伝わってくるんです。
だから、しばらく活動中止していましたが、今年一月に10巻を発売して再会されました。
まあ、とにかく竹内さんの絵を見て欲しいのですが、芸術なんですよ。漫画と言うのは、映画やアニメと並び総合芸術だと思います。まさにこの作品は、総合芸術! だと断言してもいい作品だと思います。
人物が作り出す優美な曲線。「これ絶対誇張してるだろ」と思って競技ダンスを見てみたんですが、誇張などしてないと思い知らされました。社交ダンスにも色々な種類があって、私たちが「社交ダンス」と聞いて主にイメージするのは、スタンダードのワルツやタンゴだと思います。
調べてもらえれば早いのですが、社交ダンスにはその他にも、ラテンという種類があって、作者の竹内さんはラテンのダンサーだったんですね。
私のイメージでいえば、スタンダードスタイルは優雅で優美なイメージ、ラテンは豪快で凄烈なイメージを持ちました(素人意見なので、真に受けないように)。
物語はじまりの時点では、主人公である富士田多々良が中学生のころです。将来の夢もなく、無気力に日々を過ごしていました。
そんなある日、カツアゲに遭ったところをプロダンサーの仙石要に助けられ、彼が経営するダンス教室でダンスを体験することになるのです。
そして、多々良は花岡 雫や兵藤 清春、赤城 賀寿、真子などの、同年代の人々と触れ合い、感化され競技ダンスの魅力を知り。ダンスの世界へと踏み出すのです。
そして、清春や雫たちも素人である多々良に感化され、更に技術を磨いていく、というストーリーになっています。いわゆる、主人公スゲー系のはじまりです。
多々良は"観る力„が人並み以上にあり、教えられたことを素人なりに体得していくんですよ。主人公スゲー系の物語は、やっぱり必要ですよね、うん。
こっちも素人だから、競技ダンス上手い人たちが多々良の凄さに驚いていると、熱くなります。競技ダンスに出演するには、相方がいるのですが、その相方を得るまでの過程がとても、盛り上がりました。




