高橋留美子 漫画『人魚シリーズ』
小学館 掲載誌:週刊少年サンデー 巻数:3 発表号:1984年8-9月号 - 1994年7-8月号 作者:高橋留美子 ラジオドラマあり OVAあり アニメ化あり 小説版あり
「永遠の命は欲しいですか?」はい、今回は私が個人的に好きな物語、人魚シリーズを紹介します。高橋留美子さんですね。るーみっくわーるど、『犬夜叉』や、『らんま1/2』『うる星やつら』『めぞん一刻』などで知られる漫画界の巨匠、高橋留美子さんです。
いや~本当に高橋留美子さんは凄い。どれも傑作ぞろいですが、今回紹介するのは高橋留美子さんらしからぬ。人魚シリーズという短編連作集です。『人魚は笑わない』『闘魚の里』『人魚の森』『夢の終わり』『約束の明日』『人魚の傷』『舎利姫』『夜叉の瞳』『最後の顔』の全三巻です。
一応まだ完結していないのですが、もう『最後の顔』が発表されてから26年ほど経っていますから、多分今後最新作が発表される可能性は低いと思います。まあ、主人公たちは不老不死なので、続けようと思えばいくらでも物語を続けられるので、高橋留美子さんも終わらせ方がわからなかったのでしょうね。
主人公は湧太という元漁師の青年? です。興味本位で仲間と共に人魚の肉を食べてしまって不老不死になってしまいます。一緒に人魚の肉を食べた仲間は皆死んでしまいました。が、湧太は運がよかったので、生き残ったのです。
人魚の肉は猛毒なんですね~。何百年に一人しか適合者があらわれない、とたしか作中で語られていたような? しかし湧太は運よく(いや運悪くかな)適合してしまい、それから五百年不老不死を解いてくれるかもしれない、人魚を捜して日本中を彷徨い歩いているのです。
不老不死だから同じ場所にとどまれないんです。で『人魚は笑わない』で真魚に出会います。真魚と湧太はある事情から共に旅をすることになります。
物語は湧太の過去の話が入ったり、現在の話が入ったりで構成されています。はい、まあ軽い紹介はこんなところでしょうか。私が好きな短編は、『人魚の森』『約束の明日』『人魚の傷』の三編です。それがどうした、っていう話ですが私が好きなお話はこの三編だということです……はい。
この作品は全編を通して、「不老不死って幸せなの?」というテーマが問われ続けます。ハッキリ言ってこの物語で人魚に関わってしまった人々は、幸せになっていません。不老不死なんてなったって、幸せにはなれないんですよ。
好きな人が先に亡くなるのに、自分は年も取らず死ぬことがないなんて考えるだけで悲しいですよね。終わりあるから、命は尊いのです。この物語群はそういう哲学的なことを教えてくれる、教科書みたいなもの。
果たして、湧太と真魚は人間に戻れる日は来るのだろうか? それは高橋留美子さんの創作意欲しだい! 人魚に翻弄された人々の悲しい人生ドラマ。残酷描写などが苦手な方はご注意ください。ありがとうございました。




