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物部の書評広場  作者: 物部がたり
漫画――さ行
94/100

篠原健太 漫画『彼方のアストラ』

集英社 (ジャンプコミックス) 全五巻 ジャンル:SFサバイバル 著者:篠原健太

アニメ化あり

 伏線がすごい! と評判の『彼方のアストラ』のネタバレなし、紹介をしようと思います。最後は怒涛の展開で伏線が繋がっていく、爽快感はたまりませんね。


 伏線を巧みに張っている作品が好きな私にとって、大変楽しめました。浦沢直樹さんの作品なんて、風呂敷を広げ過ぎ、という声はありますが、伏線がすごいじゃないですか。だから、どうしても長くなりがちになります。


 けれど、『彼方のアストラ』は巻数全5巻という手ごろな巻数で、すぐに読めて、読後感がすごく壮大。評判がいいだけのことはある良く練られたストーリと演出、伏線が光る良作です。


 ネタバレをしないように心がけるので、安心して読んでください。作者によると、『11人いる!』と『インターステラー』『ゼロ・グラビティ』の影響を受けているそうです。


『11人いる』『インターステラー』『ゼロ・グラビティ』どれもSFとして、傑作ですよね。中でも『インターステラー』はとても感動しました。


 物語を簡単に説明すると、ケアード高校のアリエス・スプリングは、惑星キャンプに出発するため、無作為に選ばれた班のメンバーと顔合わせをするところから、はじまります。


 惑星キャンプとい設定は『無人惑星サヴァイヴ』と類似していると言われています。


『無人惑星サヴァイヴ』も宇宙キャンプに行くために、乗った宇宙船が“宇宙嵐„に巻き込まれて、無人の惑星に漂流し、原始的なサバイバルをすると言うお話です。『無人惑星サヴァイヴ』もすごくオススメです。面白いですよ。


 はじめは喧嘩ばかりしていた仲間が、次第に信頼関係を築いていき、最後は惑星を救う、という壮大な物語になっています。SFなのですが、ちゃんとサバイバルをしているんですよ。


 一生涯の内に無人島に漂流する、ということがあるかもしれません(ないとは言えないでしょ)。そのときに備えて、『家族ロビンソン漂流記』と『無人惑星サヴァイヴ』は必見です。


 話がそれましたが、無作為に集められた登場人物9人。


・カナタ・ホシジマ


 本作の主人公

 将来の夢は宇宙探検家。陸上十種競技の選手。


・アリエス・スプリング


 本作のもう一人の主人公。語り手であり、B5班の書記として航海日誌という形で帰還後も自身の視点で物語を記し語る。天然ちゃんで、とてもかわいいです。


・ザック・ウォーカー


 IQ200を誇る青い瞳の少年。宇宙船の操縦免許を持ち、科学者志望。


・キトリー・ラファエリ


 金髪とヴァイオレットの瞳、褐色の肌が特徴の少女。ザックと家が隣同士の幼なじみ。


・フニシア・ラファエリ


 キトリーの義理の妹。金髪とヴァイオレットの瞳、褐色の肌の女の子(ただし母親(代理母)は白い肌の女性)。一人称は「フニ」で仲間からもフニと呼ばれる。


・ルカ・エスポジト


 お調子者な性格の小柄な少年。一人称はオイラで語尾は「っす」。


・シャルス・ラクロワ


 生物に関する知識が豊富な少年。金髪緑眼。二枚目だが、生物への愛情が強すぎて、ズレているアリエス共々に変態っぽいと思われることもある。料理も得意でメンバーの食事を作る。


・ユンファ・ルー


 黒髪でブラウンの瞳、長身の眼鏡少女。右の口元に艶ぼくろがある。


・ウルガー・ツヴァイク


 ニット帽を被ってアンバーの片目が前髪で隠れている少年。態度は尊大で皮肉っぽく「うるさい黙れ」が口癖。


 と主要登場はこの九人です。その他にも、親たちや王族が登場して、全5巻にしてはキャラが多いように思います。が、みんなキャラが立っていて、気になりません。


 無作為に集められましたが、九人みんなが親たちとうまく行っていない、ということだけは共通しているのです。はてさて、それがいったい、どういう伏線に繋がっているのか?


 というわけで、紹介した九人が、惑星キャンプに向かった先で、謎の球体に飲み込まれ宇宙にワープさせられてしまうのです。その宇宙からは、氷の惑星がみえるのですよ、うん。


 何が起きたのかわからぬまま、カナタたちは旧型の宇宙船(アストラ号)を見つけ避難。みんな避難できたと思ったら、アリエスがいないことに気付き……。


 というお話です。この後も、色々な惑星を旅しながら、アストラという自分たちの故郷への旅が幕を開けるのであります。立ち寄った惑星で、仲間と対立しながらも、次第に心を開き、強い絆が生まれてゆく。


 まさに、少年漫画の王道展開です。王道は理屈抜きに面白い。巻数が短いだけあって、どの話にも最終回に向けた伏線が散りばめられていて、すべてを知った後に、改めて読み返してみると、「ああ、ここは、こういう意味だったんだ」とか「このシーンに説得力をもたせるために、この場面を入れたんだな」と衝撃を受けます。


 全5巻ですが、ストーリが壮大で明かされてゆく世界の真実には圧巻。それはまるで、『進撃の巨人』の壁の真実や海の向こうの真実が明かされたときのような、衝撃を味わえることでしょう。


 まだまだ、語りたいことはありますが、ネタバレをしない以上、これ以上語るのは大変なので、これで終わりにしたいと思います。伏線回収が好きな方には、本当にオススメの作品です。それでは。

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