小山宙哉 漫画『宇宙兄弟』
講談社 (モーニング) ジャンル:ヒューマンドラマ 作者:小山宙哉
実写映画化あり アニメ化あり
紹介するまでもなく、超が付くほど有名な漫画『宇宙兄弟』。37巻時点で累計2400万部を超える大ヒット作。実写映画やアニメ化もしており、観たこと、読んだことはなくても、名前なら知っているという人が多いと思います。
そんな超がつくほど有名な宇宙兄弟。わざわざ紹介するまでもないのですが、個人的に好きな作品なので、感想的なことを書かせてもらおうかな、と思い記すことにします。
まず宇宙兄弟とはどのようなストーリーなのかを簡単に言ってしまえば、兄弟が子供のころに二人で月に行くことを約束し、宇宙を目指すという荒唐無稽とも思われる物語です。
この作品のどこが面白いかって? どこが面白いのか私も一言では紹介しきれません(答えになってなくて、ごめんなさい)。けれど、読んだことない人は読んで欲しい。アニメを先に観てもいいです。
たまにシリアスだけど、キャラクターの個性が光、シュールなギャグがクスッと笑えます。
主人公は南波六太(以後ムッタ)という中年のおっさんです。サッカーワールドカップ予選敗退の「ドーハの悲劇」の日生まれ。
ムッタは何かと不運が起こると、どうせドーハの悲劇生まれだから、とネガティブに陥ります。
一方ムッタの弟は日本人初のムーンウォーカ日々人(以後ヒビト)は1996年9月17日「栄光の日」生まれ。野茂英雄投手がノーヒットノーランを達成した日。
ヒビトはポジティブなのに対し、ムッタはネガティブ。兄弟二人の性格は真逆と言ってもいいくらいに違うのです。けれど夢は同じ、兄弟そろって宇宙に行くということ。
しかし、夢を叶えたヒビトと違い、ムッタは夢を叶えることができず、社畜となってしまいます。そんなある日ムッタは上司に頭突きをしたことで、会社をクビになってしまうのです。
上司に頭突きをしてやりたいと思ったことがありますか? もし、あったとしても実行できますか? それを実行したのがムッタですよ(笑)。
ムッタは会社をクビになり、子供のころから夢見ていた宇宙飛行士になる、という夢に踏み出すことになるのです。宇宙飛行士ってどうやってなるか知ってますか?
実は募集しているのだとか。宇宙兄弟を知る前は、そんな方法で宇宙飛行士を集めているなど、夢に思いませんでした。
応募に通った者が審査を受けることができるのです。つまり、第一段階は『運』なのですね。宇宙飛行士には運も必要なのです。運を馬鹿にしてはいけません。
どんなスポーツでも、仕事でも、運は成果に大きく左右しているのです。宇宙飛行士という職業は、運を持っていないといけないのですよ。『運も実力の内』という言葉がある通りです。
悲劇の日生まれのムッタですが何とか応募に当選して、宇宙飛行士になるための試練に挑むことになります。なんと試験の合格倍率は、178倍から572倍。宇宙飛行士になるには、とんでもない頭と、強靭的な肉体が不可欠。
試験を突破しても、すぐ宇宙に行けるわけではありません。宇宙飛行士になっても、宇宙に行くことなく終わってしまう人も多いのだと言います。
それだけ宇宙飛行士とは選ばれた人々『パーフェクトヒューマン』というわけなのです。作者の小山宙哉さんは相当、JAXAかな? に取材なさったようで、試験の内容とか事細かに描かれているのですよ。
通常なら知りえない試験内容を知れるだけでも、この宇宙兄弟という作品には価値があると思います。宇宙船を模した閉鎖空間に七日間(実際は)、閉じ込められ、宇宙での長期滞在への適応能力,チームワークという技術的適性と心理的適性の両面が求められる試験が行われます。
試験内容がとにかく面白いのですよ。ちょっと、先の話しをすると、ムッタが試験を行っている時期に、ヒビトは宇宙である事故に遭ってしまって、死にかけるのです。
そのことがきっかけで、パニック障害を患ってしまい、ヒビトは宇宙に行けなくなってしまうのですよ。あのポジティブで挫折をしらない、ヒビトが最大の壁にぶち当たってしまうことに……。
兄であるムッタや、家族、仲間たちのサポートを受けて、再びヒビトは宇宙に行くことができるのか? 幼いころかわした、二人で月に行くという夢を叶えることができるのか?
本当に『宇宙兄弟』はわたしの好きな物語です。ムッタやヒビトだけではなく、宇宙を目指す仲間たちの人間ドラマも凄く感動できるのです。
せりかさんや、ケンジ(マッケンジー)やシャロンや、零次。上げればきりがありません。一人ひとりがしっかりとした目標を持って、宇宙に行くことを夢見ているのです!
中でもせりかさんの夢を応援したい。
公式サイトのせりかさんプロフィールを貼らせてもらうと『14歳の時に父・凛平をALSで亡くす。医療の道から宇宙飛行士になることを志し、26歳で宇宙飛行士選抜試験を受ける。
二次、三次と順調に進み、宇宙飛行士候補生として合格。
NASAでの訓練の後、ISSミッション・CTV-28クルーに任命され2029年初の宇宙へ。以後ISSでALS実験他ミッションに携わり、噂話から発生した世間のバッシングに合うも実験を成功させる』というね。
ALSの治療薬開発のために、せりかさんは宇宙に行くことを夢見ているのです。応援しないわけにはいかないでしょ!
ヒューマンドラマが読みたい人は、本当にオススメですよ。それと、名言が多い。公式サイトが名言総選挙なるものをやっていたようなので、ベスト5を載ってけ、お別れにしましょう。
第五位『本気の失敗には…価値がある』
第四位『迷ったときはね どっちが正しいかなんて考えちゃダメ。『どっちが楽しいか』で決めなさい』
第三位『It’s a piece of cake!』
第二位『俺の敵は だいたい俺です』
そして栄えある第一位は
第一位『グーみたいな奴がいて、チョキみたいな奴もいて、パーみたいな奴もいる 誰が一番強いか答えを知ってる奴はいるか?』
第一位は閉鎖環境訓練の最後に、ムッタが仲間に向かって発した言葉でした! どうです、宇宙兄弟は名言が多いでしょ。今上げた名言がどのような状況で使われているのか、ご自身でお確かめください。
ちなみに私が心打たれた名言は
『意味など探すな
自分が楽しんだ結果
喜ぶ人がいる
これ以上のことがあるか…?』
です。どうです。この名言。心打たれますよね。あなたも宇宙兄弟を読んで、自分のお気に入りの名言を探してみてはいかがですか?
ありがとうございました。




