漆原友起 漫画『蟲師』
出版社:講談社 掲載誌:月刊アフタヌーン ジャンル:ファンタジー:ヒューマンドラマ
著者:漆原友紀 アニメ化あり
これぞ日本のファンタジー漫画と言っても過言ではない。小説でいうところの、『精霊の守り人』のような作品『蟲師』。
ハマる人には、ハマります。けれど、ハマらない人もいることでしょう。かく言う私も、小さいころアニマックスというCSの番組で再放送していた蟲師を観て、「面白くないな~」と思いました(そのときはですよ)。
小さいころはドラゴンボールやワンピースなんかの血沸き胸躍る、いわゆるジャンプ系の熱い展開の作品が好きでした。けれど、今では雑食ですよ(笑)。大抵の作品は面白く観れます。
今になって観てみると、この蟲師の面白さがわかりました。
「何だこの作品は! この世界観は! このストーリーは! どれもこれも珠玉のお話ばかりじゃないかッ!」
と目から鱗が落ちました。
一話完結の話なのですが、どれも外れはありません。
私が保証します(責任は取れません)。
と、まあ、褒めちぎって、こんな紹介を書いていますが、原作漫画はまだ読んでいません……。『GYAO!』で今配信されているアニメを観ただけの浅知恵のにわかで書いていきます。どうぞ、温かい目で読んでやってください。
昔観たときは、ここまで響かなかったんですけどね。人間感性が変わりますね。子供のとき不味いと思っていた物も、大人になってから食べると美味しいと思うものがありますからね。あれと同じですよ。
この作品の良さは子供ではわかりません。とにかくどの作品も、奥が深く考えさせられる話ばかりです。巻数は全10巻+1巻出ているそうですから、いつか買って読んで見ます。
何度も言うようですが、世界観がとにかく好き。漫画と小説を比べるのもどうかと思いますが、私の中で精霊の守り人を超えました。
およそ遠しとされしもの。下等で奇怪、見慣れた動植物とはまるで違うとおぼしきモノ達。それら異形の一群をヒトは古くから畏れを含み、いつしか総じて『蟲』と呼んだ。
蟲とはどういう存在なのか、作中で主人公であるギンコは人の体で蟲をこう例えていました。
人間は中指の一番先、心臓から一番遠いい部分に位置しています。手の内側にいくほど、下等な生物になっていく。それは木の枝のようなイメージで考えてください。
その木の枝を辿っていくと、手首辺りで血管が一つになっています。その前腕辺りにいるのが、菌類や微生物です。そのあたりまでいくと植物と動物との区別をつけるのは難しくなってくる。
けど、まだその先にいるもの達がある。腕を遡り、肩を通り過ぎる。そして恐らくここ(心臓)らへんにいるもの達をまとめて『蟲』と呼んでいます。
分類学のようなものと考えていいと思います。生物 ドメイン 界 門 網 目 科 属 種。
その考えでいくと、蟲は生物よりも更に上の階層に位置しています。その蟲が人間に憑りつき、色々な災いをもたらします。
昔は蛇も蟲だと考えられていたんですよ。皆さま知っていましたか? 蛙という字にも虫が入っていますよね。爬虫類なのにおかしいですよね。
そう言ってしまえば、爬虫類の爬虫も虫が入っていますが。実は古代中国では蠕形動物や爬虫類のことを一括りに蟲と呼んでいたんです。
この紹介を書くにあたり色々調べていたら、虫という漢字の由来はヘビをかたどった象形文字だったんですって。特にマムシのことを指すのだとか。
その他にも虹にも虫偏が付いていますよね。何でも天をまたぐ龍の形をしていたから、虫が使われたのだとか。漢字というものは由来を調べていくと、色々と発見がありますね。
興味があれば、今GYAO!で配信しているので、目を通してみてください。それで興味をもてば、原作漫画を読んで見るとよいでしょう。
アニメはBGMも高く評価されています。気が向けば一度聴いてみてください、ノスタルジックで懐かしくなる曲です。
蟲師は本当に奥が深い作品ですよ。見る年代によって色々な解釈や感想を持つことでしょう。一見バッドエンドでも、バッドエンドではない。
ハッピーエンドでも、ハッピーエンドでは終わらない。人と蟲が共に暮らす、古き良き日本のファンタジー。そんな作品が蟲師です――。




