浦沢直樹 漫画『BILLY BAT』
出版社: 講談社 雑誌: モーニング 巻数: 全20巻 ジャンル:SFサスペンス
2008年46号から2016年38号まで連載
ストーリー共同制作:長崎尚志 作画:浦沢直樹
はい、今回は浦沢直樹サスペンス、ビリーバットを紹介します!
『MONSTER』に比べて、知名度は低いですが、浦沢直樹さんのサスペンスは伏線がこれでもかと張られていて、とても面白い。すべての伏線を回収できるか? といえばそうではないのですが……伏線回収なんて関係ない! と私は言いたい。
いや、伏線を張るだけ張って、回収しなくていいって言ってるわけじゃありませんよ。そりゃあ、伏線を回収は大切です。伏線を張ることで、物語は何十倍も面白くなりますからね。
はじめのころ張っていた伏線が、終盤で一気に回収される様は圧巻ですよね。伏線がたくさん張られている作品大好きです。だから、伏線を回収することは大切です。
だけど、回収されなかった伏線はあとから、“考える„ということができるじゃないですか。どういうことかと言いますと、すべての謎が解けるよりも、ちょっとくらいの謎が残った方が、「あれはこういう意味だった」とか、「いやいや、あれはこういう意味だよ」みたいに色々と楽しいじゃないですか。
謎とは極上のスパイスなのです。
最近では色々な漫画や映画、アニメの考察本とか動画があるじゃないですか。ワンピースなんて、考察すごいんですよ。ワンピースは壮大な物語ですから、考察しがいがありますよね。
作者が意図していないことでも、謎をちりばめておくことで、読者が好きなように解釈してくれるんです。
一応言っときますが、馬鹿にしているわけではありませんよ。つまり、私は考察が好き、ということです。色々深く考えて、物語の意味を考えるのが好きということです。
だから、浦沢直樹さんのサスペンスは私にドンピシャなんですよね! 今回紹介する『BILLY BAT』も、とにかく時系列がバラバラで、色々な視点、人物から事件にアプローチしていき、ストーリーが繋がって行く様は圧巻。
この作品は実際にあった事件を多数モデルにしている話です。下山事件から、ケネディ大統領暗殺事件、伊賀と甲賀の戦いから、フランシスコ・ザビエル、アポロ計画から、アメリカ多発テロ、それらの事件が壮大な陰謀へと繋がるのです。
それも、すべてはコウモリの巻物を巡って起きていることです。コウモリは人間が存在する遥か昔から存在したという。コウモリは数多の漫画家たちに紡ぎ続けられ、未来に起こることを予言します。
つまり預言の書なのです。こういうところは、『20世紀少年』に似てますね。白と黒のコウモリを巡る、心理戦、陰謀、そして、時代と世代を紡ぐ物語。
これだけで、私としてはすごく好みなのですが、皆様はどうですか? 伏線が多い話は、後半になるまで面白みが半減しますから、好き嫌いがわかれるんですが、伏線が壮大な話は面白いんですよ。
ジグソーパズルのピースが少しずつ繋がって、最後には一枚絵になるように、伏線とは物語を面白くするピースなのです。
だから、伏線が多い話を嫌いにならないでほしいです。最後まで我慢して読んで欲しい。伏線が多い話は最後まで読んでこそその真価を発揮するのですから。
浦沢直樹さんとストーリーを共同で作ったのが長崎尚志さんという方です。
長崎尚志さんは漫画原作・脚色・プロデュース等を行っている人で、浦沢直樹さんとは波長が合うのか、共にストーリーを作っている作品が他にもあります。
はいというわけで、重圧なストーリー、そして、手塚治虫さんの火の鳥が好きな方には是非ともオススメたい作品でした。




