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物部の書評広場  作者: 物部がたり
漫画——あ行
84/100

浦沢直樹 漫画『MONSTER』

 小学館 (ビックコミックオリジナル)『単行本全18巻 完全版全9巻』 発表期間:1994年12月 - 2001年12月 作画:浦沢直樹 脚本:浦沢直樹 アニメ化有り

 今回は漫画紹介です。記念すべき第一回目は浦沢直樹さんの本格サスペンス『MONSTER』を紹介します。


 浦沢直樹と言えば、『YAWARA!』『二十世紀少年』『MASTERキートン』『BILLY BAT』など、数々の傑作を世に送り出していますねェー。


 そのどの作品も傑作と言って良い、作品ばかり。『YAWARA!』は男女問わず柔道ブームを招いた、スポーツ漫画の傑作ですし、『二十世紀少年』は全三部作の大作映画にもなってますし、『MASTERキートン』は浦沢直樹作品の中で一、二の人気を争う傑作ですね。


 浦沢直樹さんと言えば、あの漫画の神様『手塚治虫』さんの様な歴史とストーリーを掛け合わせた作風でも知られています。


 本人もその事を意識して書かれているそうです。例えば『BILLY BAT』『MASTERキートン』そして今回紹介する『MONSTER』も近代史ものです。


 緻密なストーリー構成、数々の伏線、そして、考えさせられる物語、正に大人のための漫画ですねー。それに浦沢直樹さんのあの画風ですよね。


 味があって、なんだか、懐かしい様なあの画風。浦沢直樹さんはご老人を書いたら、天下一品ですよ(私的感想)。温かい画風、個性、何から何まで浦沢直樹です。


 そして、ベルリンの壁崩壊後のドイツを舞台にした、作品が今回紹介する。『MONSTER』なのです。


 私も近代を舞台にした、小説を書いてみたいのですが、書くだけの知識がまだありません。近代のお話って、あまりないじゃないですか。


 やっぱり、近代は書きずらいのかな?。しかしこの『MONSTER』はそんな、近代を時代背景にした作品なのです。世界観が良い、その一言に尽きますねー。


 ではストーリーを簡単に紹介していきましょうか。


 今書きましたが、舞台はベルリンの壁崩壊後のドイツです。そのドイツで脳外科医として人々の命を救っているのがこの物語の主人公、賢三(けんぞう)天馬(てんま)、天馬賢三です。


 賢三はある日、病院の方針に逆らい、貧しい人の命を助ける事を優先してしまったのです。そのため、院長から見放され、院長の娘であった、恋人エヴァにも目の前で賢三が渡した指輪を捨てられるという、何とも悲しい結果になってしまいます。


 命とは平等なのか、それとも平等ではないのか、という問いに天馬賢三は悩みます。永遠の問いですよね、天馬賢三が出した答えとは?。


 賢三は自分がやった事は間違っていないと、自分を鼓舞するのです。そんなある日、病院に一人の少年が運び込まれました。その少年は頭に弾丸を受け、危険な状態。


 なんと! その少年の頭を撃ったのは実の妹だと明かされます。なぜ? 妹は少年を撃ったのか?。


 数々の伏線が最後は上手く回収され、伏線傑作漫画と検索すればこの作品は絶対入ってます。


 当然、そんな天馬賢三ですから、少年を助けます。そして、助かった、少年は突然消えてしまったのです。少年が消えるのと同時に、院長と幹部たち死体で発見されます。


 そう、院長と幹部たちは殺されたのです。一体誰に殺されたのでしょうか?。


 そして、十年後? (ごめんなさい……ちょっとその辺はあやふやです)精神錯乱状態のある患者が「モンスターが来る」、と賢三に訴えかけます。


 そう、この作品のタイトルになっている『MONSTER』の事です。モンスターの名は『ヨハン・リーベルト』高い知能と端正な顔立ちの王子様系イケメンです。


 お笑いコンビ、インパルスの板倉(いたくら)俊之(としゆき)さんが『ヨハン』というコントを作っていますよ(笑)。


 そう、このコント『MONSTER』のヨハン・リーベルトからヒントを得て作られたコントなんですね。この『MONSTER』という作品を知っているのであれば、笑えること間違いなしですよ。


 板倉さんの真骨頂、中二病全開です(笑)。


 YouTubeで見て見ると良いでしょう、あ、それと、言っていいのかな……まあ、言いましょう、『MONSTER』のアニメがYouTube上で見られます、気になった方は見てください。


 そして、このヨハンを新世界の神としようとする、ヨハン教の信者も登場します。簡単に言えばデスノートでいう夜神ライトですね。それか二十世紀少年でいう、『ともだち』です。


 そんなこんなで、賢三は自分が生き返らせてしまったモンスターを再び殺すため、旅に出るのです。


 ヨハンの様な謎に満ちたキャラってなんか、素敵ですよね。浦沢直樹さんはそんなキャラを書くのが本当に上手い、と思います。


 二十世紀少年でも、『ともだち』という謎のキャラが登場しますし、そんなキャラがいるだけで、物語は何十倍も面白くなりますよねー。


 そして、ヨハンのあのポーズ額に人差し指を掲げて、「撃て」と言っている様なあのポーズ、カッコいい!。あんな中二病なシーンを描くのは恥ずかしいですよね。


 だけど、呼んでいる方は面白いのだから、そんな中二病キャラは必要です。


 ヨハンの他にも個性的なキャラクターがたくさん登場しますよ。自分の頭にコンピューターが入っている、刑事だとか、酒浸りな女、エヴァだとかです。


 そうです、このエヴァは賢三の元恋人です。エヴァは賢三を振ったことを後悔してるんですよねー。よりを戻したいのに、素直になれない。「殺してやる」「殺してやる」ばかり言っています。


 殺したいほど愛してる、とはこの事ですね。エヴァの愛はいかに?。


 この物語は歴史の闇を取り上げた作品でもあります。その歴史の闇とは身体実験です、それ以上はご自身でお確かめください。

 

 人体実験は実際にありましたからねー。取材や資料で勉強されたのか凄く、リアルに描かれています。


 あ、それともう一つ、絵本がこの作品には深く関わっています。その絵本とは『名前のない怪物』です。絵本が持つ、伏線とは?。


 いやらしい、意味ではなく本当にオススメの大人の漫画です。暗い話だけど、本当に面白いので気になった方は見るなり、読むなりしてみたください。

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