岩明均 漫画『寄生獣』
『地球上の誰かがふと思った』『人間の数が半分になったらいくつの森が焼かれずにすむだろうか……』
『地球上の誰かがふと思った』『人間の数が100分の1になったら垂れ流される毒も100分の1になるのだろうか……』
『誰かがふと思った』『生物のみんなの未来を守らねば……』
冒頭のつかみはバッチリですねー。やっぱり、冒頭のつかみが大事だと、私は思うのですよ。
冒頭でどれだけ、読者を作品に引き込めるかそこが人気がでる作品と、そうでない作品の分かれ道になると思うのです。皆様もそう思いませんか?。鋼の錬金術師しかり、進撃の巨人しかりです。
皆様も寄生獣知っていますよね?。実写映画化しましたでしょ。そして、アニメ化もしています。確か『寄生獣セイの格率』ってタイトルだったと思います。
この紹介を書くに当たり、寄生獣の事を色々調べていたら寄生獣たちはどう誕生したのか、という面白い解釈がありました。
寄生獣たちは宇宙から襲来した、と思われていますが、実はナレーションが表す通り地球上の誰かが「ふと思った」ことで生まれたのではないか、という解釈でした。
そして、その「ふと思った」人物とは川原市長、という人物だと思われています。
川原市長とは作中に現れる、選挙中に演説している人です。結構過激な思想を持っているんですよこの市長はね。
そう、ナレーションと同じ思想を持っています。そして、関係ないですが、WEB漫画で川原市長の息子を主人公にした漫画があるみたいですよ。寄生獣が好きで気になった方は読んでみると良いでしょう。
連載過程をウイキペディアから引用させてもらいます。
【『寄生獣』(きせいじゅう、Parasyte)は、岩明均による日本の漫画。『モーニングオープン増刊』(講談社)にてF号(1988年)からH号(1989年)まで全3話の中編作品として連載された後、続きの第4話以降が『月刊アフタヌーン』(同)に1990年1月号から1995年2月号にかけて連載された。謎の寄生生物ミギーと共生することになった高校生・泉新一の数奇な運命を描く。】
まだ、1990年代と言えば、環境問題の取り組みが行われていないですよね。この作品はそんな地球が発している悲鳴を代弁したような作品です。
だけど、あの時代に環境問題のことを考えていた岩明均さんは凄いですねー。
それではストーリー紹介をしていきましょう。
ある日突然空から寄生獣が襲来して、人間の体を乗っ取ります。ちょっと話が反れますが、『ドラえもん銀河超特急』、という映画に寄生獣のようなパラサイトが登場するのですが、この作品は1996公開で寄生獣より後なのですよ。
もしかしたら寄生獣をヒント書かれた作品なのでしょうか? と、どうでも良いことを考えました。
『ドラえもん銀河超特急』はドラえもん映画史上一番の傑作と呼び声高い作品ですので、見て損はないですよ。夢がある作品でした。
宮沢賢治の銀河鉄道の夜と銀河鉄道999の世界を合わせたような話です。本当にドラえもんの映画は面白いですよね。いつもは日常の(日常かな?)の話なのに映画になると大冒険するんですから。
また、ドラえもんの話に反れましたね(苦笑)。ドラえもんが好きな人が読んだら面白いエッセイだと思いますけどね(笑)。
え? 寄生獣の紹介だろって、そうですこれは寄生獣の紹介ですよ。それでは本題に戻りましょう。
そして、空から降ってきた寄生獣の一体が一人の男子高校生(泉新一)の体を乗っ取るために、腕から頭に入ろうとします。しかーし! すんでのところで右腕に、コードだったかな? で、腕を縛り脳への侵入だけは防ぐのです。例えるなら、注射を打つ時に腕を縛るあれですね(笑)。
そして、新一は朝目覚めると、右手に謎の生命体が寄生しているこのに驚くのです。そして、その生命体にミギー、という名前を付けるのです。
はい! ここでクイズです。この生命体になぜミギー、という名前を付けたでしょうか?。
そうです、あなた感が良いですね。右手だからミギー、です。単純な付け方ですが、ネーミング、ミギーで正解でしたね。
左手でヒダリーだったら、なんかしっくりきませんから、本当に右手で正解です。そして、新一は人間を喰う寄生獣との戦いに巻き込まれていくのです。
後半ぐらいからおっとりしていた新一は急に性格変わるんですよ。超人的な力を手に入れたからいじめっ子もやっつけます。
本当に後半の新一はカッコいいですよ(笑)。
いやー、本当に哲学的な作品ですよ。ミギーがいう言葉は名言だらけです。
例えば
【私の仲間たちはただ食っているだけだろう……生物なら当然の行為じゃないか】
【私は恥ずかしげもなく「地球のために」と言う人間が嫌いだ……。何故なら、地球は初めから泣きも笑いもしないからな。】
【受験勉強? あれは一種の暗号だろ? わたしがほしいのは生きる上で役立つ知識だ】
【罪……? それは人間達が人間の物差しでかってに決めればいいことだ】
【シンイチ……『悪魔』というのを本で調べたが……一番それに近い生物は、やはり人間だと思うぞ。
人間はあらゆる種類の生物を殺し食っているが私の『仲間』達が食うのは ほんの1~2種類だ。質素なものさ。】
【「道で出会って知り合いになった生き物が、ある日突然死んでいた。そんな時、なんで悲しくなるんだろう」
「そりゃ人間がそれだけヒマな動物だからさ。だがな、それこそが人間の最大の取り柄なんだ。心にヒマ(余裕)がある生物、なんと素晴らしい」】
いやー、哲学的な名言集ですね。私も悪魔に一番近い生物は人間だと思います。寄生獣たちは1~2種類だけしか食べませんが、人間は何でも食べる雑食です。
人間が食べない生物なんていないんじゃないですかね?。人間同士で共食いもしますし。飢饉があったときや、船で遭難した時などは人肉を食べて生き残った、という事例もあります。
考えるだけでも恐ろしいですが、生きるためなら何でもするんですよ。溺れた人が助けに来た人にしがみつき、足場にするのと同じです。
だけど、人間は中性です。善悪を兼ね備えています。人間はなんにでもなれるんですよ。色々な感情を持っているんです。
時には誰かを傷つけたい、という衝動に駆られる時もあります。だから、イジメなんてあるんですからね。
だけど、誰かに優しくしたい、という気持ちになる時もあります。人間は悪魔にだって、天使にだってなれるのです。考え方で人間は変わることができるのだから。




