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物部の書評広場  作者: 物部がたり
漫画——あ行
81/100

石黒正和 漫画『それでも町は廻っている』

少年画報社 (ヤングキングコミックス) 全十六巻 ジャンル:日常:ミステリー:SF

作者:石黒正数 アニメ化あり

 かのガリレオ・ガリレイは宗教裁判にかけられ、自分の発言を撤回した後にある言葉を言ったという逸話が伝えられています。


『それでも地球は廻っている』


 そして、その発言のオマージュ的なタイトルである作品が、今回紹介する、『それでも町は廻っている』です。伏線がすごい漫画で調べて、この名前が入っていたので、以前購入して全16巻を読みました。伏線という言葉に弱い(笑)。


 伏線と言えば、サスペンスとかSF系の作品をイメージされると思うのですが、特筆すべきは、この作品、日常系の作品だということです。日常系に伏線?


 どのような伏線なのだろう、と目を光らせながら読んでいたのですが、一読では、どれが伏線なのかわかりませんでした。伏線らしからぬ、伏線がかく話数に少しずつ張られていたのです。最終回まで読んで、はじめて伏線だったとわかる伏線がです。


 こういう、終わらせ方もあるんだと感銘を受けました。この物語は嵐山(あらしやま) 歩鳥(ほとり)という、探偵に憧れる、女子高生の高校三年間のオムニバスストーリーでなっています。


 だから、時系列はバラバラ。歩鳥が散髪に失敗したのに、次の回には何事もなかったかのように、髪が元に戻っていてはじめて、時系列がバラバラだと気づきました。


 漫画なんだから、髪がすぐに戻ったって別におかしくはないだろ、と思いの方もいると思いますが、髪の毛が伸びている話と、短い話があって、時系列がバラバラだと気づいたというだけの話です。


 物語を簡単に説明すると、歩鳥という女子高生が丸子店街の個性豊かな人々や、高校の(こん)先輩、タッツン、真田、針原さん、モリアッキーなどなどと交流する何気ない日常の物語となっております。


 ノスタルジックで物悲しくなる話もあれば、SFやホラー、ミステリーなどの話もあって、毎回違った面白さがあります。


 日常系の話しって、何故か飽きませんよね。『サザエさん』とか『ちびまる子ちゃん』『クレヨンしんちゃん』『ドラえもん』などなど、日常系の物語ってついつい見入ってしまいます。また観たい、読みたい、ってなる話って日常系が多い気も(私だけかな)。


 斬新な終わらせ方なので、当時は賛否があったようですね。私は否定しません。こういう終わらせ方もあるんだ、と物語を書く身として勉強させられました。


 ストーリーを順番に追って最終回に到達するだけがすべてではないのだ、と。


 物語が一話終わるごとに、日常が終わってゆく、夕暮れの家路を歩いているときに感じるような、あの気持ちになってしまいます。歩鳥が居なくても、町は廻っているのです。


 この作品はどんなジャンルが好きな人にでも、すすめられると思いますよ。色々なジャンルの要素が、絶妙に取り入れられ、バランスを取っている。それでいて、一話完結という読みやすさ。きっと、あなた様も好きな話に出会えるはずです。

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