和田竜 『村上海賊の娘』
新潮社(新潮文庫) 『単行本上下巻・文庫本全四巻』 初版発行: 2013年10月22日 著者:和田竜 イラスト: 平沢下戸 漫画化有り
はい、今回は和田竜さんの『村上海賊の娘』を紹介します。よーやく読み終わった。単行本だと上下巻、文庫版だと全四巻の長編小説です。
私は読むのが早い方ではないので、読了するまでに時間がかかりました。それに、最近は時間があれば、執筆をしているので、本を読む時間が大幅に削られているのが、現状です。
かの、森博嗣さんや西尾維新さんは、読書の時間を確保するために、執筆速度が速くなったそうです。本当でしょうか? そんな訳ない、絶対生まれ持った才能です。
和田竜さんと言えば、『のぼうの城』や、『忍びの国』は共に映画化されていて知名度は高いですよね。
のぼうの城の主演は野村萬斎さんが。忍びの国は嵐の大野智さんが主演です。
ちなみに、のぼうの城と忍びの国の映画は観ました。のぼうの城は忍城の戦いをモデルにしています。そう、日本三大水攻めで知られる、あの忍城です! 映画でも大迫力でした。
秀吉は水攻めが上手かったと言いますよね。そんな秀吉に石田三成は憧れていて、忍城攻略は絶対に水攻め、と駄々をこねていたそうです(駄々をこねていた訳ではないかぁ、戦略ですよね)。
和田竜さんの作品は共に映画化しているから、この村上海賊の娘も映画化されそうなものですが、なかなか映画化の話が出ませんね。映画化するんだったら、綾瀬はるかさんを主演に抜擢して欲しいです。
主人公の女海賊のイメージが一番しっくりくるのは、綾瀬はるかさんだと思いますから。
その他にも人間離れした、キングダムの王騎将軍みたいな、登場人物がいるんですよ(私のイメージなので、実際は王騎将軍みたいな巨漢ではないかも)。
この村上海賊の娘の登場人物たちはキャラが濃い! の一言に尽きます。
映画化したらそれなりに面白そうですけど。どうして、映画化されないのでしょう? やっぱり、予算の問題でしょうか? 小説を読んでいても、色々と製作費がかかりそうなシーンがありましたから。
最終決戦なんて、船が大量に現れて、予算的に大変ですよね。
あ、でも、CGを使えばいいのでは?
映画化されない問題は予算の問題だけではありませんよね、現代人は時代劇とか観ませんから。作ったところで、映画館まで足を運んで観る人はいませんよね……。
そう言う私も、時代小説は好きですけど、日本の時代劇はあまり観ません。
どうしてでしょうか? 日本人は日本の時代劇を軽蔑している傾向にあると思うのですよ。中国とかはバンバン、時代劇ドラマを作っているのですが。
日本人は中世ヨーロッパの設定は好きですけど、和製ファンタジー設定を好んで書いたり、読んだりする人は少ないですよね……。
悲しい限りです(涙)。
映画化やドラマはダメでも、アニメや漫画でもっと和風ファンタジーの良さを書いて行けば、良いと思います。
だって、漫画のブリーチとかの斬魄刀や、るろうに剣心のような物語をもっと、作れば日本時代劇に興味を持つ人が現れるかも!
いや、時代物のアニメを作れば良いんですよ! 日本のお家芸、アニメーション! なら世界にも日本の時代劇の良さをアピールできます。
あ、いまは鬼滅の刃という、漫画があるのか! 私は鬼滅の刃を読んだことがないので、あらすじぐらいしか、知らないのですが、凄い気になっている作品です。
話が反れました。和田竜さんの作品は何といっても、史実を調べに調べ、まるで司馬遼太郎さんのような作風で知られています。とにかく時代背景の説明が細かいのです。
色々な古文から史実を引用してくれて、読んでいるだけで歴史の知識が付くこと間違いなし。
和田竜さんの作品の参考資料を一度見てみてください。凄い数の参考資料や古文の名前が並んでいますから。
今回はのぼうの城の紹介ではないので、のぼうの城の紹介はここまで。
村上海賊の娘は、第35回 吉川英治文学新人賞と第11回 本屋大賞を受賞している、凄い作品にして、和田竜さんの最高傑作と言われています。
私には最高傑作か、そうでないか分かりませんが、専門家が最高傑作というならそうなのでしょう。
それでは最高傑作といわれる、小説のストーリーを紹介します。
主人公はこの物語のタイトルにもなっている、村上海賊の娘、村上景と言う名の醜女です。
私が醜女と言っている訳ではありませんよ!。ちゃんと、作中で誰からも醜女と言われているのです。だから怒らないでください(オロオロ)。
手足が長く、顔は小さい。目が猫のように大きく、目鼻立ちが高い。引き締まったモデルのような体つき。みんなからは南蛮人のような女子と言われています。
「ん? それって醜女?」
と思った方鋭い!。美人の定義は時代によっても、違うものです。この戦国時代の美認識は能面やおかめのような顔立ちの人を美しい、と認識していた時代だからです。
現代人からしたら、この景は多分、凄い美人です。手足が長く、大きな目、顔立ちのハッキリした女性。いまでいうモデル張りに容姿端麗だと思います。
だから、イメージは綾瀬はるかさんです! なんで、私がさっきから綾瀬はるかさんの事を書いているか分かりますか? それは読めば分かるです。
勝手にイメージを植え付けるのは良くないか、ごめんなさい、忘れてください。
村上海賊、または村上水軍は戦国時代に瀬戸内海を席巻した海賊一家です。作中で村上海賊は海賊の王とまで、言われていました。もしかしたら、今後のワンピースに、村上海賊をモデルにした海賊団が現れるかも?
そうなれば、舞台は和の国ですよね。だけど、今のところそのような海賊団は現れていません。今後現れる可能性は低いかな~。
村上水軍当主が村上武吉です。村上海賊を最盛期に導いた、名将ですね。物語の始まりは信長に窮地に追い詰められた本願寺を救うため。
景は瀬戸内海から、今でいう大阪に旅立つところで動き出します。まあ、それまでにも、鈴木(雑賀)孫一の戦っているシーンが入りますが。
景が本当に本願寺を救うために行動するのなら、カッコいいのですが……景にはある下心があるのでした。みんなから醜女、醜女と呼ばれている景はお爺さんから、ある話を聞くのです。
それは難波の方に行ったら、あなたのような女子が好きな男が大勢いますぞ、と。使っている言葉は違いますが、意味は同じです。
そして、景は自分を美人と褒めたたえてくれる夫を求めて、難波に向かうのです。つまり、本願寺に向かうのはそのついでですね(笑)。
そして、本願寺に向かっている道中(海の上だから海道という方が正しいかな)で眞鍋海賊団と出会うのです。
実はこの眞鍋海賊団、相当強いそうです。ワンピースでいう四皇に入るぐらい、多分強い設定になっています。眞鍋海賊団頭首は七五三兵衛という男で、怪力、無双の英傑です。
この七五三が、さっき私が言っていた、王騎将軍みたいな男なのですよ。イメージを植え付けるのは良くないけど、本当に描写を読んでいるだけなら、人間離れした王騎将軍みたいなキャラです(性格はまるっきり違う)。
例えば太刀の一振りで、何人もの人間のなぎ倒します。その他にも、人間とは思えない事をしでかしますよ。
景が七五三に出会った時は良い奴でしたが、巻数が進むにつれて、最強の敵になっていきます。味方でいる時はひょうきんで明るい、巨漢キャラでしたが、敵に回るとこれほど恐ろしいキャラはいないでしょうね(笑)。
そして、最後にこの作品は木津川口の戦いを、メインテーマにした作品です。そう、毛利方と織田方に分かれて戦った、あの歴史に残る海上戦です!
最後の海上戦の描写は圧巻です。海上戦を映像で観たら、さぞ迫力があるでしょうね。
景と七五三の戦いの火ぶたがいま切って落とされる、最後に勝つのは毛利方か? それとも、織田方か? 景の運命は? 海賊の姫に日本中が惚れた。勝敗の結果をご自身でお確かめください。
まぁ、ネットで木津川口の戦い、で調べれば、分かるのですが……。勝敗が問題じゃない、海賊たちの生き様を読むためにこの物語はあるのです!




