ヴィクトル・ユーゴ 『レ・ミゼラブル』
新潮社(新潮文庫) 『全五巻』 【歴史・ロマンス】 初版発行: 1862年 著者:ヴィクトル・ユーゴ 映画化多々有り 世界名作劇場にてアニメ化有り 漫画化有り
知らない人はいないと言って過言ではない。世界文学の傑作。
死ぬまでに一度は読んでおきたい、世界文学と検索すれば、絶対にこの名前を目にするでしょう!
そう、タイトルにある通り、ヴィクトル・ユーゴが書いた名作文学、『レ・ミゼラブル』です。レ・ミゼラブルと言えば、ミュージカルの定番ですよね。私は見たことないですが映画は観ました。
何度も映画化していますよね。最近でもジャン・バルジャン役を『X-MEN』のウルヴァリン役で知られる「ヒュー・ジャックマン」が、コゼットの母親、ファンティーヌ役を『プラダを着た悪魔』の主人公を務めた「アン・ハサウェイ」、コゼット役を「アマンダ・サイフリッド」で、2012年にミュージカル映画で映画化しています。
ちなみに、私はこのレ・ミゼラブルを観ました。
レ・ミゼラブルとは「あゝ無情」と、翻訳されていたと思いますけど。実際はフランス語で「虐げられた人々」と、いう意味なのだとか。
名前の通り作中には虐げられた人々が沢山登場します。ちょっと、先の事を書くとその虐げられた人々を主人公ジャン・バルジャンが救っていくのです。
前に私が読んだのは新潮文庫の全5巻ある、完全版です。後半あたりから、一気に話が難しくなって、付いていけない、まま目だけを走らせていました(苦笑)。
書くまでにもう一度読まなきゃダメかな、と思ったのですが最近は時間があれば執筆活動をしていて、本を読む時間がかなり削がれているのが現状です。
本当に全五巻もあれば、読むのに体力がいりますから、角川文庫の上下巻の方をお勧めします。がっつり、レ・ミゼラブルの世界を知りたい方は新潮文庫を、レ・ミゼラブルの良さを凝縮したストーリーを楽しみたい方は角川文庫の方をお勧めします。
角川文庫の方がテンポが良い、との評判ですよ。
物語をすごい簡単にまとめると、このレ・ミゼラブルは主人公ジャン・バルジャンの償いの物語です。はい! すごい簡単にまとめてしまいました。もう少し詳しく。
ジャン・バルジャンと言う名の男は貧困に耐え切れず、たった1本のパンを盗んでしまいます。たった一本のパンですよ! たった一本のパン!
たったそれだけの罪で(脱獄は何度も試みてます)、トゥーロンの徒刑場に19年も服役させられるのです。行く先々で冷遇された彼を、司教は温かく迎え入れる。
しかし、その夜、ジャン・バルジャンは司教が大切にしていた銀の食器を盗んで逃走します。当然、物語上捕まりますよね。
そして、ジャン・バルジャンを捕まえた憲兵が司教に問います。そう、皆様も知っている、あの有名な名シーンです。司教は「これは私が彼にあげた物です」と、言うんですよ!
その、銀の食器だけではなく、銀の燭台も司教はジャン・バルジャンにわたすのです。なんて、寛大な司教なのでしょうか。酷い人もいるけど、優しい人もいる、と感じさせてくれるシーンです。
涙なしには見られない名シーンですよね。そして、もう一人の主役、コゼットのお話をします。コゼットはファンティーヌという夫人の子供です。
ファンティーヌは旦那に先立たれ、路頭に迷います。この時代は女性に厳しい時代です。中でも未亡人には特に、その未亡人の中でもファンティーヌは子連れです。
子連れではできる仕事は限られているそうです。子連れが原因で何度も仕事を断られてしまうのです。
ファンティーヌは子供のコゼットを連れ、仕事を求めて旅に出ます。そして、旅の途中で最、最、最悪の夫婦に出会ってしまうのですよ。この夫婦のせいで人間不信になる事間違いなし。
その夫婦の名前はテナルディエ夫妻です。本当に最悪の夫婦なのです。この、腹立ちを表現する言葉はありません! テナルディエ夫妻はファンティーヌに言葉巧みに「子供は私たちが預かるわ」と、言いファンティーヌからコゼットを奪います。
その代わり養育費としてお金を毎月送るようにいうのです。ファンティーヌは世間知らずですからテナルディエ夫妻の話を信じてコゼットを預けてしまうのです。
ここから、コゼットとファンティーヌの波乱の人生が始まるのであった。と、いうまあ、こんなお話です。
コゼットはシンデレラみたいに、虐げられるのですよ。コゼットをジャン・バルジャンが救いに来るまで、が読むのが辛いです……。
預けられたコゼットはシンデレラのように虐げられます。テナルディエ夫妻には三人の子供がいるのですが、その三人の中の二人がコゼットをいじめるのですよ。
正にシンデレラですよね。コゼットをいじめている子供とはエポニーヌと言う名の女の子です。
このエポニーヌ、最初は最低な奴、と思っていましたが、物語の後半から物凄い人間らしい、女性だったと分かるのです。
コゼットは完璧すぎる女性ですが、このエポニーヌは本当に人間らしい、女性です。私はこのエポニーヌに一番、親近感を覚えました。エポニーヌ―――――――――‼
はい、エポニーヌの話はここまで。話を戻します。
テナルディエ夫妻はコゼットが病気になった、とか、何でも理由を付けて、ファンティーヌから、お金をせびります。
本当にそれが辛い……。働いていた工場も追い出され、お金もない、コゼットは病気という事にされている。そして、ファンティーヌはお金を稼ぐため、髪を売り、売春宿で働き始めるのです。
当然、売春宿ですから、色々な男がいます。ファンティーヌは病気にかかり、死んでしまうのです。死ぬ間際に知り合ったジャン・バルジャンにコゼットの事を頼み天国に旅立ってしまいます。テナルディエ夫妻は本当に許すまじ!
ジャン・バルジャンはテナルディエ夫妻からコゼットを引き取るのです。ようやく、コゼットは救われました。
ジャン・バルジャンに救われた、コゼットですがまだ波乱は終わりません。激動の時代ですからね。革命家が街にははびこっています。
そして、そんな革命家の一人にコゼットは恋してしまうのです。王政から民主主義に変わろうとしている、激動の時代です。
今の私たちでは理解できない事もあるでしょう。だけど、本当に死ぬまでに一度は読みたい作品です。
はい、最後に雑学的な事を書いて終わりましょう。あの、ミュージカルでお馴染みのバリケードの上で旗を振っている、あのシーン。フランス革命のシーンだと思っている人が多いですが、実は6月暴動を描いたシーンなのですよ。
フランスの歴史にそれほど詳しくないので、詳細までは書けませんが、あのシーンはフランス革命のシーンではなく、6月暴動のシーンだったという訳です。意外と知らない人が多いんですよね。
6月暴動を知っている方なら、分かりますよね。この、暴動は失敗に終わり、変わる事はなりませんでした。しかし、この暴動は無駄ではなかった、この暴動がキッカケで民衆は発起し7月革命につながるのですから。
小説を読むのが億劫の方はいつものように、YouTubeで『レ・ミゼラブル少女コゼット』とい世界名作劇場が配信されています!
実際のレ・ミゼラブルとはストーリーがちょっと違いますが、大筋は残しながらいい意味で違うのでまた違った面白さがあります。
それに、少女コゼットの方はファンティーヌが原作の方と違って早い段階でジャン・バルジャンに救われるので、原作の方より観やすいです。
コゼットがジャン・バルジャンに人取られてから、救われていく過程が丁寧に描かれています。
こんな、傑作ばかりの世界名作劇場は制作終了してしまいましたから、もう、マイナーな世界名作との出会う機会がなくなってしまいました。悲しい限りです。本当にいい作品ばかりなのに。
スポンサーとの契約切れや、利益にならない、から制作終了したと言われています。最近のアニメは低予算で利益を求める方針ですからね。
いい、アニメが生まれづらくなった時代です。まあ、今でも良いアニメはありますけどね。だけど、世界名作劇場、復活して欲しいな。そう思うならYouTube何かで観てはいけないのですが……。
気になった方はYouTubeで『レ・ミゼラブル少女コゼット』を見てください。そして、世界名作劇場の良さを知ってください。まずは、知ることが大切です。
ジャンバルジャンとコゼットが生きた激動の時代、ご自身でお確かめください。




