宮部みゆき 『レベル7』
新潮社(新潮文庫) ジャンル:社会派サスペンス 発行日: 1990年9月 著者:宮部みゆき ドラマ化有り
「レベル7まで行ったら戻れない」
謎の書置きを残し、失踪した女子高生貝原みさお。みさおから、相談を受けていた保険会社の心理カウンセラー真行寺悦子。
そして謎の部屋で、目覚めた二人の男女。二人は記憶喪失になっていた。二人の腕に浮かび上がった謎の、「level7」の文字。
何の、接点もないような、悦子と二人の男女視点で、繰り広げられる、level7を巡る物語。
はい、今回は宮部みゆきさん初期の力作長編、「レベル7」を紹介します。タイトルだけでは、訳の分からない話ですよね。私もタイトルだけ読んだ状態では、近未来のSFファンタジー小説かな? と思っていました。しかし読んで見たら、宮部みゆきさんらしく社会派サスペンスでした。
文庫本の表紙を見た限りでは、近未来的建造物みたいなものが写っていて、SF小説だと思いますよ。表紙に一から七までの数字が隠れているのです!
まぁ~とにかくこの作品は書評を書きずらい……。どこまでを明かしていいのか、迷います。level7がなんなのかを明かしては駄目でしょうし。謎の男女の正体を明かしてもダメだし。みさおがどうして失踪したのか明かしてもダメだし。ダメダメ尽くしです。
みさおはある事情から友達を作ることに恐怖を感じるようになりました。そしてそのどうしようもない気持ちをある保険会社のお悩み相談室、「ネバーランド」に吐露するのです。そこで知り合ったのが悦子です。
悦子とみさおはリアルで実際に会うまで親密になりますが、いや親密になったと悦子は思っていました。しかし突然みさおが失踪したことをしり、私には本当の気持ちを打ち解けられていなかったんだ、と悲しくなる悦子。
そして悦子はなんやかんやあって、みさおの捜索を始めるのです。
一方、二人の男女は自分たちの身元を探るために奮闘します。警察に行けばいい話だろ、と思われたあなた。甘いですね。ちゃんとそれが出来ないように、宮部みゆきさんは手を打っているんですよ。上手いです、本当に。
二人の男女が目覚めた部屋には、血の付いたタオル、トランクケースいっぱいに入った大金。そして拳銃と、明らかに加害者か、被害者かの立場。そして女の突然の失明などなど。
そんな状況で警察なんか行ったら、どうなるかなど目に見えていますよね。だから自力で自分たちの身元調査を開始するのです。そのときに出会った男三枝です。この男、謎に満ちています。拳銃の扱いには慣れているし、ジャーナリストだというし、でなぜか三枝も二人の男女の身元調査に協力することに?
そして明かされる過去に起きたという凶悪事件とlevel7との関連性。まったく違う視点の悦子と二人の男女、三枝とみさおがどう繋がってゆくのか? 群像劇の醍醐味ですね。まったく、書評できていませんが、今回はこの辺で、ありがとうございました。
本当にこの作品は書評しづらいんですよ。読めば分かります!




